ふわふわな日記

『五等分の花嫁』115話 感想:選んだ未来とそれぞれの想い!中野四葉がたどり着く答えは…?

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五等分の花嫁 115話「五通りの朝」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

今週の『五等分の花嫁』を読了。 

激動の学園祭編に決着がつき、久しぶりに日常パートが描かれることとなった今回の『五等分の花嫁』。

 

「隣にお前がいてくれると嬉しいんだ」と風太郎が四葉ちゃんに告白し、四葉ちゃんが「ずっと好きでした」と返答したことで晴れて"両思い"となったはずの2人でしたが、しかし未だ正式にお付き合いをスタートさせるまでには至っていませんでした。

 

 

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祭りの果てに

 

「やらなくちゃいけないことがある」。

 

神妙な面持ちでそう語る四葉ちゃんとまだ直接的に"好き"と言葉にすることができていない風太郎。

 

乗り越えるべき課題を残した2人が果たしてここからどう結ばれていくのか。そして、そんな2人の様子を姉妹たちがどう見守り受け止めていくのか。今回はそんなところを中心にお話を振り返っていきたいと思います。

 

 

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第115話:五通りの朝

 

さて。そんなこんなで今回は学園祭明けの休日エピソードです。

 

「五通りの朝」というタイトルどおり五つ子たちの心情や現状を軸にしたお話が描かれていましたが、この流れで風太郎と一花さんの「休日デート」をさらりと描写してくるあたりが味ですよね。

 

一花さんの「夢オチ」だった....とかそんなこともなく、

 

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四葉ちゃん承認済みのデート

 

学園祭の翌日に風太郎と一花さんがサシでラウンドワンへ遊びに行くというドラスティックな展開。

 

ストーリーの趣旨としては「昨日の今日」だからこそという部分もきっと少なからずあって、一花さんが「出来ればそのままでいてほしい」と言葉にしているように、変に気を遣い合うことのない関係をこれからも続けていきたいという意図がそこには込められていたのだと思います。

 

隣を歩いていく「たった一人の女の子」になることはできなかったけれど、それでもフータロー君が自分にとって特別な存在であることに変わりはないのだから。有名人だからと言って見上げることもなく対等に接してくれるたった一人の男の子は"君だけ"なんだから。

 

 

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一花さんの笑顔

 

そんな自身の感情をありのまま」に告白し、

 

君のそういうとこに惹かれてたんだもん

 

と笑顔で語る一花さんの姿がまた最高に泣けるという......。

 

長女としての自意識に縛られ続けたくさんの葛藤を味わってきたこれまでの一花さん。溢れる想いを抑えきれず、我欲を押し出して失敗し後悔に泣いた日もあった。

 

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大好きな人

 

今だって好きで好きで大好きで、フータロー君が「まだ誰のものでもないのなら...」と思わず手が伸びそうになるくらい気持ちが残り続けてもいるけれど。胸のドキドキが収まるまでにはまだまだ時間が掛かってしまうかもしれないけれど。

 

それでも風太郎が四葉ちゃんを選び、そして四葉ちゃんが風太郎のことをずっと想い続けてきたことを知っているから。2人が両想いであるという事実をきちんと受け止め、その結末を祝福すべく風太郎の背中を押す一花さんの強さ...。

 

 

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中野一花の成長

 

真剣な恋の果てに成長を遂げ、結べなかった想いを昇華しつつ風太郎と良好な関係を築いていける一花さんはやっぱりヒロインとしてとても魅力的だなと。改めてそう実感させてくれた2人の休日デートでした。

 

 

二乃の想い、四葉ちゃんの想い

 

一方の四葉ちゃん。

 

「やらなきゃいけないことがある」という決意を胸に二乃の元へ向かった彼女でしたが、これが中々に複雑で彼女たちのやり取りが「五つ子ラブコメ」の奥深さを雄弁に物語っていました。

 

 

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四葉ちゃんと二乃

 

姉妹たちに迷惑をかけてしまった過去と気持ちを秘め続けてきたこと。四葉ちゃんの視点に立った場合、二乃たちに謝らなければならないという意識が芽生えることはまぁ理解できる話です。

 

一歩引いて他の姉妹たちの恋が成就するよう応援していた手前、二乃たちに何の断りもなく上杉さんからの告白を受け入れることだけはしたくない。

 

姉妹たちの幸せを願って否定しようとするも、上杉さんに対して「嘘」をつくことができず自分の気持ちを肯定してしまった。だからこそ、謝らなくちゃいけないと思う。それが四葉ちゃん側のロジック。

 

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望まれぬ謝罪

 

しかし、二乃からすればそのような気遣いは当然「いらぬお世話」なわけですよね。

 

風太郎がたとえ誰を選ぼうとも、喜びも悲しみもみんなで受け止めてその結末を祝福する。5人の総意として学園祭最終日の夜にその誓いを立てた以上、気を遣われる筋合いなんてどこにもない。

 

そもそも、どう言葉を尽くしたとて上杉風太郎が中野四葉を選んだ事実が変わる事はなく、二乃の失恋はもう確定している。ゆえに、謝られるだけ惨めな気持ちになるだけであって、ハッキリ言って誰も得をしない。

 

大事な妹の幸せだからこそ涙をこらえてでも祝福したいと思うのに、当の本人がその選択にずっと負い目を感じていくというのなら、もう姉妹の関係を続けていくことも──五等分の誓いを守り続けていくこともできない。

 

 

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二乃なりの背中の押し方

 

それなら私とあんたはここまでよ

もしこのままの関係が続くようなら

姉妹の縁を切らせてもらうわ

 

二乃が告げたこの台詞には、そんな彼女なりの想いが込められていたのではないかと。

 

一花さんが風太郎の背中を押したように、二乃が二乃なりのやり方で四葉ちゃんの背中を押す。これは「上杉さんか皆か」という二者択一の問題なんかでは決してないのだから。

 

四葉ちゃんが過去から続いてきた姉妹たちへの負い目を払拭し、自身の幸せを心から受け止めることができたその瞬間。この物語は、喜びも悲しみも全てを5人で分かち合う、本当の意味での『五等分の花嫁』ルートに至ることができるのかもしれない。

 

そんなことを改めて実感した二乃と四葉ちゃんのやり取りでございました。

 

 

 

三玖の真意と五月の葛藤

 

 ……という流れでラストに登場した三玖さんですが、うさちゃんリボンをつけて冗談めかしに「なり変わり作戦」を提案してみせる彼女が一体四葉ちゃんにどんな想いを語るのか。

 

 

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三玖の真意

 

三玖もきっと一花さんや二乃と想いは同じはず。

 

本気の恋が叶わなかった悲しみの中で、悩む妹を前に彼女がどう寄り添うのか。いくら変装をしても三玖が四葉ちゃん自身になることなんて当然できるわけもなく、三玖もそれは痛いほどにわかっている。自分たちはそれぞれ違う人間で、風太郎が選んだのは他の誰でもなく中野四葉ただ一人。

 

本気で恋をし結ばれたかったと思うからこそ、そんな本質を今一度この場面で語って妹が前に進めるよう彼女なりの言葉で背中を押そうとしているのかもしれませんね。

 

修学旅行編においては「恋する乙女」とその「協力者」という関係にあった2人なだけにどんな会話が繰り広げられることになるのか気になるところです。

 

そして、

 

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五月の葛藤

皆のことを考えると…

素直におめでとうと言えません…

 

と内心複雑な五月の心情にも晴れ間が差し込んでくれたら良いなと。

 

風太郎と四葉ちゃんの過去を知る立場として2人の想いが通じ合ったことに喜びを感じつつも、今この現状に「おめでとう」と言うことができない五月の葛藤。

 

失恋を経験した姉三人が思い思いにその結論を受け入れている中で、選ばれた四葉ちゃんと中立的立場の五月が現状に葛藤を抱く。そんな展開にどう決着がつくのか。年明けの2020年第1回目のお話を楽しみにしております。

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

『ぼくたちは勉強ができない』141話 感想:きっと忘れられない春になる!武元うるか一世一代の告白!

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ぼく勉 問141 感想「その[x]に微笑む者と咽ぶ者そして...」

ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意

 

今週の『ぼく勉』を読了。

 

ついに訪れた「合格発表」の日。それはここまでの努力が結実するかどうかに審判が下される日であり、誰もが等しく緊張を抱く日です。

 

頑張ってきたみんなとの日々を結果として残したい。「夢のスタートライン」に立ってこれからの未来に羽ばたいていきたい。様々な想いが胸に込み上げてくる中でたどり着いたその運命の瞬間。

 

 

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[x]の時

 

いよいよ以て描かれる「勉強軸」の結末とその先にある「恋」の物語。

 

『ぼく勉』という作品を形作ってきた2つのファクターがどう描かれ、どんな決着を見せていくのか。そんなところを踏まえながら今回の感想を書いていきたいと思います。

 

 

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ぼく勉 141話:その[x]に微笑む者と咽ぶ者そして...

 

さて。そんなわけで今回は「合格発表」を迎えた成幸くんたちのお話です。

 

前回の感想において、

 

高3スタートというラブコメの王道にそぐわない設定(――"進路"という独自性の出やすいテーマ――)を通してヒロインたちの個性を表現し、努力次第で何者にもなりうる可能性があると提示する。恋愛一色にキャラと世界を塗り切らず、曖昧で不安定な未来に立ち向かう高校生たちの姿を描写する。

 

というコンセプトを貫くことが『ぼく勉』の目指してきたストーリーだったのではないかと書きましたが、まぁ流石にここで受験が失敗する(=努力が実を結ばない展開になる)とは思えない流れでしたよね。

 

個別の長編が描かれてきたヒロインたちはもちろんのこと、主人公の成幸くんにしても「迷い」や「苦悩」は既に描かれてきたわけですし。ジャンプのフォーマット的にも『ぼく勉』の作風的にもここで落としてくる展開はいくらなんでもテーマにそぐわない。

 

というわけで、みんな無事に合格を掴み取ることとなりました。

 

 

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無事に合格

 

そんな「合格」の報告を持ってきた3人の姿に、真冬先生は一体どれだけの「嬉しさ」を感じていたことでしょうか。

 

「できない」を乗り越え、自分の「やりたいこと」を貫き通した生徒たち。かつてその道を諦めるようシビアな接し方をしてしまったけれど、でも、それは同時に彼女たちの将来を「本気で案じていた」証でもある。

 

よかった....。本当によかった....。心からそう思えた今この瞬間に涙を流す真冬先生の姿はもう立派に「生徒に寄り添う先生」の姿そのもの。ありのままに素直な心の内を明かし、ずっと見せることができなかったその姿をようやくみんなの前で晒すことができた点に「真冬先生の物語」の集大成が描かれていたのかもしれません。

 

 

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桐須真冬の涙

 

高校生である成幸くんたちの先を生きてきた「大人」として。

 

「過去」の挫折とその礎としての教育論(=教師としての在り方)を今一度見つめ直し、生徒たちと共に「今」を歩いてきた桐須真冬。
 

そんな彼女の存在は『教育(=勉強)』という題材を扱っていくにあたって極めて重要で、作品に確かな奥行きを与えてくれていたと思います。

 

受験に悩む「子供」たちと同じように、きちんと自分自身に向き合い「未来」へと歩を進めた真冬先生がこれから先「教師」として成幸くんとどう作用し合っていくのか、その断片が少しでも見られたら嬉しいなと感じた次第でありました。

 

 

「過去」と「今」と「未来」をつなぐ乙女の告白

 

さて。そんな感動の「勉強(=夢)」パートにひとつの決着がつき、いよいよお話は「恋」の物語へ突入です。

 

これまた先週の感想でも言及しましたが、『ぼく勉』の恋愛物語は「勉強(=夢)」が最優先という立てつけの元にエピソードが描かれてきました。うるかの「そういう相手...いないの?」という台詞に「受験が終わるまでそんな余裕ないっての」と返していた成幸くんの言葉がまさしくその象徴でもあって...。

 

だからこそ、受験が無事に終わったこのタイミングで恋物語が動き出していくことの納得性・必然性はとても強く、その中心を担っていくヒロインが「うるか」であろうこともまた個人的には想像していた通りでした。

 

 

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それでも尚[x]を支えるものは

 

水泳を頑張るうるかの姿が中学時代の成幸くんに勇気を与え、成幸くんの言葉がうるかを救ってくれていた。長い時間を隔てつつも、手渡され大事にされてきた言葉たち。そんなリレーションを長いこと「同級生」というカテゴリーに押し込め続けてきたけれど、でも、もうこのままではいられない。

 

卒業を目前に控えた自分たちの「今」。そこから一歩を踏み出して「明日」に進んでいくために。5年間「今の関係」が壊れることを恐れ続けてきた少女が今この場で「飾らぬ真っ直ぐな想い」を、胸の内に秘めてきた「たった一つの真実」を言葉にする。

 

 

 

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大好きだよ成幸

 

好き

ずっとね...成幸の受験が終わったら

その瞬間に言うって 決めてたの

 

あぁ...この2文字を口にするのにどれだけの時間がかかったことだろうか。

 

ずっと片想いを募らせ続けてきた中学時代。成幸くんと同じ高校に通うために「一之瀬学園」を受験し、毎年のようにバレンタインでチョコを作り続けてきた青春乙女。

 

そんな彼女が想い人と離れ離れになる「進路選択」をしただけでもかなり胸を打つものがあったというのに......。今ここで「全ての覚悟」を決めたかのように力強い言葉を紡ぐうるかの姿にはもはや感慨深さしかありません。

 

本当に『ぼく勉』ラブコメワールドの終わりがいよいよ近づいてしまっているんだなぁ...ということを強く再認識させられた、問141「その[x]に微笑む者と咽ぶ者そして...」のエピソードでありました。

 

 

 

桜咲く「春」は近い

 

とはいうものの、「ここでうるかが告白までいくのか....」というのがもう今回の率直な感想ではあったんですよね。

 

雪が解けて春になりここから徐々にラブコメの温度が上昇していくのだろうとは想像していましたけれど、まさか初手から最大火力で王手をぶっぱなしてくるとは正直思っていませんでした。

 

この勇気ある一手がそのままチェックメイトへの布石となるのか、あるいは「恋愛劇」を進めていくためのプロローグとなるのかは現状判断がつきませんが、差し当たって考えられるパターンとして「ノータイムでは返事がなされない」という展開に収まりそうな気はするでしょうか。

 

 

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ブコメの行方は...

 

まだ理珠ちんも文乃さんも「自分の恋」を全うできていない。

 

そんな状況でゴールテープが切られるとは流石に考え難く、物語の構造的にもここから3人のヒロインたちが織り成す「葛藤」と「青春」が描かれていくのだろうと思います。

 

とすれば、あり得る展開の一つとしては「成幸くんが恋の師匠である文乃さん」に今回の一件を相談し、事態が更に混迷を極めていくという感じになりそうな予感もしますね。

 

まぁ単なる予想なので実際にどうなるかはわかりませんが、仮にそのルートに入ったとしたなら文乃さんスキー的にはかなり心抉られるストーリーが待ち受けていそうな気も…。

 

そして、今やどんな動きをみせても全く不思議ではない理珠ちんが自身の「すき」をどう表現していくのか。100%笑って、100%ぶつかって。素敵な大人になっていく彼と彼女たちの恋物語

 

きっと忘れられない「春」になる、ここからの『ぼく勉』ラブコメワールドの結末を心より楽しみにしております。

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志週刊少年ジャンプ」より引用しております。

『咲-Saki-』第212局「決断」感想

 咲-Saki- 212局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)

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咲-Saki- 第212局「決断」 感想

 

 

宮永照と辻垣内智葉。「1年前」の世界ジュニアで"相棒"として共に闘った背景を持つ2人の交流が今回の冒頭にて少し描かれていました。

 

王者・宮永照のトレードマークでもある連続和了。圧倒的な力で和了りを重ねていくそのスタイルはまさしく"最強"の名を冠するチャンピオンに相応しいものですが、一方で制約が全くないのかといえば無論そういうわけでもなく…。

 

既に阿知賀編で指摘されている「打点制限(=前局の点数より高い打点での和了に限られる)」に加えて、今回新しく「最初の和了りの打点を極力低く仕上げる必要がある」という条件の存在が判明。

 

 

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連続和了の裏事情

 

なるほど……。

となると、今まで描かれてきた連続和了の初弾が基本的に「1000点~1500点」の範囲に収まっていたのは、それが能力の基本仕様だったという話ではなく、照がそうなるように意図して仕上げていたということになるのでしょうかね。

 

「積み棒を抜いた点数で前の局より少し高い手を和了るとその次の局のツモが良くなる」。この能力を最大限に活かすための反動として、あえて1回目の和了りを安手にする必要があったと。

 

もっとも、

 

じゃあ2000点以上でいきなり和了るときは

 

というガイトさんからの問いに「仕方がないときだね」と返していることを見るに、あくまでもツモ運上昇の恩恵が出にくくなるだけで、"連続和了"自体が出来なくなってしまうとかそんなことはないみたいではありますが。

 

唐突な「ポニーテール(ポニー照)」姿を始め、色々反則的な破壊力を持ったチャンピオンの輝き。先鋒決勝戦「最大の正念場」となる壮絶な闘牌がどのように描かれていくのか。順に見ていきたいと思います。

 

 

 

<前回の感想>

 

 

 

第212局「決断」

 

南3局 2本場  親:辻垣内智葉 ドラ:二索:麻雀王国

 

さて。番狂わせに次ぐ番狂わせの末、点数移動の激しい乱打戦の様相を呈してきた先鋒戦の闘い。優希の2半荘連続「天和」、玄ちゃんのドラ爆連撃、ガイトさんの技アリ和了。それぞれが持てる力を十全に発揮し、ついに場は「オーラス手前」の南三局2本場まで到達しました。

 

しかし、本当の闘いは文字通り「ここから」。死力を尽くして稼いできた点棒を守って後続の仲間にバトンを渡すには、この先に立ちはだかる大きな壁を越えなくてはならない。

 

それが宮永照。前人未踏の強さを誇る高校生1万人の頂点。彼女の前に道はなく、彼女が歩いた軌跡こそが道になるとさえ思わせる最強のチャンピオン。そんな彼女が残り2局となったこの終盤でついにその牙を解放する。

 

 

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宮永照のターン

 

二筒:麻雀王国二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国四筒:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国九萬:麻雀王国六索:麻雀王国六索:麻雀王国 ロン二萬:麻雀王国  ドラ二索:麻雀王国

 

2巡目の門前という超スピードで優希から2600を和了

 

しかも捨牌にある發:麻雀王国六萬:麻雀王国をツモ切りしていることから配牌の時点で既に聴牌をしていた模様で、そこから「ダブリーを掛けず」2巡目にあえて六萬:麻雀王国を切ってタンヤオを捨てている」事実を踏まえると、明らかに能力の制約を気にして打っていたことがわかる。

 

高打点で和了ることも出来た状況下で意図的に2翻に仕上げた照のプレイング。つまりそれは、彼女がこの1局だけではなく「連続和了を用いてここから連荘の山を築こうとしていることの意思表示でもあって……。

 

 

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ついに始まるチャンピオンのラス親

 

そんな一触即発な流れを背負い、いよいよ「照のラス親」である南4局へ戦況が移っていくことになるわけであります。

 

 

チャンピオンの反撃

 

南4局  親:宮永照 ドラ:不明

 

決勝先鋒戦を締めくくるオーラスオブオーラス。

 

白糸台以外の三校の至上命題は当然「宮永照の連荘」を阻止することであり、もはや形にこだわってはいられない。あらゆる手立てをもってチャンピオンを止める。それが三者の共通認識。それは誰もがわかっている。

 

だが……、

 

 

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反撃

 

二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国二萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国七索:麻雀王国九索:麻雀王国 ロン九索:麻雀王国

 

この局も照は2巡目で三色のみ3900を出和了り、一向に止まる気配を見せない。

 

九索:麻雀王国切りで二索:麻雀王国五索:麻雀王国八索:麻雀王国の三面張にタンヤオも付く形だった中、2巡目に八索:麻雀王国を切った上で九索:麻雀王国単騎に切り替えを行い、

 

二索:麻雀王国五索:麻雀王国を選ばず八索:麻雀王国を切っていることもまた、ガイトさんから九索:麻雀王国を引き出すための撒き餌だったという技巧ぶり。

 

 

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狙い撃ち

 

その打ち回しは、一見して和の指摘どおり部長の「悪待ち」と似ているようにも感じられるけれど。実際には読みの強いガイトさんの裏をかいて狙い撃つための仕掛けであって、照が「分の悪い賭け」を選んだわけではない。

 

「確実に和了るための九萬:麻雀王国単騎」。剛胆に和了りを積み上げているように見せながらも、繊細で巧みな打ち回しを行う照のテクニカルな一面を描写することが立先生の目的だったのかもしれない。

 

他家の強さ(=予想を超えてくる人の意思)をリスペクトし、そのうえで読み勝つ。そんな、壮絶な準決勝を経てまた一つ高みへとのぼった照の"猛攻"がそう簡単に止まるはずもなく、

 

 

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惨禍の幕が開く

 

四索:麻雀王国四索:麻雀王国一筒:麻雀王国二筒:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国八筒:麻雀王国九筒:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国 ツモ三筒:麻雀王国

 

次局の一本場も華麗に2100オールをツモ和了り、一気に2着まで駆け上がることに成功。

 

 

 

〇現在の点数状況(後半戦南4局1本場終了時点)

1位 阿知賀女子 :119100点

2位 白糸台           :  96700点

3位 清澄    :  96500点

4位 臨海女子       :  87700点

 

そして、追う阿知賀女子との差もいよいよ「22400点」となり、親満直撃でトップ交代さえ見えてきたこの状況下で場は南4局2本場を迎えようとしていました。

 

止まらない宮永照

 

 〇南4局   2本場  親:宮永照 ドラ:七萬:麻雀王国

 

 

一方、王者の猛追に危機感が募っていく中、「ドラだけで和了りの形になる2向聴の配牌」を掴むことになった玄ちゃん。

 

早々に1副露した照の動向を警戒しつつも、

 

 

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勝負しかない

 

三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬赤:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国八索:麻雀王国八索:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国西:麻雀王国 ドラ七萬:麻雀王国

 

この牌姿から五筒赤:麻雀王国をツモって一向聴を作り、勝負に出ることを決断。

 

自分が和了らなければ、どのみちチャンピオンに和了られてしまう。照の連荘を止めるためには絶対に誰かが和了らなくてはならず、しかもそのチャンスが次いつ訪れるのかわからない。

 

既に3連続で和了りを許してしまっており、次にチャンピオンが和了るのは最低でも「40符3翻の2本場で8300点以上」の手。だからこそ、この絶好のチャンスで引くわけにはいかない――。

 

そんな玄ちゃんの思考は至って正常なものではあったものの、

 

 

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厳しい一撃

 

「ナイスファイト玄… 悪くないよ」

「悪いのは」

「今の相手だ――」

 

いかんせん、相手が全く正常ではなく、不運にも配牌からポツンと浮いていた西:麻雀王国で照から直撃を取られてしまうことに。

 

勝負するもしないも2巡目の西:麻雀王国単騎聴牌なんて避けられるはずもなく、もはや赤土さんの言う通りもう相手が悪いとしか言いようがない。

 

そのうえ、照の手にドラの七萬:麻雀王国が含まれている(描写ミスの可能性もゼロではないかもしれませんが)ということは即ち、彼女の「ドラ支配」が破られてしまったということでもある。

 

<※12/22追記>

一昨日発売のヤングガンガン掲載の「咲-Saki- 212局」に訂正があります。
113ページの宮永照の手牌ですが、

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筒子


牌の絵柄が萬子になっている部分、本来筒子が正解です。
(単行本では修正します)

http://www.sciasta.com/ritz/ (立先生HP更新)

 

どうやらドラの七萬:麻雀王国が含まれていたのは作画ミスだった模様。和了形は「ドラなし筒子の一通ホンイツっぽいですね。

 

 

あまりにも圧倒的で目を疑う程に強い宮永照の麻雀。そんな彼女を相手に取り、果たしてガイトさん・優希・玄ちゃんの3人は無事に先鋒戦を終えることができるのか。いよいよ大詰めとなる決勝先鋒戦の闘い、準決勝以上のドラマとカタルシスが味わえる展開を楽しみにしております。

 

 

....という流れで次号から4回分の休載をはさみ、次回は3/6発売号で掲載予定。この状況から2ヶ月以上最新話が読めないのは正直辛いですが、年明けの2020年も変わらずに『咲-Saki-』を楽しんでいきたいですね。立先生、2019年も本当にお疲れ様でした。

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『咲-Saki-』/小林立ヤングガンガン」より引用しております。

『ぼくたちは勉強ができない』140話 感想:たどり着いた今と振り返る青春!そして[x]の時が訪れる……!

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ぼく勉 問140 感想「そして[x]の時」

ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意

 

物語の始まりを思い起こさせる描写が散見されていた今回の『ぼく勉』。

 

「好き」という感情を噛み締めている理珠ちん、去年の反省を踏まえ視野の広さを獲得した先輩、そして最たるものが苦手を乗り越え怯えることなく笑顔を浮かべていた文乃さんの姿でした。

 

この一年を通じて彼と彼女らが受け止めてきたもの。それは何も「勉強」だけに限った話ではありません。学力を向上させるという目的が命題としてそこに掲げられていながらも、実際に『ぼく勉』という作品が真に紡いでいたものは、成幸くんをも含めた全員が「自分の抱えていた問題」と向き合っていく姿にあったのですから。

 

 

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彼女たちの成長

 

文乃さんがたった一人の父と和解を果たした「最愛の星」編に始まり、真冬先生が過去を乗り越えた「黄昏に氷の華は」編も、先輩が自分の未来を描いた「砂上の妖精」編も、そして理珠ちんが自分の感情と向き合った「機械仕掛の蛍」編も。全部そう。

 

家族、後悔、将来、嫉妬。それぞれが苦手な世界とのディスコミュニケーションを乗り越え、今この時を迎えている。

 

そんな背景を以て、「夢」のスタートラインであり一つのゴール地点でもある「最後の試験」がどう描かれていたのか。今後の展望も踏まえながら簡単に振り返っていきたいと思います。

 

 

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ぼく勉 140話:そして[x]の時

 

さて。ここまで本作を読まれてきた方は既にご承知のとおり、『ぼく勉』の肝となる物語は常に"夢"と"恋"の両側面から描かれてきました。

 

高3スタートというラブコメの王道にそぐわない設定(――"進路"という独自性の出やすいテーマ――)を通してヒロインたちの個性を表現し、努力次第で何者にもなりうる可能性があると提示する。恋愛一色にキャラと世界を塗り切らず、曖昧で不安定な未来に立ち向かう高校生たちの姿を描写する。

 

それが『ぼく勉』という作品が目指してきたコンセプト (改めて書き起こすと非常にジャンプらしさがありますね) でもあったかと思いますが、そんな青春群像物語が「一冊のノート」を起点にして描かれていた…というのは何とも情緒に溢れた巧い演出でしたよね。

 

 

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物語はここから始まった(問1より)

 

「できない」子たちに成幸くんが寄り添っていくところから幕を開けた本作のシナリオ。

 

思えば、このやり取りもまた「成幸くんが彼女たちにノートを送る」シーンからストーリーが始まっていきました。

 

彼女たちの想いに絆された教育係の成幸くんとその彼の熱意に惹かれ次第に「心」を溶かされていったヒロインたち。そんな楽しくてかけがえのない毎日を運んでくれた象徴としての"ノート"の存在が今、この瞬間面接に挑むうるかの脳裏をよぎります。

 

 

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ノートに込められた想い

 

決して教科書には載っていない自分たちが紡いできた思い出の日々。

 

悩んだ末に己の海を進むと決めたことも、みんながそれぞれの道に立ち向かって全力で泣いたり笑ったりを繰り返してきたことも。今はもう苦悩も涙も引っ括めてその全てがとてもいとおしく思える。

 

たとえその選択が大切な人たちと離れ離れになるものであろうとも。成幸くんの一番になるという原点が変わることはなく、己の才とやりたいことを見据え背筋を伸ばして一つの決断を下したうるか。

 

そんな彼女の口から語られる、

 

 

 

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青春

 

皆がそれぞれの夢に立ち向かって

泣いたり笑ったり一生懸命で

そんな大好きな人達とのあっという間の日々

それがあたしの過ごしてきた「青春」です

 

の言葉にはいかほどの「熱」が込められていたのか。

 

走り抜けてきたみんなとの「青春」がこれから先の未来に進んでいくための勇気へと変わり、いつまでも自分の胸の中に残り続ける。目指す道がそれぞれでも「独り」きりではないと思えるのは、みんなと培ってきた時間が前に進むための力になってくれると確信しているから。

 

そんな「物語の集大成」を感じさせてくれる展開が新たなスタートを切ろうとしているまさにこのタイミングで描かれたこと。もはや、万感の想いと形容せずにはいられない問140「そして[x]の時」のエピソードでありました。

 

 

 

いよいよ「恋」の物語へ

 

...という流れで想い想いの「試験」に一区切りがついた今週のお話。

 

 

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試験終了

 

流石にこの雰囲気で受験失敗もないかと思うので、ここからは本格的に「恋愛」方面のお話に舵取りがなされていくのでしょうね。

 

「勉強(=夢)」があるから「今はそれが負担になる(=恋愛)」という立てつけの元に踊り続けてきた恋愛劇。そこから進展が描かれるのなら、テーマ的にはやはり「うるか」のお話がメインになっていくのでしょうか。

 

 

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受験が終わったら...

 

受験が終わった今、もう言い訳も免罪符も通用しない。

 

積み上げてきた時間、関係性、想い。これだけのアドバンテージがありながら踏み込めなかった「うるか」の勇気が今一度問われていく文脈(彼女だけ長編がきちんと描かれ切っていないのも気になります)の中で、理珠ちんと文乃さんがどう「恋」の物語に関わってくるのか。

 

ブコメ構造を守るストッパーはもはや崩壊し、殻を破った者が清々しいエンディングにたどり着いていくのだろうと思われる今後の『ぼく勉』ラブコメワールド。みんなが笑顔になれる「本物」の青春を掴みにいくために、「嘘」も「遠慮」も「後悔」もないありったけの青春を見せてほしい。

 

 

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みんなが笑顔になれる結末を目指して

 

そして、願わくば「恋」の星座が文乃さんの未来を照らしてくれることを祈りながらここからの物語を追いかけていきたいなと。

 

遥か彼方にあって輝き、想いを反射して照らす光。かつて自分の手を握り明るい未来を指差し星を教えてくれたお母さんのように。その手を取り夢を応援すると言ってくれた成幸くんへの想いを彼女がきちんと言葉にできた時、僕はきっと『ぼく勉』を読んで良かったと心から思えるはずだから。

 

『眠り姫』が長い眠りから目覚めたことにどうか『意味』があらんことを。来週のお話も楽しみにしております。

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志週刊少年ジャンプ」より引用しております。

『五等分の花嫁』114話 感想:振り返る思い出と繋がった気持ち!中野四葉と上杉風太郎のこれからに祝福を!

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五等分の花嫁 114話「最後の祭りが風太郎の場合②」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

今週の『五等分の花嫁』を読了。

前回、自分の気持ちを伝えるため、四葉ちゃんの待つ保健室へと向かった風太郎。

 

五つ子たちと共に過ごしてきた1年の月日が「かけがえのないもの」となっていた中で、想い人を前に風太郎が反芻していたのは、四葉ちゃんとの思い出の日々でした。

 

1年前学校の食堂で出会ったその子。超が付くくらいに勉強が苦手で、嘘も付けないくらいのお人好しで、そしていつも自分の味方として側にい続けてくれたその女の子の存在が、風太郎にとってどれだけ「特別」なものだったのか。

 

 

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思い出される彼女との日々

 

何気ない日常を繰り返しながら日に日に増していった中野四葉という女の子への想い。

 

前回の感想でも書いた通り、彼が彼女を「特別」だと思うに至ったのは、彼女が「写真の子」だったからではありません。彼が振り返っている回想のシーンが、第1話で描かれた高校2年時における出会いを始まりとしていることからもその事実が読み取れる。

 

高校2年の9月に出会ったあの時から味方として傍にいてくれていた彼女に。学校行事があるごとに最高の思い出を作ろうと努めてくれた頼りになる彼女に。クラスメイトと上手く馴染めなかった自分を学級長に推薦し、勉強だけだったこれまでの学校生活を変える最初のキッカケを与えてくれた恩人である彼女に。どんな言葉で風太郎は想いを語るのか。

 

 

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上杉風太郎、覚悟のとき

 

いよいよもって描かれる「恋物語の結末」。

 

上杉風太郎と中野四葉のこれまでが詰まった最高の物語を、早速振り返っていきたいと思います。

 

 

 

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第114話:最後の祭りが風太郎の場合②

 

さて。そんなこんなで今回もまた風太郎視点メインのお話です。

 

ついに覚悟を決めて四葉ちゃんの元へ訪れた風太郎。その事実が意味するところは当然2人とも理解し合っているわけですが、この最終局面でワンクッション挿むやり取りを繰り広げているあたりもまた「この2人」らしさですよね。

 

 

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どうして自分なのか

 

「お前に会いに来たんだ」と宣言する風太郎側としては、もう自分の中できちんと「覚悟」を決めている。

 

家庭教師として五つ子たちと関わり始めてから過ごしてきた時間、姉妹たち一人一人に対して抱いている様々な想い、そういったものを全部飲み込んだうえでこの場に立つことを決意して。

 

だからこそ、自身の出した答えに「なんでこんなことになったんだか...」なんて言いつつもそこにある"感情"に迷いはなく、「持ちつ持たれつ」の象徴であるからあげ券も彼女と"分かち合う"と決めていた。それが風太郎の想いでした。

 

 

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風太郎からの答え

 

そんな風太郎の気持ちを知り、果たして四葉ちゃんは何を想ったのか。

 

6年前に約束を交わし合った「初恋」の相手であり、今なお「特別」な存在であり続けている男の子から選ばれたこと。1年前に再会を果たし共に過ごしてきた日々の中で想いが膨らみ続けていったこと。

 

それらを踏まえれば、この状況が彼女にとってどれだけ「夢」のような瞬間だったのかはもはや言うまでもなくて。だからこそ、俄かには信じられず、その想いを受け止めることもまた今の彼女には難しくて....。

 

 

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ごめんなさい!

 

だって、自分が選ばれるなんて全く想定していなかったから。

 

あの日の約束を守って今日まで至った彼と何も果たせなかった私とでは釣り合いが取れてない。特別になろうとして失敗した過去も。姉妹たちに迷惑をかけてしまったことへの罪悪感も。

 

「過去」の思い出に頼らず再スタートを切る決断をしたとはいえ、それらの負い目が完全に消え去ったわけではなく、選ばれてはいけないという意識が未だそこにある。

 

上杉さんにはもっと良い人がいるはずです

私なんかで収まってちゃもったいない!

 

という台詞には、そんな彼女の心情が表れていました。

 

 

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四葉ちゃんの気持ちは...?

 

でも、風太郎が問い詰めているとおり、四葉ちゃんが語っているのは「自分が選ばれてはいけない理由」でしかなくて「自分の気持ち」ではないわけですよね。

 

彼女はまだ何も決めていない。風太郎の想いを受け止めて、彼女自身がこの先どうしたいのか、どうなりたいのか。風太郎が聞きたいのはその「本心」だけ。今、この場において大切なものは「みんな」の存在ではなく、「中野四葉」自身の答えなのですから。

 

 

上杉風太郎からの告白

 

これはあくまでも持論ですが、「好きな人」と恋人同士になっていくことはそれだけでとても勇気のいることだと思っています。

 

たとえ、そこに「運命的なつながり」があろうとなかろうと。その大前提だけはどんな時も決して変わらず、想い人と心を通い合わせることはいつだって難しい。それがラブコメ漫画の持つ最大の魅力なのではないでしょうか。

 

 

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想い人を追いかける

 

他の姉妹たちを差し置いて自分が結ばれるわけにはいかないと逃げ出す四葉ちゃんを懸命に追いかける風太郎の姿。

 

逃げられても諦めることなんてできなくて。繰り返し彼女が語りかけてくれた「後悔のないように」という言葉に背中を押され、一歩一歩を踏みしめる。

 

家庭教師として最初からつまづいてしまっていた一年前の自分。そんなかっこ悪い自分の味方として力になってくれた彼女のことが好きだから。五つ子たちとかけがえのない日々を過ごしてこられたのは、そんな彼女が側にいてくれたおかげだから。

 

 

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風太郎からの告白

 

だがお前がいなければ

俺はとっくにつまづいていた

 

この言葉が全てを物語っているように、四葉ちゃんがいなければきっと「今」の風太郎はここにいなかった。

 

たらればに意味はなく、これまでの毎日とここにある「今」だけが自分たちの全てではあるけれど。でもだからこそ、この先もまた彼女と共に支え合い、共に歩いていきたいと思える。

 

たとえ何度つまづいたとしても、彼女と一緒なら、誰よりも頼りになる中野四葉と手を取り合えるのなら、何度だって立ち上がっていけると、そう思えたから....。

 

 

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隣にいて欲しい

 

そんな風太郎からの愚直な告白を聞き、涙を抑えることができない四葉ちゃんの心情は果たしていかなるものであったのか。

 

かつて「必要とされる人間になりたい」と誓いを立てた風太郎と四葉ちゃん。今ここで、「お前は俺の支えであり 俺はお前の支えでありたい」と語る風太郎の言葉には、彼女が「必要とされる人」になれている事実が確かに表現されている。

 

風太郎にとっての四葉ちゃんと四葉ちゃんにとっての風太郎。お互いがお互いのことを「必要」とし共に歩んでいきたいとする風太郎の告白は、『五等分の花嫁』の恋物語を最高の形で締め括る本当に素敵なものであったなと。心からそう感じた次第でした。

 

 

そして中野四葉は...

 

そんな風太郎の切実で真っ直ぐな告白を受け、ここまで積み重ねてきた想いが一挙に溢れ出していた四葉ちゃんの胸中。

 

 

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積み重ねてきたこれまでの想い

 

絞り出すように「私は...上杉さんが...」と語る彼女の脳裏には、きっとこれまでに経験してきた様々な出来事が去来していたはずです。

 

「特別」になろうとして姉妹に迷惑をかけてしまったことも。それゆえに自分だけが「特別」になってはいけないんだと決意したことも。そして自分の気持ちを封印し姉妹たちの幸せを願うと誓ったあの夜のことも。

 

だから、言わなくては...。「嫌い」「嫌い」「上杉さんが嫌い」。そう言わなくては....。そんな状況の中で四葉ちゃんの胸の奥から出てきた言葉。その想いは......。

 

 

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好きです

好きです

 

 

号泣不可避。

 

 

ヤバい。あまりにもヤバい。演出が秀逸すぎて鳥肌。お互いを「特別」な相手──必要不可欠な存在──として認め合い、きちんとその想いを言葉にする。とても普遍的なことだけれど、それがこれ程に感動的に思えるなんて本当に凄いとしか言いようがない。

 

本来、恋をする資格は誰にでも等しくあり、言ってしまえば「運命的なつながり」のあるなしは結末に関係がありません。上述したように、「好きな人」と恋人同士になっていくことはそれだけでとても勇気のいることで「普通」の恋愛だって同じくらい尊いものですから。他の姉妹たちの「恋心」を大切に扱うという意味においても、ここの一線はきちんと引いて然るべきでした。

 

1年前に再会を果たしてからの四葉ちゃんの在り方に風太郎が惹かれ、彼の決断の背景に「6年前のつながり」が直接関与していないこともきっとこのためで、それがこの物語が誠実である理由の一つでもあったと思います。

 

 

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最高の恋物語

 

でも、四葉ちゃんがそこに秘めてきた想いも、「運命的なつながり」が2人の間にあることも。僕ら読者はちゃんと知っていて、それが無駄にならなかったとわかるラストになってくれたこともまたれっきとした事実なのですよね。

 

四葉が隣にいてくれると安心する。これからもずっと自分の側にいて欲しい。そんな想いを抱くに至った相手が、実は6年前「誰かに必要とされること」を互いに誓い合った相手でもあったなんて、もうそれは"運命"としか言いようがないのですから。

 

誤魔化せない感情とやっと伝えられた想い。第21話のやり取りと第90話のモノローグを踏襲した形で紡がれる、

 

 

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ずっと好きでした

 

ずっと好きでした

 

の言葉があまりにも美しく、風太郎と四葉ちゃんの想いが最高の形で通じ合った第114話「最後の祭りが風太郎の場合②」の物語でありました。

 

 

たどりついたその先で──

 

さて。そんなわけで「恋物語」としては完全なる決着がついたと思われる今回のお話。

 

第14巻が最終巻になるということでおそらく残りは8話程度になろうかと思いますが、果たしてここからどんなエピソードが描かれていくのでしょうか。

 

 

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恋物語の決着とその先

 

五月の言う通り、もはやこれ以上「恋愛」のお話を掘り返すのは正直全員にとって酷だと思いますし、

 

風太郎の進路と上杉家について

四葉ちゃんの進路と姉妹たちの今後

③結婚式

 

あたりのお話もまだまだ描く余地がありそうなので、ここから「未来」に向かってどうお話が転がっていくのかに注目したいかなと。

 

 

「鐘キス」の一件や「6年前の京都」の一件が共有されるかどうかも気になるところですし、最後まで目が離せない『五等分の花嫁』の結末。合併号なので2週間先ですが、次回も心より楽しみにしております。

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

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