咲-Saki- 217局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)
照の連荘が止まらない先鋒後半戦の最終局。
7本場の親倍ツモで更にリードは広がり、トップの照と2着の玄ちゃんとの点差は今や9万点以上。誰かが照に役満を直撃させても照のトップは揺るがず、先鋒区間での逆転はもう事実上ありえない。
強大過ぎる支配と和了るたびに上昇していく打点。計り知れない程のプレッシャーと絶望が他家を包み込む中で、それでも照の連荘を阻止すべく奮闘する優希たちの姿に団体戦ならではの闘いぶりが見て取れるのだと思う。
個人としては完全な負け試合であっても、チームとしての勝負はいまだ続いている。
「チームに必要とされること」の嬉しさについてすばら先輩が阿知賀編で述べていたように、最強のチャンピオンである照を先鋒に配置することで結果的に団体戦らしい対局が成立しているのかもしれない。
準決勝で阿知賀女子が白糸台に勝利できた理由もこういう団体戦としての枠組みによる部分がとても大きいように感じたので、今回の決勝戦はチーム虎姫の背景にも目を向けて物語が展開されてくれたら嬉しいなと。
そんな妄想という名の願望を書き残しつつ、早速今回のお話を見ていきたいと思います。
<前回の感想>
第217局「戮力」
〇南4局 7本場 親:宮永照 ドラ:
さて。前局の倍満ツモで8連続まで和了りを伸ばした照は、この局もまた当然のように連荘を選択。
次にくる「9回目」の和了りに前半戦の九蓮を思い出しつつも、照のギギギーにまつわる条件考察に関して優希は既に部長から"とある助言"を授かっていたようで。
8回目までが全部ツモのときは
9回目はほとんど阻止できてないけど
もしロンがまざってるなら......とめることができるかも
なるほど。
読者視点では前半戦の段階で透けていた要素だけれど、咲さんから「9回目=止められない」という話だけしか聞かされていなかった優希の立場としてはこれ以上ない程にありがたい情報と言える。
出和了りでつないでいる時の「9回目」が通常の打点上昇に則しているとすれば、この局で照が狙うのはほぼ間違いなく三倍満。
そしてドラなしの三倍満は概ね染め手系統に限られるため手も読まれやすく、さしもの宮永照とて容易には和了れない。
だからこそ、この局で必ずチャンピオンを止める。
そんな共通認識がガイトさんと優希の間で繋がったのか、ここで照の下家に座る優希が和了度外視の鳴きで照のツモ番を飛ばす役目を担うことに。
バラバラの配牌から臆さずに選んだ「ポン⇒ポン」の攻め攻めムーブ。結果として照のツモ順は5巡目にして2度も減っており、玄ちゃんのドラ縛りも含めて照のスピードは確実に抑えられている。
しかし、そんな状況にあってなお「三倍満以上の条件をクリアする」方向で手を進めている照はやっぱり規格外そのもの。
手牌が4枚しか描かれていないあたりに作為的な演出を感じますが、染め手系統で三倍満を狙っているのなら筒子染め以外はまず条件としてありえない。
そして、リーチを掛けた描写から役満狙いの可能性も作劇的にほぼ否定できるし、玄ちゃんが占有しているドラの「+」の線を嫌っての「切り」かつ「暗刻残し」を見るに、「一通・平和・七対・二盃口」あたりの役が付いていないだろうことも盤面から推察ができる。
となると、やはり「」と「」を利用してチャンタに寄せていると解釈する方が自然なのかもしれないね。
ツモ
上記のような組み合わせだとすれば「立直(1)+ツモ(1)+混一色(3)+チャンタ(2)+三暗刻(2)+東(1)+發(1)」でツモ条件だけど11翻で三倍満。
すこやんの言うように、「今回のドラがであること」や「照自身が切り」していることを踏まえると筒子染めの線は他家視点で見辛いし、文脈的にも「宮永照恐るべしです」という台詞と符合する。
まぁいずれにせよ、リーチが入った時点で照がドラなし三倍満を聴牌していることは確定なわけなので、次回どんな手牌になっているのかも楽しみにしたいと思います。
ガイトさんが最後に魅せてくれるのか
一方、照の高速三倍満リーチの裏側で、ガイトさんも少し遅れながら大物手を一向聴。
ツモ
ここから「⇒」を落として「⇒」が入れば「平和(1)+混一色(3)+一通(2)+一盃口(1)」で7翻が確定しているこの牌姿。
追っかけリーチで照に倍満をぶつける展開になるのか、あるいは清一色まで手を伸ばしギリギリの間合いまで踏み込んで最高打点のロンを取るのか。
照が三倍満を和了る可能性まで考えるとまだどうなるか読めませんが、優希との連携プレイも重なっている状況なのでここはガイトさんの活躍に期待したいというのが素直な感想かなと。
すばら先輩を彷彿とさせる優希の立ち回りがガイトさんとのラインを生み、照のツモを飛ばすことが結果としてガイトさんの和了りを援護することに繋がっていく。
能力相性の良い全国2位の荒川さんでさえ他家との協力なしには止められないと言われている照の支配をガイトさんたちがいかにして打ち破るのか。2年に渡って描かれてきた先鋒戦のクライマックスを心より期待しております。
〇現在の点数状況(後半戦南4局6本場終了時点)
1位 白糸台 :174000点
2位 阿知賀女子 : 79200点
3位 臨海女子 : 75600点
4位 清澄 : 71200点
次回は6/19発売号で掲載予定。