五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
第99話から開幕し、以降かなりのハイペース進行でお届けされてきた「学園祭」編でしたが、ここでついに春場先生による「時間軸巻き戻し」テクニックが披露されることとなりました。
第55話~第59話で描かれた「最後の試験」編と同様に、各ヒロインそれぞれの視点から「学園祭」期間中に起こった出来事を描写していく展開が予想されますが、やはり少々気掛かりなのはサブタイトルに「①」というナンバリングが付けられている点でしょうか。
『「一花の場合①」⇒「二乃の場合①」⇒「三玖の場合①」....』という具合に一人ずつ順番にお話が描かれていく構成になっているのか、あるいは一花さんのお話を連続して「②」「③」と続けていくのか。
どちらも十分にありえそうな雰囲気ですが、いずれにせよ「最後の祭り」と銘打たれているだけに、今回の学園祭編は「七つのさよなら」を超える歴代最長長編となりうるのかもしれませんね。
どのような展開を経て「3日目最終日」の告白へと物語が収束していくのか。
今週はエントリーナンバー1番「中野一花さん」のお話であります。
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第101話:最後の祭りが一花の場合①
そんなわけで今回は、長女一花さん視点で語られる「学園祭 初日」のエピソードでした。
学園祭初日15時に教室に来てくれ。
という風太郎からのメールを確認し、お仕事モードから「恋する乙女」モードへと一気にジョブチェンジを遂げるお可愛い一花さんの姿が描かれていましたが、有名人である以上そう気軽に学園祭を歩いて回るわけにもいかず、
準備していた変装セットで二乃に化けてその場をやり過ごす(結果的に失敗ではありますが....)ことに。
無論これ自体は既に第99話でも伏線めいたものが描写されていたので読者的には驚きも何もありませんが、一方で、約束の時間である15時よりも前に風太郎と一花さんが出会っていたという点はちょっと興味深いポイントでしたよね。
しかも、風太郎は二乃に変装していた彼女が一花さんだと最初から気付いていた節がある (変装に驚いた様子が全くなかった) というおまけ付き。
もっとも、置かれている状況(制服を着ていなかった点やその直前に別の場所で二乃と会っていた可能性もありうる....などの諸条件)から「生徒に追われている二乃=一花さんの変装」と判断することはさほど難しくはないとも思えますので、これが「"愛"ゆえの気付き」だったのかどうかと言えば些か判断に苦しむところではありますが。
まぁ、ここまで色々な積み重ねを経験してきた風太郎ですから、今は「彼女達の変装を少しずつ見抜けるようになっていても不思議ではないのかな.....」くらいの認識でいれば良いのかもしれませんね。
将来的には(=物語のラストでは)間違いなく「愛」を以って彼女たち一人一人の違いを見抜けるようになっていくのだと思いますし。
この点は「零奈」や「写真の子」などの諸要素と絡んでくる可能性も十分に考えられますので、今後風太郎がどのように「入れ替わり」「五つ子トリック」問題に答えを出していくのか。俄然期待していきたいところです。
中野一花は知りたい
一方、そんな掴みどころのない状態だった風太郎へ勇猛果敢に切り込んでいく一花さんの姿がまた最高に素晴らしかったですよね。
イエスでもノーでも
先延ばしにすればするほど酷だよ
という一花さんのセリフはまさしく「読み手である僕らの声」そのものであり、同時に彼女の心情を表現するものでもある。
二乃と三玖からは直接的な「告白」を受け、当の一花さんからは「全部 嘘」という意味深な言葉と共に「頬へのキス」までされてしまっているこの現状。三玖が「次は風太郎の番」とその答えを問うていたように、いつまでも告白の返事をペンディングし続けることは、ハッキリ申し上げて誰の為にもなりません。そんなものは「愛」ではない。
彼女たちを大切に思えばこそ、出さなくてはならない「結論」がある。いつか必ず振り向かせて見せると宣言してくれた二乃、風太郎からの「答え」を待つ決心を示してくれた三玖、そして直接的に「選択」を迫ろうと歩み寄る一花さん。
そんな「三者三様の恋愛スタイル」で風太郎を慕っているヒロインたちの在り方にそれぞれの個性が感じられてとても興味深く思えたわけですが、
私じゃなくていい
二乃でも...三玖でも...姉妹の誰であっても...
これでこの気持ちに区切りがつけられるんだ
と自分を律しつつも、心のどこかで「淡い期待」を抱いてしまう一花さんの在り方がまたいじらしくて本当に可愛かったですね。
「この気持ちに区切りをつけたい」という言葉も"本心"であり、同時に「私を選んでほしいと思う恋心」もそこにある。シスターズウォー以降やや遠慮がちな様子も見受けられていた彼女でしたけれど、しかし本質的にはやはり彼女もまだ諦めてはいなかったのだと。
フータロー君と結ばれたい。そんなささやかな願いを抱く少女からの問いかけに対し、上杉風太郎がきっぱりと口にした言葉。それは......、
誰も選ばない
.....という、様々な"含み"を感じさせる「答え」だったのでありました。
誰も選ばないという答え
なるほど。そんな流れで冒頭の黄昏一花さん(3日目最終日に独り夜景を眺めている構図)へとシーンが繋がっていくわけですか。
ここできちんと「区切り」をつけたいと思っていたのに、「誰も選ばない」というまさかの結論を突きつけられる。結果的に「風太郎の想い人」が誰なのかもわからぬまま諦めるべきなのかどうかの判断もつかず、ただただ面喰って困惑。
「答え」を出す....という風太郎の台詞を「姉妹のうちの誰か一人を選ぶことだ」と解釈していた一花さんの立場からすると、まぁそんな状態だったのかなとも思います。
とはいえ、風太郎サイドからすれば、このような「答え」を出すに至った「理由」が間違いなくあるはずですよね。
今の関係を大切にしたいという本心を語りつつも「三玖からの告白」と「五月からの助言」を受けて「答え」を出す覚悟を決めていたわけですし、「告白」を先延ばしにすることの是非に関しては、まさに一花さんと議論をしたばかりなわけですから。
物語の文脈を踏まえても「誰も選ばない」という選択の理由が「告白の先延ばし」に起因したものだとは思えない。風太郎の中で「誰も選ばない理由」あるいは「誰も選べない事情」があり、その気持ちに従って自身の結論を述べた。現時点ではそんな解釈が妥当なのではないでしょうか。
無論、じゃあ一体その「理由」とは何なのかという点が主題になるわけですが、ここに関してはちょっと判断材料が少なすぎてまだ何とも言えないところですね。
「風太郎の中で好きな人が未だに定まっていない」ゆえに下された結論だったのか、はたまた「高校を卒業するまでは誰とも付き合うつもりはない」という意味の決意表明だったのか。
流石に後者はなさそうな気もしますけれど、風太郎が五人の内の誰か一人を『花嫁』に選ぶ未来はもう既に確定している──つまり「最終的に今回のこの選択は覆ることになる」──わけですから、方向性としては「今はまだ彼女達の恋心に応えられない」という解釈にはなるのかなと。
ここら辺、読者のみなさんがどのようにお読みになられたのかも気になるところです。
キスの相手は誰なのか
また、そんな流れも踏まえて今回非常に意味深だったのが、一花さんが突如として放り込んできた"キス"にまつわる「衝撃発言」でした。
フータロー君だって経験済みだもんね
という台詞。女優なんだからキスシーンくらいあって当然でしょ....と語る流れで告げられたこの言葉ですが、果たして一花さんはどんな意図でこの台詞を口にしたのか。
ぱっと思い当たる可能性としては以下の4パターンでしょうか。
①「第86話のほっぺキスをからかおうとしただけ」
②「鐘キスの本人が一花さんだった」
③「鐘キスの現場を目撃していた」
④「当事者(鐘キスヒロイン)からこっそり聞いていた」
まぁ、自ら書いておいて何ですが「①」の可能性はやや低めなのかなとは思います。
風太郎がキスをしたことがあるという事実に対してある程度の確証をもって会話をしていたようにも見えましたし、「誰とキスをしたの?」という問いかけに関しても最初から五つ子のうちの誰かと決め込んだような話し方をしてもいましたからね。
風太郎自身が「事故」と結論付けているにも関わらず深く追求しようとするその剣幕もやはり印象的で、ただの「かまかけ」にしてはちょっと意味深に過ぎる描写だったのかなと。そんな印象は受けました。
一方で、「一花さんが鐘キスの相手だった」のかどうかといえば、それもどうなんだろうと思わなくもなかったり。
もちろん第99話の感想でも取り上げた通り、個人的に鐘キスについては「四葉ちゃん」or「一花さん」が有力だと思っていますのでその点に関しての違和感はありませんが、続く「③」「④」の説、一花さんが第三者的に鐘キス事件の経緯を知った...という状況はある種腑に落ちる面もあるのですよね。
第68話で描かれていた「こっそり聞いたんだけど 五年前のあの日 二人は既に──」という台詞。
「こっそり」というワードからしてこの事情を知り得ていた人物は姉妹の中でも限られていたはずで、ストレートに解釈をするのなら今回の一花さんがその人物に当てはまりそうな気もします。
そもそも、事の経緯はともかくあの時「鐘は周囲に鳴り響いていた」わけですから、直接見ていなくともおおよその検討がついていた可能性もなきにしもあらずですからね。
もっとも、鐘キス関連の伏線はどこまで現実的な視点を取り入れて考えるべきなのか、どこまで状況証拠を考慮に入れて考察をしていくのかによって全く意見が変わりそうな部分ですので、まだ何とも言えないところだとは思ってもいますけれど。
加えて今回少々気になったのは、果たして「本当に風太郎はキスの相手が誰なのかわかっていないのか」という点。
まぁ、言葉通り気付いていない可能性も十分にあるかと思いますが、もし仮にある程度のあたりが既についていた場合、告白を受けて気持ちが明確にわかっている「二乃 または 三玖」を相手に「事故」という結論に至るかどうかはちょっと微妙な気も。
そういう意味では、風太郎が「事故」だと思い至っても全く不思議がない「四葉ちゃん または 五月」の可能性が高まったと言えるのかもしれませんね。
「愛があれば見分けられる」という至上命題がコンセプトにある以上、風太郎がキスの相手を見抜く展開はほぼマストと言って良いと思いますし、やはり最終的にはきちんと四葉ちゃんや五月の想いも掬いあげる形になっていくのかなと。そんな期待も感じさせる、第101話のエピソードでございました。
...というわけで今回の感想をまとめると、
それぞれの学園祭
ここから先の展開がとても楽しみだ!ってことですよ。
~それぞれの学園祭~
二乃 ・・・マルオとパンケーキ
三玖 ・・・四葉ちゃんの想いに気が付いてしまった
四葉ちゃん ・・・竹林さん襲来で揺れ動く内面 + 代打で引き受けた演劇について
五月 ・・・食堂に向かっていた"謎のおじさん"との邂逅
今後のお話で各ヒロインそれぞれ上述したトピックスを中心に「学園祭の出来事」が掘り下げられていくのか、はたまた、予想外の大どんでん返しが起こるのか。
さりげなくマルオらしき人物の存在が仄めかされていたり、四葉ちゃんの演劇を風太郎が見に行くフラグが立っていたりと現段階でも色々な伏線が見受けられますので、本編でどこまで回収がなされていくのか来週をとても楽しみにしております!
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。