五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
トップバッターの一花さんから続いてきた「最後の祭り」編もついに3人目、今回から三玖回の開幕です。例によって「学園祭終了のアナウンス」を軸にした扉絵が描かれていますが、三玖がいる場所は「教室のそばの廊下」でしょうか。
「ベランダにいた一花さん」や「教室の中にいた二乃」と同様に風太郎が訪れるのを待っている状況と見て間違いなさそうですが、さてそうなると三玖もまた後夜祭をひとりで過ごしていたということになるのですかね。
①風太郎の唇→一花さんとのキス
②マルオの影→二乃回
③燃え盛る炎→三玖回
④キャスト変更→四葉ちゃん回
⑤謎の人影(実父?特別講師?)→五月回
以前から感想の中で書いてきた通り、今回の学園祭編は第100話で描かれていた上のシーンを元に物語が構成されていると推測が可能で、ゆえに3日目のトピックスとして「後夜祭のキャンプファイヤー」と「その後の風太郎の選択(=答え)」が描かれることはほぼ確定的だと思います。
が、ここまで描かれてきた3人には「後夜祭のキャンプファイヤー」のフラグが見受けられず、かと言って「四葉ちゃんか五月のどちらかなのか」と判断するにもまだ材料が少ない。
最も、一日目の結論どおり「誰も選ばない」つもりでいるのなら、特定のヒロインとのみ後夜祭を楽しむのも不思議な話ですので、誰とも一緒ではなかった...という可能性も十分にありえるとは思いますが...。ここらへんは四葉ちゃんと五月回の扉絵に期待したいところかなと。
というわけで、まずは三玖視点で語られる「学園祭初日」のお話を見ていくことにいたしましょう。
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第105話:最後の祭りが三玖の場合①
そんなわけで今回は三玖回です。
学園祭に向けて夜遅くまで「パンケーキ作り」に励む三玖。そこに"味見役"として五月がやってきた(これは勉強の頑張りすぎによる寝不足の示唆とも解釈できる?)わけですが、
三玖 どうしてそんなに頑張るのですか?
という五月からの問いかけが中々に興味深いポイントですよね。
なぜ三玖はこんなにも一生懸命パンケーキ作りを頑張っているのか。自分が提案をしたがゆえの責任感からなのか。あるいは誰かを想ってのことなのか。おそらくそこには様々な理由があって一つではないのだと思いますが、今回のお話の中で取り上げられていた三玖の心情は「学園祭を楽しみたい」「最高の思い出を作りたい」というものでした。
だからこそ、クラスが男女で二分され、いがみ合っている現状に思うところがある。
確かに女子は女子で楽しくやっていて、男子は男子で盛り上がっているのかもしれない。実際にクラスメイトたちも「うちらだけで十分楽しいもんね」と言っているし、それで満足なら問題はないのかもしれない。
でも、本当は仲良く一緒にやった方が楽しいはずなのに。そういう気持ちが三玖の中にはあったわけですよね。このままでは、学園祭が終わった後にクラス全員で楽しかった思い出を共有し合うことができなくなってしまうから。それを最高の学園祭と呼ぶことはやっぱり自分にはできないから。
ゆえに三玖は諦めたくないと思う。
風太郎の言う通りこれは高校生活最後の学園祭。誰もが「楽しみたい」と思っているはずで、そこに男女の区別は必要ない。男子たちがもし「和解」を望んでくれているのだとしたら...。そんな期待を胸に、いざ男子たちの元へ交渉に行こうと意気込む三玖の姿がそこにはありました。
信じる気持ちと三玖の勇気
さて。かくして男子たちの様子を覗きに来た三玖さんでありましたが、案の定「現実」はそこまで甘くはなく、「女子のやつらには負けねーぞ!」と活気づく男子たちの姿を眺めながら改めて男女の間にある溝の深さを実感させられてしまうことに。
しかし、そんな状況に落ち込む三玖を優しく勇気づける風太郎の姿がまた良いシーンでしたよね。
三玖だからこそ男子たちの気持ちを変えられる。三玖がその言葉を信じることが出来たのは、変えられないと思っていたことでも信じ続ければ変えることができるんだという事実をこの1年で体現してきたからです。
不可能を可能に変える"勇気"はいつだって自分の中にある。変わらないと思っていた風太郎との関係が少しずつ変わっていったように。最初から不可能だと諦めて下を向くのではなく、自分にできることを一つ一つ積み上げていきたい。
そんな文脈を思うと、今回の「学園祭トラブル」と彼女の「恋愛模様」がリンクしていることにはやはり大きな意義を見出すことができるのではないでしょうか。
少なくとも今の風太郎の中には自分に対する恋愛感情はきっとない。それは修学旅行で告白(仮)をした時の「だが...」のやり取りから見ても何となく察せてしまう通りで、三玖からしてみれば不安要素の一つでしかなかったはずです。
自分の気持ちを風太郎は間違いなく知っていて。もし風太郎が自分のことを恋愛的に"好き"だと思っているのなら「答え」に迷う必要もないのに。それでもなお「返答」が貰えていないこの状況を鑑みれば、
この恋の成就が不可能だって私は知ってる
と彼女が考えてしまうのは、ある種自然なこと。
それでも諦められなくて、自分の想いを貫いていたいと思う。そこに今回の物語における一つのテーマがある。
全部終わって 卒業したあとも
いい学園祭だったねって 皆で喜べるものにしよう
という三玖の強い想いを聞き、男子たちと風太郎は果たして何を想ったのか。
お互いに意地を張り合って協力することが出来ずにいるこの状況。前田の例を始めとして、お互いに好きな人もいれば、お互いのパンケーキやたこ焼きを食べさせたいと思う相手もいる。
それなのにつまらない意地の張り合いで台無しにしてしまって本当によいのか。素直になってお互いに歩み寄るべきなんじゃないか。三玖の小さな「勇気」が男子たちの気持ちをそういう方向へと変えていく、まさにその一部始終を見つめながら上杉風太郎が感じたこと。そこにあった言葉。
それが「強くなったな三玖」だったのがまた何とも感慨深くて本当に素晴らしかったなと。
「フータローのおかげで頑張れた」という三玖の気持ちも間違いではないけれど、風太郎の言う通り、行動を起こし「皆を動かした」のは紛れもなく三玖本人の功績によるもの。
だからこそ、自分の中にある力を信じてみようと思える。後ろ向きで何をするにしても悲観的だった頃の私にやっとさよならを告げられる。「恋」も「学園祭の思い出」も。不可能なことなど何もなく、勇気を振り絞って一歩を踏み出せばきっと新しい景色を見つけられる。
勇気を出せばどんな不可能も変えられるんだ
そんな物語の文脈を通じて、三玖が今一度掴むものとはなんなのか。
そういった部分が三玖の個人回を描く意義になっていくのかなと個人的にはそんなことを思う次第でありました。
三玖はこのトラブルをどう乗り越えるのか
とはいうものの。そこまで順風満帆に事が進むわけもなく.......。
既に示唆がなされていた通り、ここで男子の模擬店が火事騒ぎを起こしてしまう事態に。
なるほど。ここで乗り越えるべき壁が一つ用意されたわけですね。このままではもう男子たちは出し物に参加することができない。みんなで学園祭を楽しむことはおろか、それぞれで学園祭を楽しむことさえできなくなってしまいました。
とすると、想定される展開としては「男女が協力してパンケーキを作る」という方向性になりそうな気もしますが、問題は果たしてそのゴールにどう辿りつくのかというところですよね。
風太郎の力を借り過ぎても三玖の自立や成長のお話に繋がりませんし、かと言って(もしキスの展開に繋がるのなら特に)風太郎が全く絡まない展開もそれはそれで考え難くもありますし。
「たこ焼き」を作りたくて活気づいていた男子たちの気持ちをいかにして汲み取り、このトラブルを乗り越えていくのか。三玖たちの活躍に期待したいところです。
........というわけで今回の感想をまとめると、
今週の三玖が可愛すぎた問題!
髪を縛っている三玖が最高に可愛かった!ってことですよ!
男子たちの「流石五つ子だな!」という台詞から察するに、男女間の敵対ムードなどガン無視な五月がたこ焼きを食べるためだけに男子たちのブースに来ていたことが伺えますが、よもやあの子、食堂で勉強をする前にそんなつまみ食いをしていたなんて.....。
ここら辺のお話も五月の個別回で詳細が描かれることになるのでしょうか。
<追記>
『「うまっ」→「流石五つ子」』の流れについては、第99話で屋台の安全点検のついでにたこ焼きの試食をした際の四葉ちゃんの反応を念頭に置いたものではないかというご意見を頂きました。おそらくこちらが正解ですね。五月さん、疑ってしまってごめんなさい!笑
また、風太郎の左頬が引っ叩かれたかのように赤く腫れていた点も少し気になりますよね。
「誰も選ばない」という答えを聞いた一花さんが「仕事」だけではなく実際に風太郎を引っ叩いていたということなのか、あるいはこれから他の誰かのお話を通して回収されていく伏線となるのか。
3日間の学園祭を通じて風太郎の気持ちに変化が訪れるのかどうかも含め、まずは次週の三玖回を楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。