ふわふわびより

『五等分の花嫁』118話 感想:五月は何に気付きその気持ちをどう昇華させたのか

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五等分の花嫁 118話「五月の思い出」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

 

五月のモヤモヤがテーマとなっていた前回の『五等分の花嫁』。

 

「五月の思い出」というサブタイトル(先週の感想でも指摘しましたがまたもや頭文字に「五」のつくサブタイトルがきていますね)のとおり、今回もまた五月の心情にスポットが当てられていました。

 

中野五月にとって上杉風太郎とは一体どういう存在なのか。気付いた気持ちと晴れていく心。思い出を連れて、これから先彼女たちが向き合っていく「未来」とは――。

 

そんな、6人の恋物語に確かな「意味」が提示されていた第118話のエピソード、早速振り返っていきたいと思います。

 

 

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第118話:五月の思い出

 

さて、お話は前回の続きからです。

 

風太郎と五月が隠れ潜む真っ暗な教室で再びの対話を果たすことになった四葉ちゃんと二乃。「誰が選ばれても祝福したかった」と語っていたはずの二乃がどうして四葉ちゃんに対して厳しい姿勢を取るのか。

 

そのあたりの理由が気になっていた中、この局面で二乃が四葉ちゃんの抱えてきた後悔の象徴」に切り込んでいくところがまた趣深いですよね。

 

 

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五つ子の輪

 

姉妹たちに何も言わずに突っ走り、一人自分の道を歩もうとした過去の四葉ちゃん。

 

そんなスタンスをずっと疎ましく思っていたという二乃の台詞が、自分らしさを求めて暴走し一つの大きな「失敗」を犯してしまった四葉ちゃんに重くのしかかる。

 

姉妹たちの想いを知りながら恋心を隠し続けてきたことも。五つ子の輪から一歩身を引き「支える側」として立ち回っていた四葉ちゃんが風太郎に選ばれたことも。失恋したばかりの二乃が受け入れるには、中々に重たい事実ではあるのかもしれない。

 

 

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認めてほしいと思うのは...

 

けれど、それでも「お付き合いを認めて欲しい」四葉ちゃんが語るのは、この恋が自分と風太郎2人だけの問題だとは思っていないからなんですよね。

 

風太郎が四葉ちゃんを選び、四葉ちゃんも風太郎のことが好き。

 

その意味において、この先のステップをどう進んでいくのか決めるのは他でもない風太郎と四葉ちゃんです。二乃が言っているように「私なんて無視して勝手に付き合えばいい」わけであって、そもそも第三者の許可が必要なことでもない。選ばれた側が選ばれなかった側に「認めてほしい」とお願いをすることが酷だというのも全くもってその通りだと思います。

 

 

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四葉ちゃんの想い

 

ただ、それらを踏まえてなお向き合うことから逃げずに「認めて欲しい」と思えるのは、姉妹たちの想いを受け止める「覚悟」四葉ちゃんの中で固まったからに他ならないわけですよ。

 

姉妹たちが風太郎と過ごしてきた「これまで」を無視せず、きちんとそこにあった思い出を受け止める。その上で「私が上杉さんをどれだけ好きなのか」「その想いの強さを」姉妹たちに認めてもらう。

 

たとえそれが何年・何十年という歳月を要する険しい「茨の道」であっても、姉妹たちの想いに負けないくらい強い想いが自分の中にあるんだってことを見ていてほしい。

 

 

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見ててほしい

 

風太郎に対する「好き」と姉妹たちに対する「好き」。

 

2つの「愛」を携え「永遠のライバル」である姉妹に譲れない想いをぶつける四葉ちゃんの姿。

 

そして、そんな四葉ちゃんからの宣戦布告に真っ向から立ち向かい、妹の「覚悟」を受け容れて一つの「区切り」をつけていく二乃。

 

 

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ライバルとして

 

数年後に控える「結婚式」を迎えた時、2人がこの日のやり取りを思い出して一体何を想うのか。

 

そんなことを妄想をしたくなる二乃と四葉ちゃんのお話でありました。

 

 

 

五月が気付いた気持ち

 

一方、四葉ちゃんと二乃のやり取りを通じてモヤモヤ状態から解放されることとなった五月。

 

2人の姿から彼女がどんな"気付き"を得たのかと言えば、おそらく以下の3点ですよね。

 

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五月の得た気付き

 

①上杉風太郎に"恋"をしていたこと

②その気持ちを否定する必要がないこと

③その"恋"が自分の未来をより輝かせてくれること

 

積み重ねてきた信頼と尊敬はいつしか「恋」と呼べる感情を連れてきて。そんな状態の自分にモヤモヤし「私は なんて悪い子なんでしょう...」と思えてきて...。

 

けれど、そうじゃない。これまで上杉くんと過ごしてきた時間もそこにあった「思い出」や「気持ち」も全部全部大切に抱えたまま進んでいけばよかったんだ。無視して否定する必要はない。それを「四葉」と「二乃」が教えてくれた。

 

 

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五月の気持ち

 

失恋の痛みや切なささえも糧にして、「これまで」の思い出を「これから」に繋いでいく。

 

上杉くんと出会えたことに後悔なんてないのだから。結ばれたヒロインだけではなく、想いを結べなかった者たちの向こう側にある未来をも照らしていく「恋の記憶」。

 

 

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初めて恋をした記憶

 

そんな、何事にも代えがたい宝物」をきちんと受け止めて、五月がどんな「女性」になっていくのか。

 

「恋愛」に否定的な意見を持っていた五月が紆余曲折の末に自身の感情を自覚し「勝ち負けを超えた恋愛の全てを肯定する」に至ったこと。とても胸に沁みる素晴らしい展開だったなと思います。

 

 

大切な思い出と御守りに込めた想い

 

さて。最後に気になった点についての言及を。

 

今回のお話で第42話以降長らく謎のままになっていた伏線が一つ回収されることになりました。

 

 

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御守りの中身

 

風太郎が家庭教師としての立場に自信を喪失していたあの日、五月(=零奈)が御守りの中に忍ばせていた彼宛のメッセージ。

 

結局、風太郎がその中身を知ることは最後までなかったわけですが、しかし文脈から類推すると「第7話で風太郎&らいはと一緒に撮ったプリクラ写真」をその中に入れていたと解釈するのがおそらく妥当ではありますよね。

 

「あなたは一人じゃない」という気持ちを込めて「ずっと友達」と書かれたそのプリクラを中に入れた。

 

そのプリクラは言わば「親愛」の証であり2人の関係を示すもの。「自分を認められるようになったらそれを開けて」と告げた上でそれを渡している以上、中に"対象となる物品"が入っていることが当然ながら大前提となる。

 

 

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ずっと友達

 

ただ、五月のスマホにも同様のプリクラが貼られていることから、少なくとも五月が2枚以上そのプリクラを持っていないとこの説は成り立たないんですよね……。

 

第7話を読み返すと五月がらいはから複数枚貰っているようには見えないので、この点はちょっと解釈に苦しむところではあるのかなと。

 

もちろん、本筋は「恋の記憶=一生の宝物」という構造を補強するための暗喩表現だと思うので、その点さえ描ければ後は読者のご想像にお任せしますってことでも僕は十分だと思ったりはしていますが。

 

 

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一生の宝物

 

似た者同士の風太郎と五月が、悩みながらも見つけたそれぞれの恋。切なさを感じつつも立派にヒロインしていた五月の成長に感慨深くなる回でした。残るお話もあとわずかになってきましたが、次週も楽しみにしております。

 

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

『ぼくたちは勉強ができない』143話 感想:蘇る思い出と消せない好き!恋と友情の果てに文乃さんは...?

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ぼく勉 問143 感想「泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ②」

ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意

 

うるかの告白を皮切りに幕を開けた卒業旅行編。

 

いよいよ恋物語も佳境といった雰囲気の中、ここで更なる爆弾が投下されることになりました。

 

成幸くんとうるかの過去、恋と友情の板挟みに悩む文乃さん。溜め込まれてきた爆弾の導火線に火が灯った今、彼と彼女たちの関係はどのように変わっていくのか。

 

理想の自分と現実の自分はいつもどこかすれ違っていて、そこにある「感情」を見逃してなんかくれない。それでもたった一つの「本物」と向き合い、自分なりの答えを掴んで前に進んでいく事が青春だと思うから。

 

恋愛と友情に一つの答えが提示されていくであろう今回の長編。早速、続きから振り返ってまいりましょう。

 

 

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ぼく勉 143話:泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ②

 

 

さて。お話は前回の続きからです。

 

『「武元うるか」という存在は「何だ」...?』という命題と向き合った結果、受験疲れと知恵熱を拗らせ床に臥せってしまった成幸くん。

 

当然(?)のようにヒロインたち総出による看病大会が始まっていくことになるわけですが、この状況でコミカルチックに場を搔き乱せる理珠ちんの存在がまたとても面白いですよね。恋物語を進展させる一つのエンジンという意味で、極めて重要な立ち位置を担ってくれそうな予感もある。

 

 

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積極的な理珠ちん

 

2人の友人たちがある種の『しがらみ』や『葛藤』を抱いている状況——「告白の返事はいらない」と宣言しているうるか、自分の気持ちに罪の意識を覚えている文乃さん——の中で、クリスマスの一件を通して殻を打ち破った理珠ちんの前には、そういったわかりやすい障害は発生していない。

 

ゆえに、彼女がいつ成幸くんに告白をしても不思議はなく僕としてはその局面に期待していたりもするのですが、受験が終わってもなお彼女がそういった行動に至っていない理由は、「うるかや文乃さんの気持ちを薄々察しているから」とかだったりするのでしょうか。

 

表面的にはそういった素振りを感じさせてはいないものの、今この場で一番冷静に場を俯瞰できている人物が理珠ちんである可能性もまた、もしかしたらゼロとは言い切れないのかもしれない。

 

 

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緒方理珠の認識

 

いずれにしても、うるかや文乃さんとの関係性の中で理珠ちんが自身の"恋"にどう向き合っていくのか、初めて見つけた大事な気持ちをどう未来へと繋いでいくのか。

 

結末に向けてその辺りの心情をきちんと描き切ってくれたら嬉しいなと。筒井先生の采配に期待しております。

 

うるかと成幸くんの過去

 

一方、そんなヒロインたちの恋愛模様を描くだけに留まらず、しっかりと成幸くんサイドの視点にも切り込んでいくあたりがこれまでのストーリー運びと異なる点ですよね。

 

 

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うるかさんの乙女パワーが半端ない

 

告白をした側とされた側の2人。

 

「返事とかしなくていいから」と一線を引いてはいても、もう気持ちだけはちゃんと伝わっている。後は彼がその告白について何を想い、どう向き合うのか。その問いの答えこそが物語の焦点であり、言うなれば恋物語の結末」でもある。

 

だからこそ、ここにきての「過去回想」がかなり意味深な描写としてそこに描かれているわけですよね。唯我成幸にとって武元うるかとは何か。そのアンサーがこの思い出の中に詰まっているのではないかと思えてならないから。

 

 

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唯我成幸にとっての武元うるか

 

中学の入学式前に父を亡くし、先も見えず俯いていた自分を引っ張り上げてくれたその子。

 

問43のエピソードで彼自身が「(うるかの頑張る姿に)勇気をもらってたんだ」と語っていた通り、中学時代の成幸くんにとって武元うるかという女の子はとても特別な存在でした。

 

親しい同級生でありながらも、相互にリスペクトし合って積み重ねてきた時間。そんな思い出の日々が今この状況で成幸くんの夢として描かれたこと。その意味を客観的な視点で推し測れば、この後に待ち受けている結末を想像することはさして難しいことではないのかもしれない。

 

長い時間を隔てた今、そこにあった感謝や感情を成幸くんがどう受け止めていくのか。かの刃皇さんよろしく『やっぱりうるかちゃんなんだよなぁ』という結論に至るのか否か、その行く末を見届けたいと思います。

 

 

そして文乃さんは...?

 

というわけで以下が今週の本題(個人の主観です)となるわけですが、この流れから約8ページに渡って文乃さんのターンが描かれていくだなんて誰が想像していたことでしょうか。

 

全国の文乃さんスキーたちが『やっぱり文乃さんなんだよなぁ』と全力で奮起したことは言うまでもなく、好きな人の寝顔にときめいて頬を染めてしまうその様子はもはや人語では到底語り尽くせない程の可愛さを放っていました。

 

 

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文乃さんのターン

 

本音と建前のアンバランスに悩み、とうとう自覚するに至った本当の気持ち。

 

消そうと思っても消せなかったのは、それだけ彼女の恋が「本物」だったからです。ふとした瞬間に彼のことを考えてしまうくらいに大好きで、もうこの想いは自分でも止められない。

 

綺麗な青春と明るい友情を守る。その理想を叶えたかったというのは決して嘘じゃない。それでも、その友情を守るために友達へ嘘をつかなくちゃいけないのならそれはもう「矛盾」でしかない。文乃さんはこの命題にきちんと向き合わなくてはいけなかった。

 

 

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その想いは消せない

 

大切なものを壊さないために彼女が真にすべきだったこと。

 

それは、自分の気持ちから背を向けることではなく、たとえ衝突することになろうとも真正面から友人たちに想いを打ち明けることだった。誰か一人の滅私によって成り立つ関係を「友情」とは呼ばず、理珠ちんやうるかが文乃さんにそんな関係を望むこともまた絶対にありえないのだから。

 

膨らんでいく感情を無理に押し込め続け、自分の気持ちに正しく向き合ってこなかったからこそ生じてしまった「間違い」。望まぬ形でぶつかってしまった想いが、果たしてどのような展開を生み出していくのか。

 

 

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恋と友情の行方は...?

 

違和感から目をそらさず、「恋」と「友情」の本質にきちんと向き合っていく彼女たちの物語。

 

難局を乗り越えて、みんなが幸せになれる結末に確りとたどり着いてほしい。そんなことを願わずにはいられない、問143のエピソードでありました。

 

 

.....というわけで今回の感想をまとめると、

 

 

当ブログは古橋文乃さんを応援しております

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握られた手

 

今週の文乃さんがあまりにも切なさに溢れていてしんどさが半端ない....ってことですよ。

 

文乃さんにとって「手を握る」という行為は成幸くんとの繋がりを象徴する大切なものだったというのに...。その手を重ねながら彼が発した言葉が「うるか」だったなんて、そんなのあまりにも切なくて苦しすぎるではありませんか...。

 

たとえ恋が実らなくても成幸くんに恋をした思い出が彼女にとって大切な記憶として残り続けて欲しいし、成幸くんにもその想いがきちんと伝わって欲しいんです。そうでなくては報われない。

 

次週は舞台が「水族館」ということでうるかメインのお話になりそうな気もしますが、それぞれの想いにきちんと焦点を当てながらお話を進めてくれたら嬉しいなと。そんな期待を込めつつ、一週間後を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志週刊少年ジャンプ」より引用しております。

『五等分の花嫁』117話 感想:五月の抱える"モヤモヤ"の正体は...?四葉ちゃんと二乃の対話にも注目!

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五等分の花嫁 117話「五里霧中ランチタイム」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

 

三玖との対話を通じて四葉ちゃんが一歩前進を果たした前回の『五等分の花嫁』。

 

今回はその流れを受けて二乃と四葉ちゃんによる再びの「対面」がポイントとして展開されていたわけですが、一方で、そんな気まずい状況に思い悩みながらも「モヤモヤして胸が張り裂けそうなのです」と語る五月の姿にも焦点が当てられていました。

 

第115話において「素直におめでとうと言えません...」と複雑な心境を一花さんに吐露していた五月。そこには「皆のことを考えると...」という前置きがあったはずですが、今週の彼女の様子からは「もっと自分の感情に根差した理由」が心の奥底に隠れ潜んでいるのではないか...という"含み"を感じさせられますよね。

 

 

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五月のモヤモヤした感情の正体は...?

 

その感情に名前を付けるとしたなら、果たしてどんな言葉を用いるのが適切なのか。

 

これから五月が気付いていく気持ちとその先にある結末。モヤモヤとした深い霧(=「五里霧中」な状況)が晴れの日を迎えた時、五月は自身の感情をどう昇華させていくのか。そんなところがとても気になる第117話、早速振り返っていきたいと思います。

 

 

 

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第117話:五里霧中ランチタイム

 

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今週は五月回!

 

さて。そんなわけで今週のメインパーソンは五月です。

 

最終盤と言ってもよいこの状況に至るまで唯一ヒロインの中で恋愛感情を表に出してこなかった末っ子の五月。そこにはある種の特異性があり、ブコメヒロインとしてはかなり珍しい関係性を風太郎と育んできた女の子であると感じていた方も実際のところ多かったのではないでしょうか。

 

そもそもスタートからし風太郎への印象は最悪で、その後も「素直」になれなかったりぶつかったりを繰り返してきたわけですからね。

 

似たもの同士でありながら、初めは意固地になってなかなか心を開くことができなかった2人。五月が「上杉風太郎」を信頼し自分たちに必要だと心から感じたのは林間学校編以降のことで、第1話(=初期の頃)との対比として描かれた第111話の五月個別回に最高のカタルシスを味わえたのもそういった背景や歴史ゆえでもあったかと思います。

 

 

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五月と風太郎の歴史(第111話より)

 

 「勉強教えてください」「ごちそうさま(無反応)」で始まり、紆余曲折の末に「勉強教えてください」「勿論だ」と語り合うまでに変わった五月と風太郎のこれまで。

 

その関係性の変化は「恋愛感情」によって生まれたものではなく、積み上げられてきた「信頼の証」としてたどり着いた集大成でした。

 

自身の全てであった「お母さん(=零奈さん)からの脱却」を果たしたあの瞬間でさえ風太郎への「恋心」は自覚せずの状況だったわけで、このままいけば五月と風太郎の関係は「信頼」や「友情」に留まるのではないかなと。それもまた唯一無二なのではないかなと。

 

正直なお話、そんな印象を僕の中では抱き始めていたわけなのですが、しかし...。

 

 

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中野五月さん、ついにラブコメヒロインとしての扉を開く?

 

ここにきて五月の深層意識としての「恋心」が表面化しつつあるのかもしれないと思わせる展開が確かに描かれてもいる。

 

果たしてこれをどう解釈すべきなのか。まぁ順当に考えれば「モヤモヤの正体」=「無自覚だった恋心」と結びつけるのが妥当ではありますよね。

 

「憧れ」や「信頼」の延長線上にある感情として五月は風太郎に「恋心」を抱いていた。下田さんの言うとおり恋愛ドラマには"よくあるお話"で、そのような展開を彼女がたどったとしても全く不思議はありません。五月が風太郎に惹かれる理由についても、物語の中から十分読み取れる範疇だとも思います。

 

 

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その感情は本当に恋なの?

 

ただ、そんな状況下でカウンターとなる意見をあえて一つ投じるとすれば、最終的に五月にとって風太郎は「信頼(友情)>恋愛」となる存在で、今回の一件は五月と風太郎の関係性を再定義するエピソードとして収束していく可能性もまだゼロとは言いきれないのかなとも思ったりはしています。

 

「どうかしてます...あんな人を好きになるなんて(第70話)」と語っていた春の頃から約半年が経過し、現在の中野五月が上杉風太郎に寄せている感情の正体。

 

それを自覚することで「切ない失恋」を五月が味わうことになるのかもしれないし、もしかしたらそうはならないのかもしれない。

 

 

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そのモヤモヤに名前を付けるとしたら

 

いずれにしても「五月の立ち位置」がきちんと明示されていくであろう次回以降の展開は、ラブコメ作品として一つのターニングポイントとなりそうですね。

 

上杉風太郎がただ一人の想い人として選んだのは中野四葉であり、中野五月が上杉風太郎と結ばれることはない。この大前提が既に敷かれてしまっている中で、五月の感情がどのように描かれていくのか。その行く末を楽しみにしたいところです。

 

 

二乃と四葉ちゃんの対話

 

一方、二乃&四葉ちゃんサイドのお話についてですが、こちらも中々に難しい状況にあると言えそうでしょうか。

 

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二乃の心情

 

二乃が今の四葉ちゃんに対して怒っている理由。

 

その根本はきっと、四葉ちゃんが自分の気持ちを偽り「能動的」なアプローチを避け続けてきたからですよね。

 

喜びも悲しみもその全てを一緒に分かち合っていこうと誓ったはずなのに、風太郎自身に対して気持ちを伝えてこなかっただけではなく、姉妹たちに対しても彼女はその想いを隠し続けていた。

 

誰よりもフェアに風太郎への想いを公言し続けてきた二乃の視点から見れば、まさに正反対のスタンスを取っていたとも思える四葉ちゃんが選ばれ、あまつさえその相手に「同情」までされてしまっているわけです。

 

ハッキリ言って「立つ瀬」がない。四葉ちゃんが三玖との対話で気が付いたとおり、二乃が怒っているのは至極当然の結果と言うべきもの。

 

 

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二乃からの厳しい指摘

 

いいわね あんたは恵まれてて

何もしなくても向こうから来てくれるなんて気楽だわ

 

だからこそ、この厳しい台詞に対しても四葉ちゃんは確りと受け止めて前に進んでいく必要がある。

 

もちろん、この指摘の全てが正しいかと言えばそうではありません。風太郎と四葉ちゃんの間にはきちんと積み重ねがあり、四葉ちゃんに支えられてきたと感じたからこそ「隣にいて欲しい」と風太郎は告白するに至った。その意味において、二乃の主張は少し強過ぎる物言いな気がしなくもない。

 

でも、自分が本気で求めても届かなかったものを手にしておきながら、未だ「選択」に悩んでいる四葉ちゃんの姿を"受け身"と評したくなる二乃の心情自体はまぁ理解ができますよね。結果として二乃は、四葉ちゃん自身の口から彼女の気持ちを聞くことができていないままなのですから。

 

 

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言いたいことあるなら言いなさいよ

 

四葉」自身がこの先どうしたくて、どうなっていきたいのか。

 

二乃が聞きたかったのは、「遠慮」の言葉なんかではなく、その「本心」だけ。事実、一花さんや三玖に対しては「誰が結ばれても祝福したい」という認識を抱いていたわけですし。彼女たちとの間にあって、四葉ちゃんとの間にはないもの。それは「想いの共有化」を置いて他にない。

 

 

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「想い」と「覚悟」を共有し合うこと(第85話より)

 

行き場のない悔しさとままならない感情を胸に抱きながら、二乃が自身の恋心にどうけじめをつけていくのか。

 

ディスコミュニケーションを乗り越え、想いをぶつけ合った先に待ち受ける「雪解け」。来る春を迎えた時、彼と彼女たちがそこにあった思い出を笑いながら語り合えていたらいいなと。そんなことを思う、第117話のエピソードでありました。

 

 

 結末に寄せてのあれこれ

 

さて。最後にいくつか気になった点についての言及を。

 

まずは前回の感想でも書いていた四葉ちゃんと風太郎の進路」に関してですが、風太郎は持ち前の学力を活かして普通に大学進学、四葉ちゃんは体育系の大学からスカウトのお話があった模様で...。

 

 

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四葉ちゃんの将来

 

なるほど...。

となると、行く行くはアスリートの道に進んだり、あるいは指導側に回ったり...という感じになるのでしょうか。

 

四葉ちゃんがこれまで歩んできた道の延長線上にある進路になっていて、彼女の「過去」を肯定するという意味ではピッタリですね。まぁ、風太郎の進路が未だ「大学進学」とだけしか語られていないので、この辺りの進展も引き続き注目をしていければなとは思ったりもしてはおりますが。

 

 

もう一つ。

 

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零奈の件はどうなるのか?

 

五月の心情にもやや関わってくる件かもしれませんが、「零奈」や「写真の子」にまつわる事情がこのまま風太郎に伝わらないまま完結するのかどうかも気になります。

 

正直描かれても描かれなくても「結末」自体に影響のなさそうな部分かとは思いますが、とはいえ作品の重要な要素を担ってきたことに変わりはありませんので、五月の心情に焦点が当たるならピックアップされるのも面白いのかなと。

 

結局、風太郎が五月に何を話そうとしていたのか(これは普通に四葉ちゃんとの恋愛相談な気もしますが...)も不明なままですし、この辺りも来週が楽しみですね。

 

 

最後。

 

第114話 最後の祭りが風太郎の場合②
第115話 五通りの朝
第116話 五時間一部屋
第117話 五里霧中ランチタイム

 

第116話のコメント欄でも頂いた意見ですが、今回のお話も含めて三連続で「五」の付くサブタイトルになっている点も中々に興味深いポイントですよね。

 

流石にここまでくれば意識してのことでしょうし、順当にいけば最後まで「五」が並んでいくのだと思います。第1話のサブタイトル「五等分の花嫁」ではじまり、最終話のサブタイトル「五等分の花嫁」で締める。そんな王道の構図に期待したくなりますが、果たしてどうなるのか。

 

いよいよ残り数話(おそらく5話?)となった『五等分の花嫁』。どんな風に有終の美を飾ってくれるのか、心より楽しみにしております。

 

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

『五等分の花嫁』116話 感想:想いを受け止めて三玖も四葉ちゃんも歩き出す!

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五等分の花嫁 116話「五時間一部屋」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

今週の『五等分の花嫁』を読了。 

三玖と四葉ちゃんの対話が描かれていた今回の『五等分の花嫁』。

 

強風が吹き荒れる中、わざわざ四葉ちゃんの真似までして三玖が妹に伝えたかったことは何なのか。選ばれた四葉ちゃんと選ばれなかった三玖が果たしてどんな心情を語り合うのか。

 

姉妹として、家族として、そして「本気の恋」を経験した女の子として。それぞれの想いを胸に抱えながら、彼女たちが見出していく「未来」とは――。そんな、問いかけに対するアンサーが主題となっている第116話、早速振り返って参りましょう。

 

 

 

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第116話:五時間一部屋

 

さて。そんなわけで今回は三玖と四葉ちゃんのお話です。

 

両想いであるにもかかわらず、風太郎からの告白を保留にしている状態の四葉ちゃん。言うまでもなくその背景には姉妹たちへの「負い目」が関係しており、四葉ちゃん側の視点としては「迷惑をかけた姉妹たちに謝らなければならない」という想いがありました。

 

姉妹たちを差し置いて自分だけが結ばれること。そこに罪悪感を抱きつつも、それでも上杉さんのことが好きであることに「嘘」はつけない

 

四葉ちゃんが前回自問していた「上杉さんか皆か」という命題はこの心情によるもので、そのどちらか片方だけを選ぶことなんて到底できるわけもないからこそ「でも私は...」と彼女は続けていた。四葉ちゃんの置かれている心情を整理するならこんな具合でしょうか。

 

 

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三玖の真意

 

一方、そんな悩める妹に対して「私は四葉の真似はできても四葉にはなれない」と語っている三玖。

 

この点が今回のお話「最大のポイント」であったと評しても良いかと思いますが、三玖も一花さん同様にきちんと今の現状を受け容れているのですよね。

 

風太郎が選んだのは他でもなく「四葉」であってどんなに真似をしても自分が「四葉」になることはできない。緑茶が好きな自分にはやっぱりジュースの味は甘すぎる。その事実を正しく認識しているからこそ、うさちゃんリボンを着けてまで四葉ちゃんのもとを訪れた。それが三玖の認識。

 

ゆえに彼女は四葉ちゃんにこう告げるわけです。「でも 怒ってはいる」と。

 

 

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三玖の想い

 

だって、仮に自分が四葉」だったなら絶対にフータローを困らせるようなことはしないのだから。

 

三玖はそれだけ風太郎のことが好きだったのです。だからこそ、両想いなのに遠慮している四葉ちゃんの姿がもどかしくてたまらない。

 

もちろん、風太郎が四葉ちゃんを選び、彼女がどう返事をするのかといった一連のやり取りに関してはあくまでも当人同士の問題です。五月が前回言及していたように、2人の関係について口出しする権利を三玖が持っているわけじゃない。

 

 

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四葉ちゃんと風太郎は両想い

 

でも、それでも想いが届かなかった三玖の立場からすれば、権利を有し「上杉さんのことを想い続けてる」とまでハッキリ言葉にしている彼女が一歩踏み出せないでいる状況に対して当然思うところがあるわけですよね。

 

両想いになれなかった悔しさや行き場のない苛立ちが湧いてくる中で、選ばれた側の人間が停滞しているなんてそんな惨めなことはない。遠慮されるぐらいなら、届かなかった自分たちの想いを受け止めて前に進んでくれた方が救われる。

 

自分の失恋と四葉ちゃんの選択が別種のものであるとわかってはいても、行き場をなくしてしまった自分たちの気持ちを、そこにあるやるせなさや怒りを背負ってきちんと幸せになって欲しい。

 

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前に進むために

 

たとえそれが選ばれなかった者たちのエゴであろうとも、そんな三玖のスタンスを責めることが誰にできるものでしょうか。

 

背中を押すのではなく、想いをぶつける。修学旅行で二乃が自分にしてみせてくれたことをこの場で四葉ちゃんへとつないでいく三玖の在り方がとても美しい一幕だったなと感じた次第でありました。

 

 

三玖も四葉ちゃんも歩き出す

 

一方、三玖との対話を通じてしっかりとその想いを受け止めることができた四葉ちゃん。

 

 

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想いを知る

 

自らの過去も、姉妹たちへの負い目も。かつて二乃が「あんたも変わりなさい」と諭してくれたように、ちゃんと区切りをつけて前に進んでいかなくてはいけないから。

 

一歩引いて姉妹たちの幸せを願うのではなく、これからは自分の幸せを、自分の人生を一歩ずつ前向きに歩いていく。だからもう譲れない。カラオケで歌いたい曲も、好きな人への想いも、どんなことだって自分の気持ちに素直になろう。

 

それこそが中野四葉がたどり着いた「答え」であり、彼女がこれから先「自分自身」の手で掴み取っていく「未来」になる。

 

 

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これでいい

 

本気の恋を通して強く逞しく成長を遂げた彼女たち。

 

何が好きで、どんなことがしたいのか。それは彼女たち自身が自分の意志で決めていく事です。

 

主人公に選ばれる選ばれないに関係なく、誰もが自分を主人公にした人生を生きているのですから。三玖の台詞「私は四葉になれなかったけど 四葉だって私になれない」とはきっとそういうこと。

 

 

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三玖がたどり着いた答え

 

だからこそ「フータローに好きになってもらえる私」ではなく、三玖が「自分を好きになれた」ことに物語の集大成がある。

 

フータローと出会い「恋」をしたからこそ気付くことのできた自身の可能性。遠い世界にまで繋がっている海へ向かってリボンを投げ込み、確かな成長を見せてくれた三玖の姿。

 

 

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三玖の成長

 

私は私を好きになれたんだ

 

と笑顔で語る彼女が果たしてどんな明日を描いていくのか。

 

そんなことを妄想したくなる第116話のエピソードでありました。

 

 

四葉ちゃんの進路、風太郎の進路

 

さて。こうなってくると残り数話の中でどんなお話が描かれていくのか気になるところですが、何と言っても四葉ちゃんと風太郎の進路に関する話題がまだ出てきていないのでそのあたりも焦点になると言えそうでしょうか。

 

 

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夢を見つけてこその卒業

 

かつて風太郎が語っていたように、本当の意味での卒業とは「次の道」を見つけてこそ果たせることですからね。

 

作品のテーマを踏まえれば後日談的にさらっと描いておしまいにするのではなく、きちんと尺を設けて語られた方が良いのかなと個人的には思ったりもしますが果たしてこの先どうなるか。

 

未来の結婚式に向けていよいよフィナーレも近い『五等分の花嫁』。来週も楽しみにしております!

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

『ぼくたちは勉強ができない』142話 感想:時を超える約束!武元うるかと唯我成幸の未来は...?

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ぼく勉 問142 感想「泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ①」

ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意

 

うるかが積年の想いを成幸くんに打ち明けた前回の『ぼく勉』。

 

今回はその余韻のまま「うるかの長編」へとストーリーが移っていき、今まで深堀されずにきていた「成幸くんの気持ち」にも焦点が当てられていくという流れでお話が展開されていました。

 

まぁ順当に「うるかエンド」でオーケーってことなんでしょうし、正直アニメの最終話を視聴する前からそうなんだろうと思っていたので個人的には驚きも何もなかったのですが、しかし、視聴者目線でアニメに対する率直な意見を述べるのなら「過程をすっ飛ばして結末だけを描くことに何の意味があったのかな」とは思ってしまいますよね。

 

 

 

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アニメはうるかエンド

 

今まさに佳境にある原作の展開を頭またぎで飛び越えるようなエンディングを用意してまでアニメで伝えたかったことは一体何だったのか。

 

もちろん、原作と違ってアニメには尺の都合がありますし、最後まで描けないならせめて「アニメなりの答え」を刻んでおきたかった...という作り手側の意図もあったのかもしれません。生み出され世に出たものが"全て"で、そこからどう楽しむのかがエンタメだという意見も全くもってその通りでしょう。

 

とはいえ、やっぱり物語である以上「奥行き」だけはしっかり描いてくれないときっと僕は本心から祝福したいとは思えない。『誰と結ばれるか』も重要なことですが、何よりも一番は『どう結ばれるか』にかかっていると思っていますから。

 

 

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彼と彼女の気持ち

 

奥行きを探り、彼と彼女らの気持ちを追いかけてこそ最高の結末にたどりつける。

 

積み上げてきた時間も、歩いてきた軌跡も。最後まで大事に抱えたまま、ちゃんと卒業してちゃんとゴールテープを切っていきたい。そんな展開が描かれてくれることを切に願いつつ、紛うことなき「原典」としてのストーリーを今日も今日とて楽しんでいきたいと思います。

 

<関連記事>

 

 

 

ぼく勉 142話:泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ①

 

さて。そんなわけで今回から「うるかの長編」がスタートです。

 

例によって気になるのが、

 

泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ

 

というサブタイトル。人魚姫はそのままうるかを指しているとして、「泡沫」「約束」「濡つ」の3点がポイントと考えて良さそうでしょうか。

 

はかなく消えやすいもののたとえである「泡沫」、ある一定の期間を隔てた"誓い"がなされるのではないかとも読み取れる「約束」、そして"涙"を連想させる「濡つ」。

 

そんな意味深なキーワードが並列的に機能し、いよいよ恋愛軸のお話が盛り上がっていくのだろうと思えた長編の幕開けだったわけですが、

 

 

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返事はいらない

 

返事とかしなくていいから

 

まさかまさか、告白者であるうるかの口からもたらされたのは「返事とかしなくていい」「卒業式の後(あとほんの数日後)に日本を発つ」という2つの宣言でした。

 

この時点でアニメの展開(アニメでは空港のシーンが「翌年6月某日」とかになっていましたよね)とはやや異なる状況になっていそうとも解釈できますが、一方、前者の「返事とかしなくていいから」という台詞の方はその"本心"が気になるところですよね。

 

 

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成幸くんの気持ち、うるかの気持ち

 

もうすぐ離れ離れになることが最初からわかっていて、それでも「告白」をしようと心に決めていたうるか。

 

真冬先生の親戚が営むペンションで卒業旅行を満喫するその姿は、今までの慌てふためく乙女なうるかちゃんとは違ってどことなく「吹っ切れている」ようにも見えます。

 

返事を聞くのが怖いから保留にしている...というわけでもなさそうですが、ならどうして彼女は成幸くんからの返事を聞こうとしないのか。

 

 

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2人きり...

 

スキーにカラオケにお風呂。いつも通りの賑やかなドタバタコメディが描かれながらも、手渡されたバトン(=5年分の想い)をしっかり受け止めようとする主人公・唯我成幸くんの姿がそこには描かれていました。

 

 

2人の告白

 

全員が「夢」のスタートラインに立ち、「告白できない」うるかがついに告白を達成することもできたこの状況。

 

しかし、2人が手を繋ぎ合うために必要なピースはまだ揃ってはいません。唯我成幸にとって武元うるかとはどういう存在なのか、その認識が未だ明確なものになっていないから。

 

「教育係と生徒の関係」であり「同級生」であり「自慢の友達」でもある武元うるか。そんな彼女からの告白を受け唯我成幸は考える。

 

 

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何を話したかったのか

 

目の前にいる女の子に自分は一体何を話したかったのか。

 

5年もの間ずっと自分のことを想い続けてくれていた女の子。そんな彼女の気持ちに対して、「付き合う」「付き合わない」の二者択一で返事をすることが果たして本当に誠実と言えるのか。

 

5年間自分が彼女のことをどう見てきて、そして今どう思っているのか。様々な思い出が去来してくる中で成幸くんの胸に芽生えていく感情。その答え。

 

 

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唯我成幸にとって武元うるかとは?

 

きっとその問いに対するアンサーを成幸くんが自覚した時、『ぼく勉』の恋物語真の終着駅へとたどり着くことができるはずです。

 

水泳を頑張るうるかの姿が中学時代の成幸くんに勇気を与え、成幸くんの言葉がうるかの原動力になっていた。今回のサブタイトルが示唆する「約束」というワードは、そんな2人の関係を象徴するものになっているのかもしれませんね。

 

離れていても通じ合いお互いの存在に勇気を貰って前を向く。唯我成幸にとって武元うるかはそういう存在であり、その逆もまた然りのはずなんですから。

 

「今は死ぬ気で水泳がんばるから…っ。だからずっと…ちゃんと見ててねっ!(問91)」と誓ったあの日の決意を胸にきっとうるかは成幸くんの一番になる。留学はお別れではなく夢を叶える為の一歩。だから「今」は返事を聞かずに走り切る。やれることをやり切った末に、今一度手を取り合ってゴールにたどり着いていく2人。

 

筒井先生が目指しているのはそんな完結なんじゃないかなと、そう感じた問142のエピソードでありました。

 

....というわけで今回の感想をまとめると、

 

 

 

文乃さんは永遠のメインヒロイン

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今週の文乃さん

 

今週の文乃さんが最高に可愛かった!ってことですよ。

 

全ての道がローマに通じているように、全ての「可愛い」は文乃さんに通じているまでありますからね。

 

「手」を取り合うならそこはもう「文乃さんエンドしかないのでは...?」と残留思念が浄化されぬまま残り続けてもおりますが、たとえ恋物語にどのような決着が待っていたとしても、時間を超えて光を届ける星のごとく、文乃さんは永遠に僕の中ではメインヒロインなので問題はありません。

 

文乃さんのおかげで僕がこの作品を楽しめた事実だけは何があっても揺らぐことはないし、そういう意味でも完結まで確りと文乃さんの感情を追い続けていけたらいいなと。そんなわけで次回も可愛い文乃さんのお姿を期待しております!

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志週刊少年ジャンプ」より引用しております。