『咲-Saki-』第208局「臨戦」感想
咲-Saki- 208局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)
前回、数え役満に続く三倍満和了でダンラスからの急浮上に成功した、阿知賀のドラゴンロードこと松実玄ちゃん。
一方、点数こそ未だトップを維持しているものの、開幕の「天和」以降全く和了れぬまま他校の猛追を許す形となってしまった優希は、残る南場の戦いに対して強い焦りを抱いていました。
臨海のメガネが私より速く高い手の3連撃
そこから宮永照の連続和了
さらにドラ女が完全に化けてきた
上述の台詞通り、3人の強さに圧倒され手も足も出なかった後半戦の優希。
決勝戦に合わせて最速の状態に仕上げてきたというのに。自身のテリトリーである東場でさえも対抗出来なかった彼女らを相手に取り、ここから先の南場をトップで走り抜けることが果たして本当に可能なのか。
そんな片岡優希の持つ素の雀力、その真価が問われる状況から始まった今回のお話。早速見ていきましょう。
<前回の感想>
第208局「臨戦」
〇南2局 親:松実玄 ドラ:
続く南2局。大物手の連続和了で勢いに乗り、なおも「臨戦」体勢を崩さない親の玄ちゃん。
ドラ
配牌ドラ3のこの状態から、、、、の順にツモっていき、
ツモドラ3赤4の親倍・8000オールを和了!
待ちの平和を捨て、役無しの中膨れ単騎でツモ和了る。別室で観戦していた豊音たちが総ツッコミをしている通り、中々にめちゃくちゃな打ち方ですよね。
ドラのをツモってきた5巡目、
①ツモ切りであれば平和付き待ちの両面
②を切れば三色目の残る待ちの両面
③を切ればの三面待ち
この3つの選択肢が他にあった中で選んだ「打による単騎待ち」。
最後のを引ける確信がなければ、まずもってありえない打ち方だったと思います。後ろに控える「みんなのために」少しでもたくさんの点棒を稼ぎたい。2回戦と準決勝で自分の失点を取り返してくれたみんなに恩返しがしたい。
そんな玄ちゃんの強い想いに牌が応えてくれたということになるのでしょうか。ついに阿知賀女子の松実玄、この決勝先鋒戦がスタートして初めてトップへ浮上することになりました!
圧巻に次ぐ圧巻の大逆転劇。
『咲-Saki-』シリーズの伝統として一度絶望的な大差を付けられた高校が1位へと返り咲く展開はまま描かれてきたことですが、最強の高校生・宮永照を含むこのメンバーを相手に成し遂げて見せたことの意味は非常に大きい気がしますね。
阿知賀編で描かれた準決勝においてはほぼほぼ付け入る隙もなく、オーラスに一矢を報いるのがやっとな状況だったわけですし。3連続和了で未だ親番続行の玄ちゃんがこのままトップで宥姉にバトンをつなげることになるのか。
〇現在の点数状況(後半戦南2局終了時点)
1位 阿知賀女子 :113200点
2位 清澄 :102700点
3位 白糸台 : 97300点
4位 臨海女子 : 86800点
この点数状況でガイトさんと照の親番を残しつつ、場は「南2局1本場」へ突入であります。
世界を知る照とガイトさんの強さ
一方、怒涛のドラ爆三連撃によってついにトップを明け渡してしまった現在2着の優希ですが、
ダメだ...
手がつけられないじぇ...
バケモノどもめ...
と意外にも戦意喪失気味な状態に。
まぁ、ここら辺の差はやはり経験によるところも大きいですよね。
瞬間的な爆発力であれば優希の力はこの卓でも随一のものだろうけれど、「対応力・適応力・総合力」という意味でみると照やガイトさんたちには遠く及ばない。
なぜか。その根底にある理由はおそらく絶対的にくぐり抜けてきた修羅場(=苦境)の数が違うからであります。
長野県予選決勝で池田が言っていたように
「心が折れて弱気になったらくる牌まで弱くなる気がする」
「もし神がいるのなら前に向かう者を好きでいてくれるはず!」
という考え方こそが『咲-Saki-』世界を貫く絶対のジャスティスなわけですから。神(=立先生)が定めたその卓上のルールは、これまでにも幾度となく描かれてきた通りでした。
であればこそ、世界を知り数多の強敵と闘ってきた照やガイトさんが強いのはもはや必然というもの。どんな時でも置かれた状況を冷静に見定め、活路を見出すための最善の一手を模索する。
そんな2人の姿に「強さ」の一端を見出した優希は果たして、この困難を打破することができるのか。
県予選決勝の時のように椅子を回転させて気合を注入した優希の奮闘に期待したいところですね。次号は休載で、次回は11月1日発売号で掲載予定。ラストに親番を控えている照の"本気"にも注目しております!
『五等分の花嫁』104話 感想:思い出を"未来"へと繋いでいく!真剣な気持ちと二乃のキスと...!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
前回に引き続き今回も二乃視点のお話です。中野父に直接文句を言いに行こうと提案する風太郎に対し、
行かないわよ もういいわ
パパは来なかった 招待状は読んだのに
私たちのことなんか微塵も考えてないのよ
と語りその提案を突っぱねる二乃。待ち続けても意味がない。叶わない望みに期待して後悔をするのが嫌。
意外にもそんな後ろ向きな言葉を並べ立てて諦めようとする彼女ですが、この冒頭のやり取りもまた今週の物語における「一つのポイント」ですよね。なにせ、
何 弱気になってたのかしら
押しても引いても手応えがなくても...
さらに攻めるのが私だわ
という台詞の通り、「振り向かせるまで諦めない芯の強さ」こそが自他共に認める本来の"二乃らしいスタンス"だったわけですから。
自分の「愛」が届くことを信じ、相手から想われるその時を信じ抜くこと。血を分けた姉妹たちへの愛。大好きなフー君への愛。そして、唯一無二の"家族"であるお父さんへの愛。
そんな様々な愛を胸に二乃が「大切な人達」へ今一度伝えたかったこととは何なのか。そして、中野マルオは一体どんな気持ちを抱きながら娘たちを見てきたのか。「家族」と「恋」の両輪を軸に据えながらお話を振り返っていきたいと思います。
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第104話:最後の祭りが二乃の場合②
さて。冒頭でも触れた通り今週は「二乃視点で描かれる学園祭2日目」のお話であります。
風太郎の計らいで父が学園祭に来ていた事を知り、正面から向き合う意志を今一度固めることになった二乃。自分達の気持ちが伝わっていたこと。お父さんが自分たちに関心を持って歩み寄ろうとしてくれていたこと。
そんな事実を目の当たりにし、そこにある不器用な「父の想い」を感じ取ることが出来たからでしょうか。嬉しさ交じりの表情と共に、自分の想いを込めた「思い出のパンケーキ」を二乃はマルオパパへ振る舞おうとしていました。
かつての恩師・零奈先生が娘たちを喜ばせる為に作ったそのふわふわなパンケーキ。
調理をする二乃の姿を視界に捉えながら「在りし日の零奈さん」との会話を思い出すマルオの様子は、長い間彼の中で息づいてきた「過去を受け止められない気持ち」の表れでもあったのかもしれません。
「最後に(パンケーキを)作ってあげたかった....」「これ以上あなたの貴重な時間を余命僅かな私に注ぐことはしないで」と自身に残された時間の少なさを口にする彼女に対し、
余命だなんてそんなこと言わないでください
と語るマルオの姿には、零奈さんのことを深く深く愛していたんだなという事実がひしひしと伝わってくるようでもあって....。
第87話で零奈さんの退院エピソードがちらっと描かれてもいましたが、あの描写はやはり「残り僅かな時間を娘たちと一緒に過ごしたい」という零奈さんの切なる願いによるものだったのでしょうね。
子供たちの成長を見届けること。それこそが零奈さんにとって何よりも大切な「使命」であり、同時に「心残り」でもあったわけですから。
退院をして約束通りにパンケーキを振る舞って......というやり取りの末に、その「心残り」を託せる人物としてマルオを選んだ零奈さんの心中。
そこにあった心情を推し量るとするならば、やはり零奈さんにとってもマルオの存在はとても特別なものだったのだろうなと。「パンケーキ 君も気に入ってくれると思いますよ」と語る零奈さんの表情には、そんな慕情が見て取れたように思えました。
思い出のパンケーキと"家族"
一方、そんな過去を持つマルオの元へ「娘たちの成長」が感じられる一皿が差し出されることに。
小さな子供だった自分たちがそれぞれにやりたいことを見つけ、その目標に向かっていこうとしていること。きちんと「過去」に向き合い、その思い出を「未来」へと繋ごうとしていること。そんな自分たちの成長を二乃は父であるマルオにもちゃんと見てほしいと思っていました。
そんな二乃の想いに触れ、「零奈さんの死」という受け入れがたい過去から自分が目を逸らそうとしていたことに気付かされるマルオの独白がこれまた何とも切なさに溢れまくっていてもう最高に泣けるシーンになっていましたよね。
零奈さんから託された娘たちのことを大切に想いながらも、その姿を見る度に突きつけられる「零奈さんが亡くなってしまった」という事実が苦しくて。無意識のうちに彼女たちから距離を取ってしまい、その苦しみから逃れようとしてきたこれまでの時間。
それはマルオが零奈さんのことを一途に思い続けてきたことの象徴であると同時に、未だ前に進めていないことの証でもある。失ってしまったものから逃げて立ち止まるのではなく、悲しみから目をそらさず成長してきた娘たちのようにこれからを生きていきたい。
次は家族全員で食べよう
というマルオの台詞には、そんな前向きな気持ちを"家族全員"で分かち合っていこうとする覚悟が感じられて非常に熱い展開だったなと。
二乃もまた「パパ」から「お父さん」へ呼び方が変わっていましたし、零奈さんが遺した思い出の味を噛み締めて確かな前進を果たした中野家のこれからに注目したいところです。
真剣な気持ちと攻める恋
さて。そんな偉大なる「変化」を遂げたマルオさんでございますが。
何だかんだ言っても、こと恋愛事に関してはしっかり「父親目線」を発揮してくれちゃうところがまた最高にお茶目ですよね。
大切な人の愛娘たちだからこそ、そして自分にとってもかけがえのない大切な「家族」であるからこそ、男としても父親としても、上杉風太郎という少年が信頼に足る人物なのかどうかが気になって...。
かつては「嫌いだ」とまで言っていたその相手に対し、
だがそれが私にできなかったことだ
君に頼んで良かったと心から思う
と語るのは、娘たちと向き合うキッカケを作ってくれた風太郎への"感謝"ゆえでありましょうか。
父として家庭教師の範疇を超えることに予防線を張りながらも、その行いに助けられ救われた事に対する謝意を述べる。
そのうえで「君が娘たちとの関係を真剣に考えてくれることを願おう」と伝えるのは、単なるライバル心などではなく、娘たちには絶対に幸せな恋をして欲しいのだと、そんな想いが根底にあるからなのかもしれませんね。
まさしく、かつての中野マルオが零奈さんに対してそんな「感情」を抱えていたように。
友達や親愛としてのそれではなく、たった一人の相手をどこまでも愛し特別だと思うその気持ち....。
そんな感情の高まりが「キス」という形で表面化してくる展開の素晴らしさに敬意を表しつつ、来週以降のお話を楽しみにしていきたいなと。今週はそんな気持ちにさせられる、最高の二乃回だったなと思いました。
.....というわけで今回の感想をまとめると、
「最後の祭り」と「後夜祭のキャンプファイヤー」について
「最後の祭りが〇〇の場合」編が熱い展開の連続でヤバ過ぎる!ってことですよ。
事前に予感めいたものがあったとはいえ、まさか本当に一花さんに続いて二乃まで「キス」をすることになろうとは....。こうなると俄然「残る3人」のストーリーが気になってきますが、一花さんから始まる順番になっている点もまた今回のシリーズの絶妙なところなんですよね。
キスをしても不思議のない「一花さん・二乃・三玖(予定)」の物語を前半パートで描き、キスをするかどうか読みがたい「四葉ちゃん・五月」の物語を後半部分に持ってくる。
最後の試験編では「姉3人が恋愛軸のお話」「妹2人が勉強軸のお話」という風に区分けがなされてはいましたけれど、今回は「学園祭で倒れた子」が「林間学校(結びの伝説)で倒れた風太郎」と物語的に対をなす構図になっている可能性(そこまで大事に至っている様子もなかったのでわかりませんが)もありますし、背負っている文脈的にも四葉ちゃんまたは五月が何かしら大きな爪痕を残してくれる期待感はそれなりにあるのではないでしょうか。
もちろん、先週の感想でも触れた通り、
①風太郎の唇→一花さんとのキス
②マルオの影→二乃回
③燃え盛る炎→三玖回
④キャスト変更→四葉ちゃん回
⑤謎の人影(特別講師?)→五月回
までが1~2日目の内容で3日目の「後夜祭」に更なる爆弾が仕込まれている可能性も考えられますから、当面は「残る3人」のストーリーに着目しつつ、来る最終日の物語を楽しみに待ちたいなと。ひとまずは来週のお話に期待しております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。
『ぼくたちは勉強ができない』129話 感想:桐須真冬先生と古橋文乃さんたちの"雪解け"!
ぼく勉 問129 感想「雪解けに彼女らは戯れ[x]に寄り添う」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『ぼく勉』を読了。
波乱の展開となったセンター試験が終わり、今回はその後日談です。成幸くんの足の状態を心配して唯我家を訪れていた文乃さんたち御一行。来て早々「最強の門番」こと妹の唯我水希ちゃんに追い返されそうになるも、小美浪診療所から真冬先生カーで帰宅してきた成幸くんと軒先でバッタリ遭遇することになりました。
まぁ要するに、成幸くんが「軽い捻挫」だったことを知って「聖母マリアのような笑みを浮かべていた文乃さん」が最高にお可愛いかったというお話なわけですが、
成幸くんも含めてみんながセンター試験の結果に満足気だった点は凄くほっこりさせられる良い展開でしたよね。
「努力」と「才能」の対比をテーマにしてきた『ぼく勉』という作品にとって「積み重ねてきた努力が結果に表れる」というシンプルな結論は、やはり絶対的に必要なもので決して外してはいけない要素でもあるわけですから。
理想的な結末を叩きつけてくれたっていい。そんな、みんなが笑って終われる最高の結末「約束のネバーランド」に成幸くんたちがたどり着けることを祈りつつ、早速今週のお話を振り返っていきたいと思います。
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ぼく勉 129話:雪解けに彼女らは戯れ[x]に寄り添う
さて。そんなわけで今週のお話はセンター試験編の後日談です。
「できない娘」たちに支えられ、何とかセンター試験を無事に乗り越えることができた成幸くん。教育係に任命されてからの1年間本当に様々な出来事をみんなと経験してきた彼ですが、そんな積もる話はさておいて、開幕から美少女たちの織り成すキャッキャウフフな雪合戦が始まったのでありました。
ふむふむ。
この光景が中々に味わい深いですね。気まずい空気感を漂わせる「真冬先生&文乃さんたち」に対し、アイスブレイクさながらにあしゅみー先輩が一石を投じる。そこから始まる仁義なきガチンコバトルには一切の遠慮がなく、ただそこには童心に返って思いっきりはしゃぐみんなの姿が描かれていました。
「子供」も「大人」も関係ない。全員が思うままに戯れ、思うままに笑い合う。そんな光景を見て成幸くんは一体何を想ったのか。
温かい目で彼女たちを見守ろうとする教育者らしいスタンスと、
お約束のように発生するお色気イベントを前に顔を真っ赤にしてしまう純情さ。
あしゅみー先輩にからかわれる一連の流れまでも含め、それこそが"成幸くんらしさ"なのかもしれませんね。
彼女たちの魅力を内側からも外側からも知ることになったこの一年。様々な課題に向き合ってきた[x]たる唯我成幸の最後にして最大の難題が「恋」になっていくということであるのなら、どのような「結末」であれ、彼が出した「答え」を受け止め祝福してあげられたら良いなと。そんなことを思う今日この頃でありました。
誤解が解けるとき
一方、今回は「真冬先生と文乃さんたちの関係」にきちんと一区切りが着けられていた点もまた非常にほっこりくる展開だったように思います。
「スピーディーに入らないとお湯がもったいない」理論(問86参照)が根付いている唯我家のルールに則り、共にお風呂に入るというまさか過ぎる事態に発展することとなった3人。
そんな気まずい状況の中でもきちんと相手に歩み寄り自分たちの「気持ち」を切り出してみせた文乃さんと理珠ちんの勇姿には個人的にとても心打たれるものがありました。
成幸くんを助けてくれたことに対する「感謝」と、
ずっと冷たい人だと「誤解」し続けその温かさに気付けずにいた「申し訳なさ」。そんな感情が彼女たちに、
本当にごめんなさい.....
という謝罪の言葉を語らせたわけですね。陰から自分たちのことを見守り支えてくれていたこと、本当は誰よりも真剣に生徒たちのことを考えてくれていた先生であったこと。
それらを知った今となっては、これまで自分たちが抱いてきた認識が如何に見当違いなものであったのかがわかる。きっと文乃さんたちの心情としてはそういうものだったのでしょう。
でも真冬先生にとってその「謝罪」は、本来自分が彼女たちに対してしなくてはならないものだったわけですよね。
「生徒を才ある道に導くこと」。過去の苦い失敗からその「教育指針」を絶対のものと考えるようになっていた彼女のスタンスは、そこにたとえどんな想いがあれ、生徒たちの意志に反していた以上「エゴ」の押し付けと変わらなかったわけですから。
「できないこと」を「できるようにしていくこと」が"努力"であり、「わからないこと」を「わかるようにしていくこと」が"勉強"である。生徒の夢に教師が寄り添い、その果てに一つの願いを叶えていくこと。
そんな、唯我成幸とできない子たちが積み上げてきた一年間の物語にありったけの敬意を込めるかのように語られた、
その指針が全てではなかったのだと教えてくれた人たちがいた
そしてそれをあなたたちは実際に証明してみせた
ずっと謝るべきだったのは私の方なの
という真冬先生の素直な気持ちがとても印象深く、そして最高に感慨深く感じられる回でした。
誤解を解き新たな解を手にした彼女たち。「雪解け」を果たした3人が、来る「春」に向けてもっともっと胸の熱くなる物語を生み出してくれたら嬉しいなと、
熱々のちくわを胸に仕込む真冬先生の姿を眺めながらそんなことを感じる、問129「雪解けに彼女らは戯れ[x]に寄り添う」のエピソードでありました。
というわけで今回の感想をまとめると、
次週は「文乃さんvs真冬先生」回!
やっぱり文乃さんのお尻が最高にビューティフルだった!ってことです。
「お尻と言えば真冬先生」というコモンセンスに一石を投じていく筒井先生の貪欲さには感謝しかありませんよ。
次回は文乃さんが早速「真冬先生宅」に突撃訪問してチャンピオンベルトを奪いにいくお話(※カレーを作りにいくお話です)が描かれるようですし、もはやこれは問37のカレー回を越える文乃さん回に期待ですね。史上最強の家事バトルを楽しみにしております!
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。
『カッコウの許嫁』感想:吉河美希先生の新作読切ラブコメ!素晴らしいボーイミーツガール劇場でした!
『カッコウの許嫁』 最新話 感想 ネタバレ注意
今週号のマガジン(2019年43号)に吉河美希先生の新作読み切り『カッコウの許嫁』が掲載されました。
「週刊少年マガジン」の60周年特別企画として吉河先生が新規に描き下ろされていた読み切り3作品の内の1つですが、個人的に今回の『カッコウの許嫁』が一番吉河先生らしさが感じられて好きですね。ボーイミーツガールものとしてのワクワク感が素晴らしい。
『山田くんと7人の魔女』にハマって「マガジン」を定期購読するようになった身としても、是非『カッコウの許嫁』で吉河先生にマガジンへと戻ってきて頂きたいなと。そんな期待感の持てる作品だったので、応援の意味も込めて今回は感想を書いていきたいと思います。
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『ヤンキーくんとメガネちゃん』・『山田くんと7人の魔女』の吉河美希先生完全新作読み切り最終弾!!取り違え子から始まるぶっ飛びラブコメ!!
『カッコウの許嫁』:取り違えから始まるぶっ飛びラブコメ!
名門進学校に通う主人公の海野凪(16)は 、生まれた時にもうひとりの新生児と取り違えられてしまった、いわゆる「取り違え子」でした。
16年間血の繫がらない両親の元で育ち、つい1ヶ月前に取り違えの事実が発覚したことで「実の両親」と面会をすることが決まった凪。
当然のごとく複雑な心境になるわけですが、
16年間この家で育ってきたんだぞ?
ガキじゃあるまいし 今さら"新しい親"なんて受け入れられると思うか?
という凪の台詞が中々にミソですよね。
知らなければよかったという問題ではないけれど、16年もの間「海野家の子供として」育ってきたその事実は変わらない。「血のつながり」があろうとなかろうと、今までの「思い出」を無視して"新しい親"と暮らすなんていう理屈は、少なくとも凪にとっては非常に受け入れがたいものでした。
そんな凪の想いは妹ちゃんとも通じ合っているらしく、
やだな....お兄ちゃん
いなくなったらやだよ...
と泣きじゃくるその姿には隠し切れない"愛"が見受けられます。乗り気な親たち(後に明かされる事情が理由になっているのだとは思いますが...)とは違い、妹の幸ちゃんはお兄ちゃんが大好きな様子。
大好きなお兄ちゃんとの間に「血のつながりがない」ことが発覚した今、幸にどのような気持ちの変化が起こっていくのか計り知れませんが、「家族としてお兄ちゃんが好きな妹」という立ち位置なのか、あるいは「お兄ちゃんに男の人としての魅力を感じてしまう系の妹」なのかによって今後の関わり方が変わっていきそうな感じはしますね。
今回の読み切りを読んだ印象だと「前者」なのかなと個人的には感じましたが、ラブコメ的には「後者」も十分にありうるのかなと。是非連載で妹ちゃんの行く末も描いて欲しいものです!
至高のボーイミーツガール
さて。そんな経緯で実の両親との面会に向かう凪でありましたが....。
その途中で一人の少女と出会うことになります。
少女の名前は天野エリカ。同い年の高校一年でお嬢様育ちな彼女ですが、若干16歳にして親から結婚相手を決められており、そんな親に反発の意を示すために炎上動画(飛び降りたフリ)を撮影していたところ、自殺と勘違いして止めに入った凪に胸を揉まれてしまうことに。
えぇ、つまるところ拍手喝采もののボーイミーツガール劇場が繰り広げられていたわけなのですが、そんなトラブルから始まった出会いでありながら、2人とも家族に対して問題を抱えていたという「似た者同士」的な構図が出来上がっていた点は中々に面白いところでした。
なるほどね あなたは取り違え子問題で私は許嫁問題...
お互い家族の問題を抱えてたって訳ね
結婚したくないエリカと今のままでいたい凪。
そんな状況で凪に「彼氏のフリ」を依頼し縁談を破談に持ち込もうとするエリカの推進力がまた良いですよね。ツーショット写真を撮って親を説得するという破天荒な提案を推し進めるエリカに引っ張られ振り回されながらも、
その時の空気感が伝わるのがいい写真だと思ってて
という彼女のこだわりに感心させられたり、屈託のないその笑顔にドキッとさせられたりする。
かけ離れた世界に住む人間だと位置付けていたお嬢様のエリカのことを身近に感じている凪の様子は、「お互いの家族」をテーマにしているこの作品にとって非常に意味のあるシーンだったのではないかなと。そんな印象を抱かせる描写になっていました。
自然体でお似合いの2人
そんなこんなで、一番自然体な自分たちが写っている渾身の一枚を添えて「実は彼氏いるんです」と親にメールを送ることにしたエリカですが、しかし父からは「面白い冗談だね(笑)」というレスポンスが返ってきてしまいました。
まぁ結論から言うとこの返しが中々に絶妙なんですよね。普通に捉えれば「ニセの彼氏であることがバレた」と思えてしまう内容で当のエリカもそう解釈をしたわけですけれど、後々の展開を見ると実際には全く違った意味合いの言葉であったことがわかるわけですから。
最初に撮ったこの写真を見て2人の仲を疑わなかったお父さん達。つまりそれは、あの写真がとても自然なもので2人がお似合いに見えていたということの証左でもある。
そんな文脈で語られる、
結婚相手が凪くんだったらよかったのにな......!
という本音とも冗談とも取れる台詞回しがまた非常に上手いですよね。「なーんて!」と付け足すところに遊び心があってロマンがありましたし、その後の凪の反応もグレイトの一言でした。
実際その結婚相手は凪くんだったわけですから、今後2人がどのように関係を深め絆を育んでいくのか、続きを読める日がきてくれたらとても嬉しいなと。連載化に期待ですね!
.....というわけで今回の感想を一言でまとめると、
2人の未来に期待!
エリカさんが最高に可愛かった!ってことですよ。
やっぱり吉河先生の「ボーイミーツガールラブコメ」は無敵だなと。そんなことを改めて思わされた一作でした。
「恋人のフリ」という導入からどのようにして「恋人」「家族」というフレームに収まっていくのか。連載でこの先の未来が読める日を心からお待ちしております!
『五等分の花嫁』103話 感想:風太郎 VS 中野父 再び!思い出のパンケーキが繋ぐ二乃とマルオの絆!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
2週に渡って描かれてきた至高の一花さん祭りに一旦の区切りがつき、今回から二乃回がスタートしました。一花さんの時と同様「学園祭終了のアナウンス」を基点にした導入が1ページ目に仕込まれているわけですが、このワンシーンが何を示唆しているのかはやはり非常に気になるところですよね。
教室のベランダで外の景色を眺めている一花さん
教室の中で物憂げな表情を浮かべている二乃
という具合にそれぞれの状況が提示されており、2人とも風太郎と「後夜祭」を楽しんでいる様子はありません。
第100話で描かれていた「教室を訪れる風太郎のシーン」とこれらのシーンが時系列的に同時刻であることから風太郎が彼女たちを教室に呼び出した状況が伺えますが、しかしそうなるとそれよりも前の時間、「学園祭三日目の後夜祭」を風太郎がどのように過ごしていたのかという点が学園祭編におけるひとつのターニングポイントになってくるのかもしれませんね。
先週のお話でも 「三日目の後夜祭」は特にすごいとの前置きがありましたし、ひょっとすると学園祭最終日に何かしら大きな進展がもたらされる可能性もありうるのかなと。
もちろん初日に語っていた「誰も選ばない」という答えをそのまま三日目で全員に対して打ち明ける展開もあるとは思いますが、それなりの尺を設けて描かれている長編シリーズの結論であることを考えれば、流石にそれだけということもないのではないでしょうか。
まぁここら辺は後々の展開を見守っていくしかないところではありますので、ひとまずはエントリーナンバー2番・中野二乃さん視点で語られる学園祭エピソードを振り返っていきたいと思います。
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第103話:最後の祭りが二乃の場合①
さて。そんなわけで今回は二乃視点で語られる「学園祭初日&二日目」のお話です。
学園祭の初日。イベントの開幕を飾るオープニングアクトでのパフォーマンスをきっかけに一躍有名人となった二乃ですが、なるほど、四葉ちゃんが登壇する予定になっていたところを二乃が代理として引き受けた経緯があったわけですね。
色々な仕事を引き受け過ぎてキャパオーバー気味になっている妹を放っておくことができない。利他的に動く四葉ちゃんの在り方に対し、
自分のこともちゃんと考えなさいね
と語る二乃の姿がまさしくお姉ちゃんという雰囲気で凄く温かみの感じられる一幕でした。
きっと四葉ちゃんの「秘め恋」に気が付くときがやってこようとも、二乃は全く同じ言葉を口にするのだと思います。フー君も姉妹たちも彼女にとっては本当に大切な存在だから。自分の恋心を大切にすることと、姉妹たちの幸せを考えることは必ずしも矛盾するものではない。
二乃が身を以って示しているその在り方は、自分の幸せを蔑ろにして姉妹たちの幸せを願おうとしている今の四葉ちゃんにとって目指すべき「お手本」と言っても良いのかもしれません。
そして、そんな二乃の抱く美しき「家族愛」は父・マルオに対しても向けられていたわけですね。
1:「フー君」に衣装を見てもらいたい
2:忙しい「妹」の手助けがしたい
3:舞台に上がって「父・マルオ」の姿を確認したい
彼女がオープニングアクトの踊り子を引き受けたのは「1」と「2」の理由だけではなく、招待状を送った父・マルオの姿を確認したいという思いがあったから。
ダメで元々なんて強がりを言いつつも、「親が来ている」と語る友人たちを羨ましく思うその姿には、「家族」のつながりを誰よりも大切にしている二乃らしさが表れていたように思います。
父と娘とお母さん
また、そんな二乃の心情を丁寧に汲み取り「お前だって勇気出して招待状送ったんだろ」と言ってのけた風太郎が非常にカッコよく思えましたよね。
大切な母親を亡くしてしまった悲しみ。それは風太郎と五つ子たち双方に共通する痛みではありますが、幸運なことに風太郎には気さくな父親・勇也の存在がありました。大切な妹と愉快な父のいる上杉家という空間。「お金」や「モノ」に恵まれなくとも、お金では決して代替できないものがそこにはたくさんあったはずです。
母が他界して、それでも前を向くことができたのは温かい「家族」が側にいてくれたから。そんな状況を妄想してみると、風太郎が語気を強めて二乃の気持ちに寄り添おうとしている今回のお話にも納得がいくというものではないでしょうか。
「家族」というつながりと父に対する想い。
もちろん、養父として5人の少女たちを一斉に引き取り、何不自由ない暮らしをさせてくれたマルオには返しても返しきれない「恩」や「感謝」をたくさん抱いているのだと思います。
でも、二乃が第一に求めているものはやっぱりそういうものじゃないんですよね。「家族」として私たちの最後の学園祭を見に来てほしい。大きく成長した自分たちの姿を見て、何かを感じ取ってほしい。
そんな想いの結実こそがあの「招待状」であり、もっと言えば「思い出のパンケーキ」でもある。かつてお母さんが作ってくれたふわっふわのパンケーキ。その味に今の自分がどれだけ近づけているのか、あの日調理道具を与えてくれたお父さんにその成長ぶりを見てほしい。
二乃が学園祭にマルオを招待した理由はやはり、そういった想いに由来してのことだったのかなとそんな風に思う次第でありました。
上杉父と中野父
さて。そんな切なる願いを胸に秘めながら「父」の影を待つ二乃たちの前にもう一人の父親が颯爽と登場であります。
風太郎の父・上杉勇也の突然の訪問。急遽予定を変更して「一日目」に来ることにしたその理由が非常に気になるところですが、以前から示唆されていた「勇也」と「マルオ」の関係性が作中できちんと明示されていた点も中々に興味深いところでした。
バリバリのアウトロー男子だった勇也に対し、不動の学年トップで生徒会長だったというマルオ。第57話の段階で「上杉父・中野父・下田さん」の上中下トリオにつながりがあるだろうことは察しがついていましたけれど、彼らの関係を繋ぎ止めてくれたのが零奈さんだったという新情報は面白いですね。
上杉勇也と中野マルオの間柄だけに留まらず、上杉家と中野家には色々と隠された物語がありそうな感じもしてきましたし。もしかしたら「上杉母」と「零奈さん」の間にも浅からぬつながりがあったのかもしれない。更に言えば、風太郎と四葉ちゃんが京都で運命の出会いを果たす前の「歴史」を紐解いていくとこれまた不可思議な「因果」が見えてくる可能性だってある。
無論、いまの二乃たちにとって最も大切かつ優先されるべき課題はそんな歴史を持つ父と心を通わせるためにお互いが歩み寄って距離を縮めていくことを置いて他にありはしないわけですが。
お嬢ちゃんたちが心を開いていったように
あいつも少しずつ歩み寄っているはずさ
とはいえ、同じ「父親」の目線を持ち、昔から中野マルオを知っている人物でもある上杉父がこう言ってくれるのなら、そこにある「愛」を信じて待ってみてもいいのではないかという気持ちにはなりますよね。
おどけているように見えても、大事なところで立派に「父親」らしい風格を匂わせてくれる勇也はやっぱり魅力的なお父さんだなと。いつの日か風太郎もそんな「父親」になっていくのかもしれませんね。
思い出のパンケーキはマルオの心に響くのか
一方、噂のマルオパパの状況はと言えば......。
なるほど。既に伏線が張られていた通り、学園祭自体には姿を現していたわけですね。
招待状という娘からの想いを受け取ってここまでやってきたその事実には、確かに勇也の言う通りマルオなりの「歩み寄り」が見て取れます。モニターに映る三玖の姿が気になって足を止めていた事も何か思うところがあっての描写なのでしょう。
ただ、そこから携帯を取り出して踵を返しちゃうところに複雑で難しい感情が隠されているのですよね。大切に想っているはずなのに、距離感が掴めない。距離感が掴めないからあと一歩が踏み込めない。
その壁を超えるためのアイテムとして「招待状」を二乃が送ってくれたはずなのに、それでもなお逃げるように仕事に向かってしまうマルオの姿は、もはや「不器用」というより「勇気」がないだけのようにも思えます。
大切なのは娘たちと真正面から向き合う勇気。幾分お節介にも感じられる風太郎の行動ではありますが、
二乃の想いを汲み取り、「待っていても来ない人はこちらから行くしかない」の精神でマルオに特攻をかけようとする風太郎は漢気に溢れていて本当にカッコイイなと思いました。
二乃とマルオがパンケーキを通じて心を通わせることができるのかという本題に加え、父親譲りの性格で風太郎がどんな風にマルオに挑むのか。次週の展開に期待したいところです。
............というわけで今回の感想をまとめると、
二乃の活躍にも期待!
今回の二乃個別回がどんな顛末を迎えるのか非常に気になる!ってことですよ。
トップバッターの一花さんはその想いを「キス」という形で表現してきたわけですが、果たして二乃はどんな行動に出るのでしょうか。
2日目のスケジュールが
「竹林さん襲来⇒学園祭2日目終了のアナウンス⇒マルオの元へ特攻⇒妹の誰かが倒れてそのまま病院へ⇒(二乃編はここで終了)⇒一花さんとのキス」
という工程だとするとキスまでいくかは五分五分な感じもしますが、二乃のことですから何かしらやってくれそうな気も。いずれにせよ、とびきりお可愛い二乃が拝めたら嬉しいですね。来週のお話を楽しみにしております!
<追記>
3日間を代表する出来事がこのシーンに暗示されているとすると
— ふわふわ (@huwahuwa014) September 25, 2019
①風太郎の唇→一花さんとのキス
②マルオの影→二乃回
③燃え盛る炎→三玖回
④キャスト変更→四葉ちゃん回
⑤謎の人影→五月回
までが1~2日目の内容で3日目はやはり後夜祭のキャンプファイヤーがメインになりそうですね。#五等分の花嫁 pic.twitter.com/ySx3fXQZS0
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。