ふわふわな日記

『五等分の花嫁』120話 感想:旅立ちの日と飛行機雲!夢の向こう側にある希望を目指して...!

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五等分の花嫁 第120話「五年前のとある日」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

 

完結までいよいよ残り3話となった『五等分の花嫁』。

 

正直凄く寂しさはありますが、それでも、ここまで大きくなった作品が自ら終わりを定めて完結してくれるというのはやっぱりとても幸せなことなんですよね。

 

変に引き延ばしたり冗長になったりせず、「もっと読んでいたい」という余韻の中でしっかりと最後を迎えていく。

 

これまで共に過ごしてきた時間を愛おしいと感じられるのも、作品に対して心の底から「ありがとう」を言うことができるのも、そこに定められた終止線がきちんと引かれているからなんです。

 

過ぎていった時間は、少しずつ「過去」になって「歴史」になって、やがて「思い出」になる。でも、それでいい。いや、それだからいいのです。幾日、幾ヶ月、幾年後。たとえどれだけの時間が経ったとしても、この作品と歩んできた思い出が消えてなくなるようなことは決してないのですから。

 

さぁ、泣いても笑っても今週を含めて残り3話です。「五年前のとある日」というサブタイトルで綴られる第120話の物語、早速振り返ってまいりましょう。

 

 

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第120話:五年前のとある日

 

さて。残り3話と銘打たれて迎えた今週のお話、ズバリ言ってテーマとなっていたのは6人の「進路」についてです。

 

五つ子たちの成績を上げる目的で始まった家庭教師のお仕事。それがいつしか「次の道を見つけてこその卒業」「俺はあいつらの道を見つけてやりたい」という感情が風太郎の中に芽生えていき、物語を通してそれぞれがそれぞれの道に向き合っていく様子が描かれてきました。

 

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それぞれの夢

一花さん :女優

二乃   :ケーキ屋さん

三玖   :料理の道

四葉ちゃん:お嫁さん(体育大学)

五月   :教師

 

風太郎との出会いと交流、そして恋心を契機に見出していったそれぞれの夢。

 

姉妹の誰よりも先を進んでいく一花さんはドラマの主演をゲットして更に前へと前進し。日本一のケーキ屋さんを夢見ていた二乃は、三玖と共に調理師の専門学校を目指す。

 

そして、体育系大学への推薦受験を控えている四葉ちゃんと教師の道を志す五月が受験勉強に励む中で語られる、

 

 

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皆で過ごしてきた日々

どんな目標もきっと一人では持ち続けられませんでした

何より...こうして皆で机を並べられた日々がとても楽しかったです

 

という想い。その全てが『五等分の花嫁』がこれまでに紡いできたものの象徴であり、同時に青春ラブコメとしての「一つの到達点」でもあるのでしょうね。

 

過ぎていく時間の中で育んできた「思い出」が確かにそこにあって、この先もずっとそんな日常を続けていけたらと思う。

 

それでも、この先に待ち受けている「卒業」の瞬間を誰もが理解していて、この後に続いていくシーンでは、その「変化」を受け止める6人の姿が描かれていました。

 

 

旅立ちと飛行機雲

 

ここまで漠然としか描かれてこなかった風太郎の将来。

 

姉妹たちの「夢」が語られていく中で、じゃあ「風太郎の進む先はどこなの?」と思っていた方も多かったかと思いますが、今回ようやくその進路が明かされることになりました。

 

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風太郎の進路

 

勉強という自身の武器を最大限に活かして東京の大学に進学する。

 

高校入学以前から既に決意を固めていたようですが、上杉家の長男として将来を冷静に見据え、「卒業」という一つの節目にきちんと現実的な選択を行えるあたりが風太郎らしさと言えるでしょうか。

 

五つ子たちと過ごしてきた時間に感謝の言葉を述べ、己の道を進んでいく決断をした風太郎の想い。

 

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これまでの感謝と旅立ち

 

そこには、当たり前のように続いてきた毎日がいかに特別なものであったのか、という寂寥感もあったかもしれません。

 

物語の外側にいる読者の僕らが今まさしくそんな気持ちを噛み締めているように。長い人生におけるほんの僅かな別れの期間ではあっても、これまでに培ってきた思い出が心からかけがえのないものだと感じられるからこそ寂しく思える。

 

心のどこかで「覚悟」はしていたはずでその「旅立ち」を笑顔で送り出さなきゃと思いつつも、やっぱり「涙」をこらえきることはできなくて。

 

 

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変化を受け容れるための涙

 

過ぎゆく時間を戻す術はなく、二度ない高校生活も程なく「卒業」を迎えていく。

 

それでも気を強く持ち、「離れていたって平気だよ」と上を向くことができるのは、決して「一人ではない」という想いをお互いが共有し合えているからに他ならないのでしょうね。

 

 

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一人じゃない

 

一緒に笑った時間もこぼした涙も。そこにあったもの全てがきっとこの先の6人の明日を照らしてくれる。

 

一世一代の告白を行った際に誓い合った四葉ちゃんとの約束(=「いつかきっと私の夢を叶えてください」)を胸に風太郎は前進し、四葉ちゃんもまた風太郎との間に流れる強固な繋がりを確信しながら「そのいつか」に向かって歩き出す。

 

旅立ちの象徴であり、中野四葉にとっては始まりと希望を意味してもいる「飛行機雲」

 

 

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飛行機雲は「始まり」の象徴(第114話より)

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希望の証


京都で2人が初めて出会った日にも浮かんでいたのであろうその「希望の証」に手を伸ばす描写は、きっとこの先に待ち受ける「お嫁さんになる夢が叶う日」にも繋がっているのでしょうね。

 

高校時代のお話に一区切りがつき、旅立ちの切なさと未来への期待を膨らませてくれた第120話。本当に素晴らしいエピソードだったと思います。

 

 

 

最高のグランドフィナーレに向けて

 

さて。こういう展開になった以上、残る2話で描かれる内容は四葉ちゃんと風太郎の結婚式」でほぼ決まりでしょうか。

 

 

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高校時代の2人/結婚式当日の2人

 

初っ端の第1話から始まり、第32話・第68話と大事な場面で断片的に描かれてきた「結婚式」の全容がついに読めるのかと思うと感慨深いですが、数年の時を経て大人になった風太郎と五つ子たちがどんな会話を繰り広げてくれるのかが気になりますね。

 

花嫁である四葉ちゃんが「上杉さん」呼びから風太郎」呼びに変わっている件(夫婦だから当然ですが最高にエモいです...)もありますし、そのあたりも取り上げてくれたら個人的にはとても嬉しいなと。

 

 

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ちゃんとここまでたどり着いたよ

 

いずれにしても、ここから先は描かれるままに楽しみ、作品が有終の美を飾っていく瞬間を見届けたいなという心情に変わりはありませんので、この想いのまま残るお話も読んでいきたいと思っています。

 

いつまでもは続かない、楽しくて幸せな時間を噛み締めながら「終わり」と向き合うこと。『五等分の花嫁』と共に過ごしてきた日々を胸に次週のお話をお待ちしております。

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

『カッコウの許嫁』第1話 感想:ボーイミーツガールの王道がここに!今後が楽しみな期待の新連載ラブコメ開幕!

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カッコウの許嫁』1羽目  感想

カッコウの許嫁』 最新話 感想 ネタバレ注意

今週号(2020年9号)の週刊少年マガジンで封切りとなった、吉河美希先生ファン待望の新連載『カッコウの許嫁』。

 

昨年9月に一度読み切りが掲載されている本作ですが、連載漫画として改めて読んでも個人的にかなり興味をそそられる展開が繰り広げられていました。

 

正反対の環境・異なる価値観を持った主人公とヒロインが出会い、その交流を通してお互いの世界を広げていく。ボーイミーツガールもののド定番を全力で突き進みながら、一つの"ギミック"によって生じた関係がこの先どう2人を変えていくのか。

 

生みの親と育ての親が異なる『カッコウ』たちの恋愛物語、その記念すべき第1話について早速感想を書いていきたいと思います。

 

 

 

 

1羽目「わたしのカレシになりなさいよ!」

 

さて、本作の内容についてざっくり説明すると、赤ちゃんの頃に病院で取り違えられてしまった2人──主人公の海野凪とヒロインの天野エリカ──をメインパーソンに据えた王道ラブコメです。

 

16歳にして取り違えの事実を知り、お互いの両親と面会を行う直前に運命的な出会いを果たすことになった2人。親が決めた結婚に反対するエリカが偽の彼氏として凪を指名し、

 

 

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ラブがコメる

結婚相手が凪くんだったらよかったのにな…!

なーんて

 

 

と冗談めかしに言ってのけ、許嫁の正体が凪だったと発覚してお約束のワンパンを喰らわす。読み切りとほぼ同じ構成ですが、第1話の内容はこんな具合でした。

 

 

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とはいえ、読み切りの頃と比べて違う点もいくつかあり、その最たるものが凪に「想い人」がいるという設定を付与してきたこと。つまり、「1対1」ではなく「1対多」の方向性に舵取りを行い、ラブコメストーリーに横軸の幅を持たせてきたわけですね。

 

こうなってくると、必然その結末を"色々な意味"で注目したくなってしまうのがラブコメスキーの性なのですが、個人的に特に気になるポイントが3点ほどありますので、それぞれの展望を以下の項目別に書いていきたいと思います。

 

①凪とエリカのつながり

②凪の想い人・瀬川ひろの立ち位置

③妹・幸の存在とお互いの家族との交流

 

①凪とエリカのつながり

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メインヒロイン・天野エリカ


凪の「許嫁(仮)」にして取り違えられた娘でもあるファーストヒロインのエリカ。

 

親が勝手に決めた婚約の話に反発しながらも、最初から凪に対してそれなりに好意的な接し方をしている点がミソと言えそうでしょうか。

 

この手のラブコメでは「印象最悪からのスタート」こそが"お約束”みたいな面もある中で、エリカと凪は割とウマが合っていると言いますか、異なる環境で育ってきた2人が「お互いの価値観」に関心を示すようなシーンが意図的に描かれているんですよね。

 

 

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2人の始まり

 

写真に対するエリカのこだわりも、"売られたケンカは全て勝て"という海野家の家訓も。

 

まさしく2人の育ち(より正確に言うなら「美意識」や「ポリシー」に近いですね)を象徴していて、そんなお互いの在り方に思うところがある。

 

 

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好意はあれど「恋」はこれから

 

もちろん、現状において"恋愛感情"に至るほどの関係値ではないわけですし、更に言えば、「通う学校の異なる2人」がこの先どう"接点"を持って行くのかも気になる点ではあります。

 

身も蓋もないですが、学校が違う以上イベント事が圧倒的に作り辛いでしょうからね。そういう意味では、心情的な面で正式なカップルとは言えない2人にどのような交流の場を与えていくのかによっても、今後のラブコメ展開に大きく影響が出てきそうで面白いのかなと個人的には思ってみたり...。

 

 

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恋物語の幕開け

 

まぁ、どう読んでもエリカがメインヒロインであるだろうことは疑う余地もありませんので、「お互の家」で暮らしてみるとかそういう展開はありうるのかもしれませんね。

 

いずれにしても、親が勝手に決めた「許嫁」という関係がいかにして「恋愛」に変わっていくのか、全力で注目していきたいところです。

 

 

②凪の想い人・瀬川ひろの立ち位置

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セカンドヒロイン・瀬川ひろ

 

連載版で新たに登場した「凪の片恋(?)相手」である瀬川ひろ。

 

凪の通う名門私立学校で学年一位に君臨し、万年2位である凪が対抗心と恋心を抱いているヒロインです。

 

正直、第1話の時点では情報が少なすぎてよくわかりませんが、"売られたケンカは全て勝て"という心情ゆえに凪は彼女を特別視している...という状況になっているんだろうなとは思うんですよね。

 

好きなタイプを聞かれて「私より頭が良い人かなぁ!」と答えている描写も言ってみれば凪にとって一種の挑戦状みたいなもので、「恋愛感情」と多少こんがらがって見てしまっている面はあるんじゃないかなと。

 

 

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瀬川ひろの立ち位置

 

とはいえ、エリカと違って同じ「学校」である以上お話に上手いこと絡んでこれる立ち位置ではあるでしょうから、間違いなく今後に期待していきたい人物ではありますね。

 

ブコメフォーマット的にはどうしても「新しい感情>既存の感情」という結論に至りやすいですが、彼女に関しては両想いどころか凪のことをきちんと認識すらしていないみたいなのでその辺りの変化球がどう物語を盛り上げてくれるのか。第二話以降に注目していきたいと思います。

 

 

 

 

③妹・幸の存在とお互いの家族との交流

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妹の幸

 

読み切りの頃から参戦が期待されていた妹ヒロインの幸。 

 

 

連載版ではより可愛らしく描かれている節があり、柱のコメントで「四角関係」と銘打たれていることから完全にラブコメヒロインの一角としてカウントされている模様です。

 

お兄ちゃんが家を出て行ってしまうのではないかと不安になって泣いてしまうあたりに「パーフェクト妹」としてのオーラを感じますが、まぁハッキリ言ってラブコメ的には中々に難しいポジションですよね。

 

 

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お兄ちゃん大好きな妹

 

十数年間「家族」として育んできた思い出があるからこそ難しい恋。

 

「血」の繋がりが無くとも「心」で繋がっている2人が「家族」以上の関係に発展する可能性は正直極めて低いのだろうと思わざるを得ません。

 

エリカの実妹というポジションであることも結構複雑ですし、「家族の在り方」を一つの縦軸として据えている作品でもありますからね。

 

名前のとおり「幸せになってくれる」とは思っていますが、妹の幸が本格的に恋愛道を歩んでいくのだとしたら切ない展開はもはや必至ですよ。

 

家族として大好きだったお兄ちゃんを男の人として意識してしまった瞬間、果たして幸がどんな乙女力を見せてくれるのか。

 

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妹スキーの伝説になってくれることを期待!

 

全国の妹スキーたちの伝説になりうるポテンシャルを秘めた幸の姿にありったけのエールを!

 

ここからいよいよ始まっていく、彼と彼女たちのラブコメディ。笑いあり感動ありのストーリーが展開されていくことを心より楽しみにしております!

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『カッコウの許嫁』/古河美希/週刊少年マガジン」より引用しております。

『五等分の花嫁』119話 感想:心からの笑顔と最高の告白!手を取り合う2人に惜しみない拍手を!

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五等分の花嫁 第119話「五つ星ツアー」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

 

「五」の付くサブタイトルが続いているここ数週の『五等分の花嫁』。

 

風太郎と四葉ちゃんが互いに好き合っていることを自覚した学祭編ラストから早5話が経ち、そろそろ2人のイチャイチャが見られるのでは...と思っていた方も多かった中でようやく今回"その瞬間"が描かれることとなりました。

 

ベストエピソード投票で堂々の第2位を飾り、四葉ちゃんスキーたちにとって永遠に忘れられない神回でもある「勤労感謝ツアー」を踏襲した「五つ星ツアー」というサブタイトルで紡がれる2人のデート。

 

心からの「笑顔」と力一杯の「告白」が輝く、まさに今週のお話を読むためにここまでこの作品を追い続けてきたのだと叫びたくなるような、そんな至高の第119話を順に振り返っていきたいと思います。

 

 

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第119話:五つ星ツアー

 

さて。そんなわけで今週は風太郎と四葉ちゃんによるデート回です。

 

きちんと段階を踏み、姉妹たちと想いを分かちあった後のタイミングで描かれるあたりに誠実さを感じますが、しかし、こと恋愛という領域に関して風太郎はいまだ修行中の身。

 

混雑中の電車では逆に四葉ちゃんに守られ、ファミレスの食事ではクーポン(個人的に高校生同士のデートならまだ許される範疇だと思いますが……)を利用し、いざ会話に困ればスマホのメモに頼ってしまう有り様です。

 

お相手が四葉ちゃんでなかったならあるいは、全力のダメ出しを食らっていても不思議ではなかったのかもしれない。

 

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デートの難しさ

 

 

けれど、たとえ拙いエスコートであっても、真に重要なポイントはそこに風太郎なりの想いがきちんと込められていること、ただそれだけなんですよね。

 

家族でたまに行くファミレスも、風太郎の努力が刻まれている図書館も。彼の中にある大切な引き出しで、だからこそ四葉ちゃんと一緒に回りたいと思う。風太郎にしかできないやり方で風太郎らしい「五つ星デート」四葉ちゃんと共に楽しむ。

 

 

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四葉ちゃんの将来

 

家庭教師として、そして中野四葉の隣に立つ一人の男として。

 

勤労感謝ツアーにおいて「わたしがほしいものはなんでしょうか」と語っていた彼女が自身の道を見出だしていったことに安堵し、なおも真剣に寄り添おうとする風太郎の姿勢。

 

そんな彼との時間が四葉ちゃんにとってどれだけ特別なものであったのか。

 

 

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上杉さんとなら

 

同じものを見て、ただ同じ時を過ごしていけることへの喜び。

 

風太郎が見てきた世界を共にたどりながら、

 

上杉さんとなら

なんだって最高に楽しいです

 

と語る彼女の姿に、ラブコメ作品が到達しうる一つの"理想"を見出だせたのではないかなと感じた次第でした。

 

 

思い出のブランコで

 

そんな最高のデートを締めくくる場所として風太郎が選んだ「思い出の公園」。

 

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風太郎が来たかった場所

 

一年前のデートで四葉ちゃんが教えてくれたその地に想いを馳せながら、「今日は上杉さんの思い入れのある所に連れてってくれるはずじゃ」と疑問符を浮かべる彼女に対し風太郎は雄弁にこう言い放つ。

 

 

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思い出の公園

 

お前と来たその日から

ここもその一つだ

 

もしかしたらあの日よりも前から風太郎は四葉ちゃんのことを「特別」に感じていたのかもしれない。

 

家族旅行のキスを通して開花したその感情がまだ蕾だった頃、それでも風太郎にとって四葉ちゃんと過ごしたあの一日は間違いなく「特別」なものだった。

 

様々な想いと思い出がそこにあり、特に四葉ちゃんにとってこの公園は素敵な感情ばかりが詰まった場所とは言い難いけれど。

 

 

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四葉ちゃんの枷

 

でも、だからこそ、そういったもの全てを乗り越えてこの場所で伝えたいことがある。

 

あの日と今日の二度彼女が跳んでみせたように。「隣に並び立つ者」として同じ場所まで跳ぶことを自らに課す風太郎の覚悟。

 

 

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聞いてほしいこと

 

「過去」も「正解」も「枷」も。

 

その全てを飛び越えて彼女と共に生きていきたいと思うから。正しい道も間違った道も一緒に歩いていける、そんな幸せを2人で作っていきたいと思うから。

 

だから、たとえ不格好であっても、ちゃんと伝えてみせる。自分の飾らない本心を。この胸にある君への「好き」を。

 

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渾身のプロポーズ

 

 

そんな風太郎の熱いプロポーズに激震が走る、第119話のエピソードでありました。

 

 

 

最高の物語にありったけの感謝を

 

さて。これまでのストーリーを反芻しながら、1ページ1ページ大切に読み込ませていただいた今回のお話。

 

過去を断ち切る風太郎の「告白」...もとい「プロポーズ」が最高に熱く、彼が四葉ちゃんに対してどういう気持ちを抱いているのか、その覚悟の程がブランコの演出と思わず口から零れた「結婚してください」という台詞を通してひしひしと伝わってくる展開でした。

 

もう彼と彼女を縛る鎖はいらない。風太郎と四葉ちゃんはきっとちゃんと幸せに成る。風太郎が風太郎にしかできないやり方で四葉ちゃんを幸せにしてくれる。そんな展開を見ることが叶ってラブコメ好きとして本当に嬉しくてたまりません。

 

 

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心からの笑顔

 

「引け目」や「後悔」の気持ちをこれからの未来へと昇華して、結ばれなかった者たちの分までその幸せを噛みしめていく。

 

信頼のできるカッコいい主人公と心から大好きなヒロインが見つけた一つの恋。僕はこの瞬間を見るためにこの作品を読んできたんです。小さい頃から四葉ちゃんが胸に抱えてきた「お嫁さん」という夢を風太郎と2人で叶えていく。過去の後悔に俯き、ずっと涙を飲み続けてきた彼女がようやく笑顔で明日に向かって進んでいける。

 

もはや、文字通りに「これ以上」はありません。らしさ全開で漢の覚悟を見せた風太郎とそんな彼の告白を心のままに受け止めた四葉ちゃん。

 

 

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2人で手を取り合って

 

どんな時も手を取り合い、これから幸せな日々を育んでいく2人の輝かしい第一歩に惜しみない拍手を!

 

最高のエピソードを本当にありがとうございました。残る物語(やはり「卒業式」と「結婚式」でしょうか)も全力で楽しみにしております!

 

 

※以下、twitterでの感想を補足として追記しておきます。

 

 

 

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

『ぼくたちは勉強ができない』144話 感想:唯我成幸の気持ちと恋愛物語における「区切り」の意味

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ぼく勉 問144 感想「泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ③」

ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意

 

文乃さんによるキス未遂が引きとして描かれていた前回の『ぼく勉』。

 

この状況から一体どんな展開になっていくのかとドキドキしていた中、いざ今週号のページを開いて広がってきた光景は「ぼく勉」ラブコメワールドを象徴する優しい世界でした。

 

文乃さんが自発的にうるかと理珠ちんに気持ちをぶつけるでもなく、「遠慮」を取り払うための舞台装置としてキス未遂事件が描写され、文乃さんが2人の優しさに触れることで自身の認識を改めていく。

 

 

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優しい世界のその先に

 

作品的に言えば「らしさ」があって良いのでしょうし、実際これくらいストレスフリーな展開の方が気楽に読むことができるのかもしれませんけれど、それでも個人的にはもう少し厚みのあるお話を読んでみたかったなと思う展開ではありました。

 

どこまでも武元うるかというヒロインは優しくて良い子で。真っ先に「実はあたしこの前 成幸に告白したんだ」と打ち明けたのもうるかだった。

 

「うるかと成幸くん」の恋物語が長編のメインテーマになっているだけでなく、友情ストーリーの締め役を担っていたのもうるか。そのあたりの事情を踏まえても、流石にもう「うるかエンド」は揺るがないのでしょうね。

 

 

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みんなが幸せになるために

 

同じ男の子を好きになってしまった女の子たちの気持ち。

 

文乃さんが2人の恋を大切にしてきたように、2人もまた文乃さんの恋をきちんと受け止める。「大切な友達」「譲れない恋」の同居に涙しつつも、「心のままに動いてよ」と約束し、幸せをみんなで追いかけていこうと誓い合う。

 

そんなヒロインたちの葛藤が描かれていた中で、主人公の成幸くんが最後にどんな「答え」を出すのか。早速、今回のお話を見ていきたいと思います。

 

 

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ぼく勉 144話:泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ③

 

さて。うるかの告白から始まった長編も今回でついに3話目ですが、しかし全体を貫くメインテーマは依然として変わりません。

 

成幸くんが今の状況に対して何を想い、そしてどんな結論を出すのか。既にうるかが気持ちを打ち明けている以上、残るは当然「成幸くん側の気持ち」こそが物語の焦点になる。

 

そんな文脈の中で、

 

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その未来の先に

 

これから海外で活躍するようなアスリートの方にとって...

れ...恋愛とか恋人の存在とかって

邪魔になったりするものなんでしょうか...

 

という想いを彼が美春さんに語っていることの意味を考えれば、まぁこの先の展開は自ずと見えてきますよね。

 

武元うるかが歩んでいく「水泳選手」としての道。

 

そこには、持って生まれた才と色んな人たちからの期待を背負い、たくさんの感情に向き合って一つの方向に進んだうるかの想いがある。だからこそ、彼女から勇気を貰い、彼女を尊敬する一人として邪魔にはなりたくない。それが成幸くん自身の「気持ち」であり、そして課されている問の答えになる。

 

 

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最後の問

 

「自分にとって武元うるかとは何か?」という主体的な問題と「武元うるかにとって一番の幸せとは何か?」 という相手を主体とする問題の双方に向き合っていくこの流れ。

 

「やれること全部やりきるまでは好きな人なんていない(問90)」という信条のもとに告白の返事を求めなかったうるかと、そんな彼女の将来を誰よりも大切に考える成幸くんの想いを交わらせるルートはもう一本しかない。

 

 

かつて「約束」をした、

 

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約束の「x」(問91より)

今は死ぬ気で水泳がんばるから…っ。

だからずっと…ちゃんと見ててねっ!

 

 

の言葉どおり、うるかがその道を走り切った末に成幸くんの一番になる。そんな展開が予想されますが、果たしてこの先どうなるのか...。次週以降の展開に注目したいところです。

 

 

 

 

気持ちに区切りをつけていく

 

……というメインシナリオの傍らで声もなくその気持ちに区切りをつけていたヒロインが一人。

 

 

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夢に見た青春の風景

 

なるほど……。

その感情が"恋"なのかどうかはともかく、もし自分が高校生だったら…と考えてしまうくらいには、真冬先生もまた成幸くんに対して「募る想い」を抱いていたと。

 

それが"年齢の壁"というどうしようもない理由で「心のままに動く」ことさえ許してもらえず、当然成幸くん側にその気持ちが伝わることもない。

 

もちろん成幸くんの優柔不断な姿が見たいわけではありませんが、それでも彼の認識があまりにも他のヒロインたちに向いていなさすぎるのが切ないなと思いますね。

 

このままうるか以外のヒロインが何もせず一方通行なままにその恋を閉じていくのだとしたら、正直最後まで読んでいくのはかなりしんどいなと言わざるを得ない。

 

 

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ちゃんと区切りをつけて欲しい

 

だからこそ、彼女たちが向き合ってきた葛藤を成幸くんがしっかり受け止めて、きちんと卒業させてくれることを願ってやみません。

 

成幸くんと培ってきた時間や想いを成幸くんとの間で描き切る。そんな光景が見られることを願いつつ、成幸くんがどんな「答え」にたどり着くのかを見届けたいと思います。

 

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志週刊少年ジャンプ」より引用しております。

『五等分の花嫁』118話 感想:五月は何に気付きその気持ちをどう昇華させたのか

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五等分の花嫁 118話「五月の思い出」 感想

五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意

 

五月のモヤモヤがテーマとなっていた前回の『五等分の花嫁』。

 

「五月の思い出」というサブタイトル(先週の感想でも指摘しましたがまたもや頭文字に「五」のつくサブタイトルがきていますね)のとおり、今回もまた五月の心情にスポットが当てられていました。

 

中野五月にとって上杉風太郎とは一体どういう存在なのか。気付いた気持ちと晴れていく心。思い出を連れて、これから先彼女たちが向き合っていく「未来」とは――。

 

そんな、6人の恋物語に確かな「意味」が提示されていた第118話のエピソード、早速振り返っていきたいと思います。

 

 

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第118話:五月の思い出

 

さて、お話は前回の続きからです。

 

風太郎と五月が隠れ潜む真っ暗な教室で再びの対話を果たすことになった四葉ちゃんと二乃。「誰が選ばれても祝福したかった」と語っていたはずの二乃がどうして四葉ちゃんに対して厳しい姿勢を取るのか。

 

そのあたりの理由が気になっていた中、この局面で二乃が四葉ちゃんの抱えてきた後悔の象徴」に切り込んでいくところがまた趣深いですよね。

 

 

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五つ子の輪

 

姉妹たちに何も言わずに突っ走り、一人自分の道を歩もうとした過去の四葉ちゃん。

 

そんなスタンスをずっと疎ましく思っていたという二乃の台詞が、自分らしさを求めて暴走し一つの大きな「失敗」を犯してしまった四葉ちゃんに重くのしかかる。

 

姉妹たちの想いを知りながら恋心を隠し続けてきたことも。五つ子の輪から一歩身を引き「支える側」として立ち回っていた四葉ちゃんが風太郎に選ばれたことも。失恋したばかりの二乃が受け入れるには、中々に重たい事実ではあるのかもしれない。

 

 

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認めてほしいと思うのは...

 

けれど、それでも「お付き合いを認めて欲しい」四葉ちゃんが語るのは、この恋が自分と風太郎2人だけの問題だとは思っていないからなんですよね。

 

風太郎が四葉ちゃんを選び、四葉ちゃんも風太郎のことが好き。

 

その意味において、この先のステップをどう進んでいくのか決めるのは他でもない風太郎と四葉ちゃんです。二乃が言っているように「私なんて無視して勝手に付き合えばいい」わけであって、そもそも第三者の許可が必要なことでもない。選ばれた側が選ばれなかった側に「認めてほしい」とお願いをすることが酷だというのも全くもってその通りだと思います。

 

 

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四葉ちゃんの想い

 

ただ、それらを踏まえてなお向き合うことから逃げずに「認めて欲しい」と思えるのは、姉妹たちの想いを受け止める「覚悟」四葉ちゃんの中で固まったからに他ならないわけですよ。

 

姉妹たちが風太郎と過ごしてきた「これまで」を無視せず、きちんとそこにあった思い出を受け止める。その上で「私が上杉さんをどれだけ好きなのか」「その想いの強さを」姉妹たちに認めてもらう。

 

たとえそれが何年・何十年という歳月を要する険しい「茨の道」であっても、姉妹たちの想いに負けないくらい強い想いが自分の中にあるんだってことを見ていてほしい。

 

 

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見ててほしい

 

風太郎に対する「好き」と姉妹たちに対する「好き」。

 

2つの「愛」を携え「永遠のライバル」である姉妹に譲れない想いをぶつける四葉ちゃんの姿。

 

そして、そんな四葉ちゃんからの宣戦布告に真っ向から立ち向かい、妹の「覚悟」を受け容れて一つの「区切り」をつけていく二乃。

 

 

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ライバルとして

 

数年後に控える「結婚式」を迎えた時、2人がこの日のやり取りを思い出して一体何を想うのか。

 

そんなことを妄想をしたくなる二乃と四葉ちゃんのお話でありました。

 

 

 

五月が気付いた気持ち

 

一方、四葉ちゃんと二乃のやり取りを通じてモヤモヤ状態から解放されることとなった五月。

 

2人の姿から彼女がどんな"気付き"を得たのかと言えば、おそらく以下の3点ですよね。

 

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五月の得た気付き

 

①上杉風太郎に"恋"をしていたこと

②その気持ちを否定する必要がないこと

③その"恋"が自分の未来をより輝かせてくれること

 

積み重ねてきた信頼と尊敬はいつしか「恋」と呼べる感情を連れてきて。そんな状態の自分にモヤモヤし「私は なんて悪い子なんでしょう...」と思えてきて...。

 

けれど、そうじゃない。これまで上杉くんと過ごしてきた時間もそこにあった「思い出」や「気持ち」も全部全部大切に抱えたまま進んでいけばよかったんだ。無視して否定する必要はない。それを「四葉」と「二乃」が教えてくれた。

 

 

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五月の気持ち

 

失恋の痛みや切なささえも糧にして、「これまで」の思い出を「これから」に繋いでいく。

 

上杉くんと出会えたことに後悔なんてないのだから。結ばれたヒロインだけではなく、想いを結べなかった者たちの向こう側にある未来をも照らしていく「恋の記憶」。

 

 

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初めて恋をした記憶

 

そんな、何事にも代えがたい宝物」をきちんと受け止めて、五月がどんな「女性」になっていくのか。

 

「恋愛」に否定的な意見を持っていた五月が紆余曲折の末に自身の感情を自覚し「勝ち負けを超えた恋愛の全てを肯定する」に至ったこと。とても胸に沁みる素晴らしい展開だったなと思います。

 

 

大切な思い出と御守りに込めた想い

 

さて。最後に気になった点についての言及を。

 

今回のお話で第42話以降長らく謎のままになっていた伏線が一つ回収されることになりました。

 

 

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御守りの中身

 

風太郎が家庭教師としての立場に自信を喪失していたあの日、五月(=零奈)が御守りの中に忍ばせていた彼宛のメッセージ。

 

結局、風太郎がその中身を知ることは最後までなかったわけですが、しかし文脈から類推すると「第7話で風太郎&らいはと一緒に撮ったプリクラ写真」をその中に入れていたと解釈するのがおそらく妥当ではありますよね。

 

「あなたは一人じゃない」という気持ちを込めて「ずっと友達」と書かれたそのプリクラを中に入れた。

 

そのプリクラは言わば「親愛」の証であり2人の関係を示すもの。「自分を認められるようになったらそれを開けて」と告げた上でそれを渡している以上、中に"対象となる物品"が入っていることが当然ながら大前提となる。

 

 

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ずっと友達

 

ただ、五月のスマホにも同様のプリクラが貼られていることから、少なくとも五月が2枚以上そのプリクラを持っていないとこの説は成り立たないんですよね……。

 

第7話を読み返すと五月がらいはから複数枚貰っているようには見えないので、この点はちょっと解釈に苦しむところではあるのかなと。

 

もちろん、本筋は「恋の記憶=一生の宝物」という構造を補強するための暗喩表現だと思うので、その点さえ描ければ後は読者のご想像にお任せしますってことでも僕は十分だと思ったりはしていますが。

 

 

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一生の宝物

 

似た者同士の風太郎と五月が、悩みながらも見つけたそれぞれの恋。切なさを感じつつも立派にヒロインしていた五月の成長に感慨深くなる回でした。残るお話もあとわずかになってきましたが、次週も楽しみにしております。

 

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。

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