『ぼくたちは勉強ができない』139話 感想:みんなと一緒だったから...運命の瞬間はすぐそこに!
ぼく勉 問139 感想「彼らはひとり最後の[x]に学ぶ」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注
今週の『ぼく勉』はセンターカラーです!
扉絵を飾るのは、前回・前々回のバレンタインデーに寄せて文字通りにひと肌脱いでくれた三人娘の面々。えぇ、最高にエッチですね。本編でもこれくらい悩殺なアプローチができていたならカップル誕生も夢ではなかったかもしれませんが、まぁそんなどうしようもないツッコミはさておき...。
いよいよ、『ぼく勉』ラブコメワールドを支えてきた2本柱のうちの1つである「勉強(=進路)」軸のエピソードに決着がつこうとしている今回のお話。運命の瞬間を目前に控えた彼と彼女たちが、この1年間の総決算として「最後に学ぶこと」とはなんなのか。今週はそんなところを中心に感想を書いていきたいと思います。
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ぼく勉 139話:彼らはひとり最後の[x]に学ぶ
そんなわけで今週は「勉強軸」をメインに据えたお話です。
来る2次試験の日程もいよいよ1週間後まで迫り、開幕から怒涛の勢いで勉強に励む成幸くん。そんな彼に対し、
結局誰が本命なわけ?
なんて言いながら楽しそうにバレンタインの話を蒸し返す母・唯我花枝さん(+世界の終わりを見てきたかのような顔をしている唯我水希ちゃん)でありましたが、成幸くんの台詞から察するに「バレンタインデーのチョコは全部義理!」という認識で落ち着いたということになるのでしょうか。
渡された相手から直接「本命チョコ」であると明言されていないとは言え、「まさか...5年間ずっと...」という意識が芽生えてもいたわけですし、正直あの流れで「単なる義理チョコ」として処理がなされてしまうのは流石にうるかの心情を考えると気の毒な印象もあるのですが、このあたりは今後きちんとした形で「告白」がなされていくための布石だったりするのでしょうかね。
現状、うるか以外のヒロインに対して成幸くんが「恋愛」を匂わせるようなフラグがほぼ見受けられず、この先成幸くんとうるかのどちらかがそのフラグをバキバキにへし折ったりしない限りは、もう「うるかエンド」っぽい雰囲気が出ているような気もしてきましたし。
まぁ、たとえ誰と恋仲になったとしてもそれはあくまでも唯我成幸くんの選択であって、当然僕ら読者の選択ではない(もし僕が成幸くんだったら第1話で文乃さんにプロポーズして振られてるまである)わけですから、「個人的な感情」はとりあえず抜きにして、成幸くんがどういう理由で特定のヒロインに惹かれていったのかがわかる結末にしてくれたら嬉しいなと。恋愛軸の結末に関しては、ただただそんな心境でございます。
この1年の感謝をノートに込めて
さて。スタートから盛大に話題が逸れてしまいましたが、今回のお話のメインとなるのは「勉強軸」のエピソードです。この1年間の総仕上げとして教育係・唯我成幸が各ヒロイン達に施した最後の授業は、彼女たち一人一人に対して「一冊のノート」を送ることでした。
そこに綴られていたのは、「できない」子たちに対する最後のアドバイスと、ここまで苦楽を共にしてきた仲間たちへの感謝の想い。
父が他界して以降ずっと「独り」で乗り越えてきた辛くて苦しいはずの勉強が、この1年間本当に楽しく感じられたこと。誰かのことを考え、共に問題と向き合ってきた日々が心の底から楽しかったこと。そんな思い出の数々が今、本番の試験を目前に控えた成幸君の胸に去来する。
自分「独り」ではきっと、ここまで頑張ることは出来なかった。
一生懸命「できないこと」に挑む彼女たちの姿から学んだことは計り知れず、彼女たちと出会えていなければ、もしかしたら「教師」になりたいという夢と向き合うことさえ出来なかったかもしれない。
試行錯誤を繰り返し、慌ただしくもみんなで駆け抜けてきた1年という時間。そこには本当に色々な思い出があって、決して言葉一つで語り尽くすことなんて出来やしないけれど。
でも、それでも、飾らない真っ直ぐな「感謝」とこの先に進んでいく「覚悟」だけはきちんと伝えたいと思う。
「一緒にがんばってくれてありがとう」
「「一人」でも「独り」じゃないから 絶好皆で合格しよう!!」
進む道はそれぞれでも、一緒に頑張ってきた軌跡が消えることはなく、その思い出は確りと胸の中に刻まれているのだから。
過ごしてきた時間の中で、自分たちが積み重ねてきたもの。それが結果として付いてくるかどうかはまだ誰にもわかりません。未来とは、その文字の成り立ちどおり「未だ来ていない」ことを指す言葉であり、後で振り返って初めてわかるものなんですから。
一瞬一瞬の「今」の積み重ねが「未来」になり、その「未来」がいつかの「今」になる。動機も、向かう先も、成し遂げたいことも。多種多様、十人十色。だからこそ、本気になれる。様々な悩みや迷いを抱えながらも、みんなと共に歩んだ思い出を糧に、自分の気持ちが指し示した方角に向かって走っていける。
それぞれが見出だした「明日」への入り口。
次週、彼と彼女たちが無事に自らの未来を切り拓いていけるのか。いよいよ以て描かれる「勉強軸」の決着を楽しみに待ちたいと思います。
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。
『咲-Saki-』第211局「相棒」感想
咲-Saki- 211局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)
前回、ツモリ四暗刻の目を瞬時に見切り、全員同時聴牌のめくり合いの中で「混老対々三暗刻」を和了りきった優希。
この和了りによって東4局2本場から続いてきた玄ちゃんの猛攻がついに打ち止めとなり、場は臨海女子のエースであるガイトさんの親番に。
たった4度の和了りで98,900点(1回あたりの平均和了打点=24,725点)もの点棒を獲得した玄ちゃんの快進撃には驚かされたものの、ここから待ち受けているガイトさん&照の親番を乗り越えることが果たして本当に可能なのか。
そんな流れを背負い、決勝先鋒戦最大の"正念場"となる南3局と南4局がついに幕を開けようとしていました。
<前回の感想>
第211局「相棒」
〇南3局 親:辻垣内智葉 ドラ:
さて。後半戦序盤に55,300点もの点棒を稼ぐも、予想の数段上をいく阿知賀と清澄の狂いっぷりに苦戦を強いられてきたここまでのガイトさん。
しかし、絶賛原点割れの4着である以上「最後の親番」を活かして何としてでも返り咲かなくてはならない。力量を正当に認めた相手とは言え、高校ラストイヤーとなるインハイの舞台で他校の1,2年生に好き勝手されて良しと出来る程、辻垣内智葉の3年間が甘かったはずなどないのだから。
全国3位という肩書きに恥じぬだけの過去がそこにはあり、当然くぐり抜けてきた数々の修羅場がある。そんなガイトさんが留学生中心のチーム編成を行う臨海女子にあえて進学を決めた理由。それは.....、
なんと 船で かよえるかららしいデス
って、なんでやねん.....!(笑)
いや、まぁ確かに個性的ですけどね。というより、むしろ個性強すぎですけどね。船通学とかマジでガイトさん半端ないな。例のあの公園から毎日船に乗って学校行ってるってことになるんだろうか...。
いきなり飛翔し始める子がいたり、船乗って通学している子がいたり。臨海女子、あまりにも自由度が高過ぎる件...。とりあえず、天然に毒を吐く明華さんが最高に可愛いかったので、中堅戦で部長と濃密に絡んでくれることを期待しております。
臨海女子の"エース" 辻垣内智葉の強さ
.....とまぁ、そんな多様性溢れる愉快な臨海女子のコント劇はさておいて、お嬢であるガイトさんが臨海女子に進学を決めることとなったのは、
臨海なら
ここなら世界の強い同世代と日々鍛錬できる
という上昇志向に満ち溢れたとてもカッコいい理由が一因となっていたようで。
なるほど......。確かに、これをメリットと感じることができるのであれば、他の高校に進学するよりも「臨海女子」を選ぶ方がずっと良いのは間違いない。
仁川(インチョン)のアジア大会で銀メダルを獲得している郝も。欧州選手権で「風神(ヴァントール)」と呼ばれる程の活躍を見せた世界ランカーの明華も。2年連続で臨海女子のレギュラーとして活躍しているアメリカ留学生のダヴァンも。世界ジュニアで名を馳せたサカルトヴェロのネリーも。
みんながみんな世界の第一線で闘っている一流の打ち手たちであり、同校のよしみでもなければ「公式戦以外」で対局できる機会を持つことなんて本来はできなかったのだから。16年もの間、激戦区の東東京で無敗を誇る常勝軍団としての臨海女子。そこでレギュラーを勝ち取り、エースとして君臨する辻垣内智葉。
その強さの裏には、3年間臨海女子という常勝校で仲間(=ライバル)たちと研鑽してきた日々がある。
絶対的な「個」の力が寄り集まり、磨き合い、最強の「チーム」が生まれていく。その在りようは、奇しくも宮永照が率いているチームの成り立ち(=部内スコアトップ5を選出するやり方を否定)とは趣が異なるものでありますが、ここにきてガイトさんの強さの一端と臨海女子への進学理由が明かされた点はとても熱かったなと、そう感じた次第でありました。
世界レベルの闘いが今ここに
〇南3局 1本場 親:辻垣内智葉 ドラ:
さて。南3局はガイトさんの単騎待ちに掴まり、優希が3900点を放銃。
南3局
カン ポン ロン
もっとも、喰いタンを匂わせる鳴きとカンで壁を作られていた状況でのロンなんて流石に見抜けないので、もはやガイトさんの「技あり和了」としか言いようがないとは思いますが....。
あえてに待ちを変え打点を落としてまで和了りにきているあたりも徹底してますね。一部の隙もない、ガイトさんの本気度が伺えます。
そして..........、
ツモ
その勢いはなおも止まらず....。続く南3局1本場で、ツモタンヤオ三暗刻4100オールを和了!
自身の親番を勝負どころと定め、鮮やかな2連続和了によりひとまず3位に浮上することとなったガイトさん。
〇現在の点数状況(後半戦南3局1本場終了時点)
1位 阿知賀女子 :121200点
2位 清澄 :101200点
3位 臨海女子 : 93700点
4位 白糸台 : 83900点
点棒も原点近くまで戻りつつあり、なおも親番続行という状況でまだまだ勝負はわからない。
しかし、ここまではあくまでもプロローグであり、本当の「正念場」はここから先にある。予想外の連続で現在最下位まで転落しているチャンピオンの親番。下家に座る最強の高校生・宮永照の本気。
そして今
私の下家にいるのは 高校生王者
去年の世界ジュニアでの── 最強の"相棒"だ
共に日の丸を背負って闘った「最強の相棒」がその力を解放しようとしている今、果たしてガイトさんは親番を守り切ることができるのか。
ここまで既に四度の役満(天和2回・九蓮1回・数え役満1回)が成立しているエース区間の激闘。ラス親のチャンピオンがどんな打ち筋を見せ、他校がどう食らいついていくのか。後半戦最大の天王山となる南4局の攻防にも期待したいところです。
次回(2019年最後の『咲-Saki-』)は12/20発売号で掲載予定。
『五等分の花嫁』113話 感想:君と共に歩む"これから"の未来!上杉風太郎が届ける中野四葉への想いとは...?
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
長らく続いてきた「最後の祭りが○○の場合」シリーズもいよいよ総決算、ついに風太郎視点のエピソードが描かれることになりました。
学生の本分は学業であると信じ、友情も、仕事も、娯楽も、恋愛も、その全てを「不要なもの」として捨ててきた自分に全力投球で向き合ってくれた5人の女の子たち。
そんな彼女たちとの日々を通じて、上杉風太郎が何を手に入れ、どんな想いを芽生えさせていったのか。刻まれてきた記憶を自問して自覚した「好きな人」に対する飾らない想い。ついに明かされることとなった彼の「決断」を、早速振り返っていきたいと思います。
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第113話:最後の祭りが風太郎の場合
さて、そんなわけで今週は「風太郎」視点で語られる後夜祭のお話です。
慌ただしかった学園祭(=最後の祭り)もあっという間に最終日を迎え、祭りが終わっていく事の寂しさを噛み締めていた風太郎たち。
その様子はまさしく『五等分の花嫁』という物語の終わりを惜しむ読者たちの姿そのものにも見えましたが、そこから自然な会話の流れで五つ子たちのお話に話題がシフトし、終いには恋愛方面の話に発展していくあたりがもう最高に等身大の『高校生』らしさですよね。
ワイワイ語り合える友達の存在も、学園祭の終わりを寂しいと思う感情も、一年前の風太郎からは考えられなかったもので...。
そしてその変化の背景には、
誰がそうしたのか聞くまでもないね
と言われてもいたように、 当然五つ子たちから受けた影響がある。
武田くんが発した「上杉君は当然(五姉妹のことを)見分けられるんだろ?」という問いかけに「できると思う...」と返答しているそのやり取りも印象的で、風太郎が姉妹たちそれぞれに対して「愛」を抱いていることがわかる状況が冒頭の場面を通じて描かれてもいる。
だからこそ、
「一体彼女たちの誰から見分けられるようになったんだい?」
「好きなのか?五つ子の誰かが?」
という核心的な前田の追求が風太郎の胸にずしりと深く突き刺さったのかもしれない。
「誰も選ばない」と語っていた学園祭初日の夕刻。しかし、やはりそれは『本心』ではなく、覚悟が定まっていなかったがための未熟な『博愛宣言』でもあったわけですよね。このまま6人で居たいと願う日和見な気持ちと、「特別な人」に「特別な想い」を打ち明けることへの底知れぬ緊張感と。
そんな様々な感情が風太郎の決断を鈍らせた。大切なものを手に入れたが故にそれを壊したくないと思う自分がいた。だからこそ、気付かない振りをして、向き合うことを拒んできた。
でも、彼女たちの真剣な気持ちに報いるためには、その扉を自らの手で開き、きちんと向き合っていかなくてはならない。
友達としての「愛」。パートナーとしての「愛」。そして、恋愛感情としての「愛」。様々な「愛」の形がそこにある中で、それでも上杉風太郎が「特別」だと認識した唯一無二の女の子。その少女の名は。
中野四葉ちゃん、その人でありました。
上杉風太郎にとっての中野四葉とは?
なるほど......。
そうなると、第100話で描かれていたあのシーンの真相としては、四葉ちゃんが保健室に入ってきた瞬間を切り取った場面だったということになるのでしょうか。
風太郎が教室の扉を開けて入ってきた構図のように見せかけて、実際には校舎外にいた四葉ちゃんが保健室にやってきた場面だったというミスリード的演出。
どうして四葉ちゃんが外にいたのか...という部分の説明が欲しい(これに関しては個人的な所見を後述します)ところですが、ともあれ、風太郎が保健室で彼女を待っていた事実から察するに「四葉ちゃんエンド」が確定したことに間違いはないのでしょう。
一花さんからの問題(第102話を参照)に対する答えとして風太郎が「オレンジジュース(=四葉ちゃん)」を買っていたことも。四葉ちゃんから貰った「からあげ無料券」の使い道として風太郎がビニールの袋を片手に保健室へと入っていったことも。
そのすべてが「四葉ちゃんエンド」の示唆であり、
「金が無ぇならなんで屋台に行くんだよ」
「...決まってる最後までこの祭りを楽しむためだ」
という問答へとつながっていく。
これ以上待たせることはできなくて。確りと自分の気持ちを伝えていかなくてはならないから。
だから、逃げずに向き合ってくれた彼女たちのように、風太郎もまた自らの答えを持って『想い人』の元へ訪れる。
高校2年の9月に出会ったあの時から味方として傍で支えてくれていたその子に。学校行事があるごとに最高の思い出を作ろうと努めてくれた心優しきその子に。クラスメイトと上手く馴染めなかった自分を学級長に推薦し、勉強だけだったこれまでの学校生活を変える最初のキッカケを与えてくれた恩人であるその子に。伝えたかった想い。
過去も、今も、そしてきっと「これから」も。
風太郎の青春には、いつだって四葉ちゃんの存在が共にある。五つ子たちと出会ってからの何気ない日常が楽しくて、困った時にはいつも笑顔で味方してくれた彼女の表情が思い出されて。そんな彼女のことを特別だと感じるまでになっていって...。
ゆえに、この風太郎の決断(=想い)はきっと、彼女が「写真の子」だったからという理由によって導き出されたものではない。
結果的に風太郎が「過去」の真実を知ることになる(あるいは「もう既に気付いている」)のだとしても、あくまでも「今」の四葉ちゃんを好きになったからこそ風太郎は彼女を選んだのであり、彼女が「思い出の少女」でもあったことについては、「過去」と「今」の2回に渡って風太郎が四葉ちゃんに惹かれたと捉えた方が妥当で物語のテーマとも符合する。
滅私奉公に囚われ、損な役回りに徹しながらも風太郎のことを見つめてきた中野四葉という女の子。誰しもに等しく幸せを願う権利があり、各々がそれぞれの望む未来に向かっていくというコンセプトが展開されてきた本作において、その在り方は「変わっていかなければならない」ものとして位置付けられていました。
でも、そんな彼女の「これまで」に救われてきた人達の存在が第108話で描かれてもおり、それは主人公の風太郎とて例外ではなかったのです。だからこそ、「これから」の未来を風太郎と共に育み、「私だけ特別なんて良くない」と言っていた彼女が彼の特別になれた喜びをきちんと享受することができた時、この物語は本当の意味で完結を迎えることができるのかもしれない。
仮にそれが、それこそが、上杉風太郎の答えを通してたどり着いた『五等分の花嫁』という作品の結論であるのなら、僕は万感の想いでその素敵な結末を祝福したいと思える。
まだ最終回ではありませんが、ここまでこの作品を読み続けてこられて本当に良かったなと、改めてそう感じた第113話「最後の祭りが風太郎の場合」のエピソードでありました。
結ばれた想いと結ばれなかった想い
さて。そんな流れの中で一気に風太郎の「決断」が開示されることとなった今回のお話。
約2年間毎週ブログで感想をしたためてきた身としても非常に感慨深い展開でありましたが、同じように作品を追い続けてきた皆様に置かれましては、一体どのような感想をお持ちになられたことでしょうか。
春場ねぎ先生という一人の作家さんの頭の中にしかなかったその"構想"が、たくさんの人に読まれることで広く認知され、賞賛もされれば批判もされる”一つの作品"へと昇華されていく。
結ばれなかったヒロインに対する寂寥感にも似た感情も、結ばれたヒロインへの惜しみない祝福の気持ちも。
様々な思い出が胸に去来してくる中で、それでも確かな決着の瞬間を迎えることとなった6人の恋愛劇。
最も、五月だけはついぞ「恋愛劇」に参加することはなく、風太郎の『良き友達』というポジションを貫くに至ってはいましたけれど、それでも今はただ、4人の未来にもあたたかな光が射し込んでくれることを願いたい。そんな心境で胸が一杯です。
過ぎ去ってきた季節と、これから訪れる新しい季節。この先どれだけの時間が経ったとしても、彼女たちが上杉風太郎に対して「全力で恋をしていた」事実を決して忘れたくない。
長女として複雑な葛藤と闘い続けてきた一花さんの恋も、いつも全力で風太郎に想いを示し続けてきた勇敢な二乃の恋も、そして風太郎への想いを積み重ね自身の成長へと昇華させていった三玖の真っ直ぐな恋も。その全てが本物で、眩し過ぎるくらいに尊い大切な感情だったはずなんだから。
素敵な恋物語を生み出してくださった春場先生に心からの感謝を。本当にみんなみんな最高のヒロイン達でした。
「これから」の風太郎と四葉ちゃん
とはいったものの、状況から察するにこの流れのまま順風満帆に事が進んでいくのかと言えばそれもまたやや不安定な部分ではあり、おそらくはもう少しだけ「ひと悶着」が描かれることにはなっていくのでしょうね。
指定したはずの保健室に四葉ちゃんがいなかったことについては、
①自分が風太郎に選ばれるとは思っていなかったから
②自分が選ばれるべきではないと考えていたから
という2通りの理由が考えられるかと思いますが、いずれにしても、風太郎からの告白に今の彼女が真っ直ぐ向き合えるのかどうかという観点でみれば、未だに「懸念点」が残されてもいるのだろうとは思います。
四葉ちゃんは風太郎のことが好きで、風太郎も四葉ちゃんのことが好き。
状況だけを見れば二人は確かに両想いではある。過去の思い出に頼ることをやめ、自分で自分の価値を探していく決意をしたこともまた間違いなく彼女の成長ではある。
でも、それでも今の彼女はまだ、風太郎と自分が『対等』な間柄になれたとは思っていないのかもしれない。
だからこそ、そんな2人が想いを通じ合わせ、きちんと隣合わせで未来を歩いていくためには、五月の言う通り「これから」が大事というお話になっていくのかもしれません。
風太郎がどんな言葉で彼女と向き合い、その想いに四葉ちゃんがどんな反応を返すのか。
四葉ちゃんの将来も、風太郎の進路も、きっと「残りの数話」できっちりと描かれていくのだと思いますし、2人の未来がどのようにして交わっていくことになるのかも含めて、次週以降のお話を心より楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。
『ぼくたちは勉強ができない』138話 感想:あと一歩の勇気とチョコに込めた想い!うるかの気持ちを知った成幸くんの心情やいかに...?
ぼく勉 問138 感想「乙女の甘い想いは時に[x]に連なるものである②」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注
今週の『ぼく勉』を読みました。
正直、11月~12月にかけての忙しさが中々に半端ではなく、ここ最近の口癖が「1日30時間欲しい...」になってきてるくらい修羅場な日々を送っている私ですが、しかし今回のお話を語らぬままでいられようか。無理である。
まずね、文乃さんが可愛い。それとね、文乃さんが可愛い。やっぱり、文乃さんが可愛い。赤面しながら成幸くんにチョコを渡す乙女な文乃さん。端的に言って超可愛い。あまりの可愛さに思わずジャンプを叩き付けそうになった程である。
せっかく苦手なチョコ作りに励んだというのに「ぎっ 義理だからね!?」とか余計なことを言ってしまうあたりがもう最高に文乃さんでした。ほぼ最終局面と言っていいこの状況下でのその付け足しは悪手も悪手ですが、まぁ文乃さんが可愛かったことに比べれば全て些末なことです。その天使のような出で立ち、疲れを癒してくれる圧倒的な可愛さ。文乃さんがいれば、今日も生きていける!
ふぅ...。
もはやね、最近は達観の極みを通り越して無我の境地まで達してしまってるんでね、正直もう怖いものなんてないわけですよ。後は行く末を菩薩のごとく温かい目で見守り、滝のように溢れ出してくる涙を抑えて万事フィニッシュ。
エンディングが見えたと言ってもほぼ差し支えのなさそうな、バレンタインデーにおける甘酸っぱいやり取り。あと一歩の勇気とチョコに込められた想いが最高に輝いていた今回のお話、気になった点について簡単に振り返っていきたいと思います。
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ぼく勉 138話:乙女の甘い想いは時に[x]に連なるものである②
さて、前回のラストで大量のチョコを手に持っていた成幸くん。
あしゅみー先輩のバイト先でお客に配る用のチョコかと思いきや、友達の小林くんが貰ったものを代わりに預かっていただけでした。まぁ、どのみち成幸くんのものでないのなら大した差こそありませんが、しかし、チョコを渡そうと意気込んでいたうるかさん的には早くも出鼻を挫かれてしまった形に...。
そして、ここぞとばかりに他のヒロインたちがチョコを渡していく光景を横目に、
今更あたしのもらっても
もしかしたらメーワク...かもなぁ...
と、弱気になってしまう乙女なうるかの姿が本当にいじらしくてとても可愛くて...。
ずっと渡したくても渡せなくて、「来年こそっ!!」という言葉を免罪符にして逃げ続けてきたこれまでの自分。受け取ったときにどんな反応をするんだろう。渡してからその先、どう思われてしまうんだろう。そう考えれば考えるほど、その距離がどんどん遠くなっていくように感じられて。
なのに、一生懸命想いを込めて作ったからその気持ちを知って欲しいと思う自分もいる。もうちょっとだけ気にしてほしくて、ほんの少しだけでも距離を縮めたくて。
知られるのが怖いのにそれでも知って欲しい.......ひどく矛盾に満ち溢れた青春の痕。そんな淡い想いを、自分の中だけで受け止め続けてきた毎日から確りと踏み出していかなくてはいけない。
それぞれの道を行き、別々の進路に向かっていく自分たちに今まで通りの日常なんてないのだから。自分から関わろうとしなければ、自分から変わろうと動かなければ、ただ別離の時を待つだけになってしまうのだから。
だから、怖くても、泣きたくても、動き出すしかない。
積み重ねてきた感謝も、膨らみ続けていく想いも。きっと上手く伝えることは出来ないけれど、でも、少しでも伝わってくれたらいいなと、そう思うから。そんな切々とした想いが捻り出した、
なりゆきぃぃっ!!!
の叫び声に激震が走る、第138話のエピソードでありました。
届いた気持ちと2人の関係
しかしまぁアレですね、こうなってくると流石に冗談抜きでうるかエンド以外のルートが考え難くなってきたと言えるでしょうか。
景品で当たったポケチョコ(=義理チョコ)と、心を込めて作られた手作りのポケチョコ(=本命チョコ)。形になって完成してしまえば見分けなんてつかないけれど、でも、そこに込められた5年分の味(=想い)は確りと成幸くんの記憶の中に残り続けてきたわけで。
それは、成幸くんにとってもそのチョコが「特別な思い出の品」になっていたからですよね。
うるかがこれまでに積み上げてきた想いも、そこにあった苦労も、何一つ無駄になんてなっていなかった。きちんと成幸くんの元に届いていた。2人の間に足りていなかったものは、最初から「自覚」と「認識」だけであり、今回の一件を通してそこに手が届きかけてもいる。
だからこそ、あとはもうその認識を「言葉」として紡げるかどうかにかかっているのではないでしょうか。未だ描かれていないうるかの長編が起承転結の『転』の役割を担い、その流れのまま一気に物語の『結』末へと至っていくのかもしれない。
最も、卒業を間近に控えたここからのストーリーにおいて「想い」を巡らせていくのは当然この2人だけではないでしょうから、成幸くんに「恋」をして良かったと全員が思えるような結末になってくれたら嬉しいなと。
そんな期待を抱きつつ、次週のセンターカラーも楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。
『五等分の花嫁』112話 感想:五つ子でよかった!5人の覚悟と風太郎の選択に期待!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
第101話から第111話までの全11話に渡って描かれてきた「最後の祭り」編、ここでついにその総決算となる「五つ子の場合」が描かれることになりました。
各ヒロインごとに個別の物語が展開されてきたこれまでとは違い、学園祭最終日の後夜祭を五人全員で楽しむ五つ子たち。
風太郎との"約束"の瞬間を目前に控えた今、彼女たちが語り合う想いとはなんなのか。そして風太郎の望む結末とは一体どのようなものなのか。今週はそんなところを中心に物語を振り返っていきたいと思います。
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第112話:最後の祭りが五つ子の場合
さて、そんなわけで今週は「五つ子」たち全員の視点で語られる後夜祭のお話です。
彼女たち一人一人が自分の行きたいところを"選択"し、その場所をみんなで順番に回っていく。物語の大筋としては、
・迷子の子供を助けた件でお礼を言われる一花さん
・父マルオとの関係改善に努めた二乃
・クラスの出し物が最優秀店舗に選ばれて喜ぶ三玖
・過去を振り切り前向きになった四葉ちゃん
・屋台のポップコーンを満足気に食べる五月
の5点がそれぞれフィーチャーされており、彼女たちの「趣味・嗜好」に違いがあることを改めて感じさせる描写がなされていました。
生まれた頃は全てが同じであった五人の少女たち。しかし、第46話の「紅茶と緑茶」の例にもあったように、異なる経験を積んできた彼女たちにはもう自分だけの「アイデンティティ」が確りと芽生えているんです。
自分のやりたいことやるべきことを全うする。
ずっと「自分の想い」を肯定できない子として描かれてきた三玖と四葉ちゃんが、
やるべきと感じたままやり抜いたことを後悔していない
たとえ望んだ結果が出なくても
後悔しながら生きてくより100倍いいよ
と語り合うからこそ、その言葉には大きな説得力が生まれるのですよね。
望んだ結果に辿り着けるかどうかなんて走り出してみないとわからないもの。
だから、立ち止まって「後悔」をするよりも自分の心が指し示した方向に進んでいきたい。そんな想いを2人の口から聞けたことが嬉しくて、本当に感慨深さが募る最高のシーンだったように思います。
五つ子でよかった
そんな彼女たちの成長を再認識した一方で、「五つ子であること」に想いを馳せる5人の姿が何とも印象的でした。
まるで「運命」を共有する存在であるかのごとくこの世に生を受け、生まれてからずっと同じ時間を共に過ごしてきた5人の少女たち。
決して楽しいことだけではなく、そこには「五つ子である」がゆえに経験した辛いこともいっぱいありました。
でも、だからこそ彼女たちは、お互いの存在を理解し合い、刺激され、その関係の「特別」さを感じることができる。同じ顔をした別の子が壁を乗り越え成長を遂げていくこと。そんなそれぞれの頑張りがまた別の子の頑張りにつながり、その連鎖がまた更なる頑張りを生み出していくのだから。
かつて三玖が語った、
一人一人違う経験をして足りないところを補い合い
私たちは一人前になろう
という台詞は、きっと彼女たちの間に流れるそんな「循環の輪」を象徴してもいたのでしょうね。
異なる「道」を選び、異なる「夢」を追う彼女たちが、そうして獲得していった経験を分かち合い、また新しい何かを積み上げていく。
自分を除き世界でたった4人しかいない、最愛の姉妹にして、人生最大のライバルたち。そんな存在が生まれながらにして隣にいることの意味を今一度噛み締め、
五つ子でよかった
と笑顔で語り合う彼女たちの姿には、『五等分の花嫁』という物語の集大成が込められていたようでもあって....。
一言では語り切れない"五つ子"という特異なつながりで結びついている彼女たちの関係性。その奥深さが今週のお話を通して再度描かれていたのかなと。そんなことを感じた第112話のエピソードでありました。
それぞれの想いと風太郎の選択
さてさて。そんな経緯でこれまでの思い出をなぞるように彼女たちの想いの共有が図られていた今回のお話。
それぞれが違うものを好み、違うものを選んで、違う夢に向かっていく。そんな文脈がそこにあるわけですが、しかし『五等分の花嫁』という物語の核である恋愛エピソードにおいて彼女たちが惹かれ、パートナーとして選んだ男の子はただ一人しかいない。
同じ人を好きになり、同じ人からの「愛」を望むヒロインたち。『苦楽の五等分』を意味する誓いを立て、彼女たちはそれぞれのゆく先で彼の到着を待つ。
そんな5人の覚悟を見ればここで「何かしらの答え」が出ると思うのが普通ですが、最大の焦点となるのは、風太郎がその覚悟に見合うだけの決断を提示できるかどうかですよね。
初日の時点では「誰も選ばない」と言っていた彼が「お祭りの最後」にどんな答えを出すのか。一人一人順番に想いを語っていく展開になるのか、あるいはただ一人のヒロインの元に想いを打ち明ける展開が描かれることになるのか。
ここまでに描かれた情報を整理すると、
廊下 :三玖
vs相撲部(?):二乃 or 五月
教室 :二乃 or 五月
保健室 :四葉ちゃん
ベランダ :一花さん
という感じの振り分けができるかと思いますが、個人的な想いとしては全員との「対話」が用意されていたらいいなぁとは思いますね。
各ヒロインとの会話を通して改めて「感謝」の気持ちを語り合い、その中で「特別な想い」を自覚する。ここまで風太郎の視点がほぼほぼ描かれてこなかったため、その前に「最後の祭りが風太郎の場合」を挿むことになる可能性もありそうですが、まぁおおよそそのような展開になるのかもしれません。
いずれにしても彼女たちの真剣な想いに見合うだけの答えをきちんと見せて欲しいなと。そんな展開を期待しつつ、次週以降のストーリーを見守っていきたいですね。
五月と四葉ちゃんについて
最後にちょっとばかり「五月」と「四葉ちゃん」について。
上述した通り、今回のお話において5人はそれぞれの想いを分かち合い、風太郎からの告白を待つ覚悟を固めていたわけですが、それは「五月」もまた同様と見做して良いものなのでしょうか。
(ちなみに、ラストページの「上杉君」から始まるセリフは五月によるもので、一花さんが冒頭で言っていた「あのこと」とはこのことですよね...?)
五つ子たちの認識(初日に「誰も選ばない」の告白を聞いた一花さんも今となっては同様の期待を持っていることでしょう)としては、風太郎がこれから誰かに「告白」することになっているはずで、その答えがわかっていない以上、当然その相手が五月である可能性も十分考えられる話でした。
だからこそ、恋心を明確にしている「一花さん」「二乃」「三玖」の三人だけではなく、「四葉ちゃん」と「五月」の二人も一緒に永遠の絆を誓い合い『覚悟の輪』に入ったのだと解釈しているのですが、じゃあ五月が告白されたらオーケーするのかと言えば、そこはまだ物語としてブラックボックスであり曖昧にぼかされている部分でもある。
とすると、この最終局面に突入していくにあたり、五月の「立ち位置」を恋するヒロインと定めなかったことの意味って何だろうとは正直感じるんですよね。
それが「花嫁フラグ」なのか「友情フラグ」なのかはわかりませんが、風太郎に恋心を提示している3人とそうでない2人との差異がどのような展開を生みだしていくのかは今後の展開を考えるうえで注目に値するのではないかなと。
風太郎の決断を通して「四葉ちゃん」と「五月」の2人がどんな想いを語り、そのうえでどんな決着が待ち受けているのか。
いよいよフィナーレも近い『五等分の花嫁』。それぞれの想いに答えを出し、全員が前向きな気持ちで未来に羽ばたいていくこと。そんな6人にしか紡げない軌跡と奇跡を最後の最後まで楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。