五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
第101話から第111話までの全11話に渡って描かれてきた「最後の祭り」編、ここでついにその総決算となる「五つ子の場合」が描かれることになりました。
各ヒロインごとに個別の物語が展開されてきたこれまでとは違い、学園祭最終日の後夜祭を五人全員で楽しむ五つ子たち。
風太郎との"約束"の瞬間を目前に控えた今、彼女たちが語り合う想いとはなんなのか。そして風太郎の望む結末とは一体どのようなものなのか。今週はそんなところを中心に物語を振り返っていきたいと思います。
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第112話:最後の祭りが五つ子の場合
さて、そんなわけで今週は「五つ子」たち全員の視点で語られる後夜祭のお話です。
彼女たち一人一人が自分の行きたいところを"選択"し、その場所をみんなで順番に回っていく。物語の大筋としては、
・迷子の子供を助けた件でお礼を言われる一花さん
・父マルオとの関係改善に努めた二乃
・クラスの出し物が最優秀店舗に選ばれて喜ぶ三玖
・過去を振り切り前向きになった四葉ちゃん
・屋台のポップコーンを満足気に食べる五月
の5点がそれぞれフィーチャーされており、彼女たちの「趣味・嗜好」に違いがあることを改めて感じさせる描写がなされていました。
生まれた頃は全てが同じであった五人の少女たち。しかし、第46話の「紅茶と緑茶」の例にもあったように、異なる経験を積んできた彼女たちにはもう自分だけの「アイデンティティ」が確りと芽生えているんです。
自分のやりたいことやるべきことを全うする。
ずっと「自分の想い」を肯定できない子として描かれてきた三玖と四葉ちゃんが、
やるべきと感じたままやり抜いたことを後悔していない
たとえ望んだ結果が出なくても
後悔しながら生きてくより100倍いいよ
と語り合うからこそ、その言葉には大きな説得力が生まれるのですよね。
望んだ結果に辿り着けるかどうかなんて走り出してみないとわからないもの。
だから、立ち止まって「後悔」をするよりも自分の心が指し示した方向に進んでいきたい。そんな想いを2人の口から聞けたことが嬉しくて、本当に感慨深さが募る最高のシーンだったように思います。
五つ子でよかった
そんな彼女たちの成長を再認識した一方で、「五つ子であること」に想いを馳せる5人の姿が何とも印象的でした。
まるで「運命」を共有する存在であるかのごとくこの世に生を受け、生まれてからずっと同じ時間を共に過ごしてきた5人の少女たち。
決して楽しいことだけではなく、そこには「五つ子である」がゆえに経験した辛いこともいっぱいありました。
でも、だからこそ彼女たちは、お互いの存在を理解し合い、刺激され、その関係の「特別」さを感じることができる。同じ顔をした別の子が壁を乗り越え成長を遂げていくこと。そんなそれぞれの頑張りがまた別の子の頑張りにつながり、その連鎖がまた更なる頑張りを生み出していくのだから。
かつて三玖が語った、
一人一人違う経験をして足りないところを補い合い
私たちは一人前になろう
という台詞は、きっと彼女たちの間に流れるそんな「循環の輪」を象徴してもいたのでしょうね。
異なる「道」を選び、異なる「夢」を追う彼女たちが、そうして獲得していった経験を分かち合い、また新しい何かを積み上げていく。
自分を除き世界でたった4人しかいない、最愛の姉妹にして、人生最大のライバルたち。そんな存在が生まれながらにして隣にいることの意味を今一度噛み締め、
五つ子でよかった
と笑顔で語り合う彼女たちの姿には、『五等分の花嫁』という物語の集大成が込められていたようでもあって....。
一言では語り切れない"五つ子"という特異なつながりで結びついている彼女たちの関係性。その奥深さが今週のお話を通して再度描かれていたのかなと。そんなことを感じた第112話のエピソードでありました。
それぞれの想いと風太郎の選択
さてさて。そんな経緯でこれまでの思い出をなぞるように彼女たちの想いの共有が図られていた今回のお話。
それぞれが違うものを好み、違うものを選んで、違う夢に向かっていく。そんな文脈がそこにあるわけですが、しかし『五等分の花嫁』という物語の核である恋愛エピソードにおいて彼女たちが惹かれ、パートナーとして選んだ男の子はただ一人しかいない。
同じ人を好きになり、同じ人からの「愛」を望むヒロインたち。『苦楽の五等分』を意味する誓いを立て、彼女たちはそれぞれのゆく先で彼の到着を待つ。
そんな5人の覚悟を見ればここで「何かしらの答え」が出ると思うのが普通ですが、最大の焦点となるのは、風太郎がその覚悟に見合うだけの決断を提示できるかどうかですよね。
初日の時点では「誰も選ばない」と言っていた彼が「お祭りの最後」にどんな答えを出すのか。一人一人順番に想いを語っていく展開になるのか、あるいはただ一人のヒロインの元に想いを打ち明ける展開が描かれることになるのか。
ここまでに描かれた情報を整理すると、
廊下 :三玖
vs相撲部(?):二乃 or 五月
教室 :二乃 or 五月
保健室 :四葉ちゃん
ベランダ :一花さん
という感じの振り分けができるかと思いますが、個人的な想いとしては全員との「対話」が用意されていたらいいなぁとは思いますね。
各ヒロインとの会話を通して改めて「感謝」の気持ちを語り合い、その中で「特別な想い」を自覚する。ここまで風太郎の視点がほぼほぼ描かれてこなかったため、その前に「最後の祭りが風太郎の場合」を挿むことになる可能性もありそうですが、まぁおおよそそのような展開になるのかもしれません。
いずれにしても彼女たちの真剣な想いに見合うだけの答えをきちんと見せて欲しいなと。そんな展開を期待しつつ、次週以降のストーリーを見守っていきたいですね。
五月と四葉ちゃんについて
最後にちょっとばかり「五月」と「四葉ちゃん」について。
上述した通り、今回のお話において5人はそれぞれの想いを分かち合い、風太郎からの告白を待つ覚悟を固めていたわけですが、それは「五月」もまた同様と見做して良いものなのでしょうか。
(ちなみに、ラストページの「上杉君」から始まるセリフは五月によるもので、一花さんが冒頭で言っていた「あのこと」とはこのことですよね...?)
五つ子たちの認識(初日に「誰も選ばない」の告白を聞いた一花さんも今となっては同様の期待を持っていることでしょう)としては、風太郎がこれから誰かに「告白」することになっているはずで、その答えがわかっていない以上、当然その相手が五月である可能性も十分考えられる話でした。
だからこそ、恋心を明確にしている「一花さん」「二乃」「三玖」の三人だけではなく、「四葉ちゃん」と「五月」の二人も一緒に永遠の絆を誓い合い『覚悟の輪』に入ったのだと解釈しているのですが、じゃあ五月が告白されたらオーケーするのかと言えば、そこはまだ物語としてブラックボックスであり曖昧にぼかされている部分でもある。
とすると、この最終局面に突入していくにあたり、五月の「立ち位置」を恋するヒロインと定めなかったことの意味って何だろうとは正直感じるんですよね。
それが「花嫁フラグ」なのか「友情フラグ」なのかはわかりませんが、風太郎に恋心を提示している3人とそうでない2人との差異がどのような展開を生みだしていくのかは今後の展開を考えるうえで注目に値するのではないかなと。
風太郎の決断を通して「四葉ちゃん」と「五月」の2人がどんな想いを語り、そのうえでどんな決着が待ち受けているのか。
いよいよフィナーレも近い『五等分の花嫁』。それぞれの想いに答えを出し、全員が前向きな気持ちで未来に羽ばたいていくこと。そんな6人にしか紡げない軌跡と奇跡を最後の最後まで楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。