『ぼくたちは勉強ができない』150話 感想:次のページは君と僕の手で…ラブコメのマルチエンドについて個人的に思うこと
ぼく勉 問150 感想「[x]=…」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意
なんやかんやの末にうるかが留学先から帰国し、成幸くんがお手製の指輪をプレゼントする形で一つの幕を下ろした今回の『ぼく勉』。
内容的には完全に最終回そのものとしか思えず、色々ありつつもついに終わるのか…なんて感慨に耽っていた僕でしたが、どうやら『ぼく勉』自体はまだまだ続いていく模様で、ここからは他のヒロイン達とのルートを1本ずつ順番に描いていく、いわゆる"マルチエンド方式"を展開する予定との情報が明かされていました。
まぁ言ってしまえばギャルゲー要素の強い(=1対1の個別回を中心にお話を構成してきた)『ぼく勉』だからこその"試み"ということになるのでしょうけれど、正直この点に関して賛否両論が読者の間で発生するのは至極当然のことだと思います。
ラブコメや創作に限らず、喜怒哀楽の全てを包括したものが"感想"なのであって、それを否定する権利は誰にもありませんからね。それぞれが自分の感想を大切にしていけばそれでいいと思いますし、読み方は人それぞれ違って当たり前の世界。
なので、今回はそういう前提を元に、ラブコメにおけるマルチエンドについて個人的に思うところを書いていきたいなと思います。
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ぼく勉 問150:「[X]=…」
さて。そもそもなぜ「マルチエンド」がゲーム媒体で採用されやすいのかと言うと、それは当たり前なお話「物語の主人公=プレイヤー本人」という前提がゲーム世界においては担保されているからです。
プレイヤーの選択がゲームの進行に影響を及ぼし、その積み重ねが最終的な結末を決めていく。
そういった一連の体験行動にマルチエンド式ゲームの醍醐味があり、ユーザーもまたゲームを購入する段階でいくつかのルートに分岐していることを認識し、その上でゲームを楽しむ。ゲームとマルチエンドの間にシナジーが発生しているのは、ひとえにこういう仕組みが自然と成立しているからです。
とすると、一方の漫画媒体はどうか。主人公の唯我成幸くんは絶対的にただ一人しか存在しておらず、多様な人格(=好みや価値観と言い換えた方が正しいですかね)を有したプレイヤーの代わりには当然なりえない。
例えばうるかルート世界線の成幸くんは「中学の頃からうるかを特別に想っていた」ことが明かされており、その前提の元でうるかの告白を皮切りに今のエンディングにたどり着きました。
しかし、他の子のルートではうるかがエンドヒロインとはなりえないわけですから、「胸の内に眠るうるかへの気持ちに気付かないまま」成幸くんが他の子に惹かれていく…という構図を自然と辿ることになるわけです。
後夜祭の花火がルートの分岐点になる場合は「中学時代のやり取りや5年分のバレンタインを含む様々な積み重ね(=作中問69以前の事象)がそのまま起こった出来事」としてカウントされることになり、それらの過去をエンディングの決め手として第1のルートで扱ってしまった以上、第2ルート以降は「うるかに告白されなかったから愛おしいと気付けなかった」という構図にならざるを得ない。
唯我成幸という主人公の「人間性」が変わらない中でエンドヒロインだけを変えるということは、望まずともそういうモヤモヤを生み出すことに繋がってしまう。ちょっとしたきっかけで結末が変わる。それは即ち、一つ一つのルートから『重み』や『必然性』が損なわれてしまうことと同義だから。
多くのラブコメ漫画でマルチエンドが採用されていないのはおそらくこういう歪みをわかっているからで、軽々しく「マルチエンドはアリ!」と言ってしまうのは一つ一つの物語に対して無責任が過ぎる。この点だけはきちんと認識したうえでこの先のルートを読んでいきたいなと個人的には思っています。
未来は僕らの手の中に
とはいえ、今の『ぼく勉』にそういう細かい整合性を求めているのかと言われれば、正直なところ僕個人としてはノーだったりします。
以前の感想で「過程の末に結論を導こうとしたというより、結論ありきで登場人物たちの行動を規定している印象がある」と書いたかと思いますが、マルチエンドの採用はまさしくその裏付けですよね。
他のヒロインたちが誰ひとりとして告白をしなかったことも、成幸くん自身がヒロイン達の気持ちに最後まで気付かない鈍感くん(潜在的に惹かれていたうるかに対してでさえ告白されるまで無自覚)だったことも。
全てがうるかエンドを描くための副作用で、そこに理屈を求める意味など全くなかったわけですから。
ゆえに、もう細かいことは全て忘れ、それぞれのルートを通じて明るい未来を掴んでいくヒロイン達の笑顔を楽しむことが現状最も幸せな読み方なのだと思うようにしています。
マルチエンドを選んだならマルチエンドにしかない楽しさをきちんと提供してくれればそれでいいし、どんな形であれ永遠に届かないと思っていた「未来」が描かれるのならやはり一読者として前向きに楽しんでいきたいなとも思っていますから。
文乃さんと成幸くんの間にどんな恋のシナリオが用意され、2人がどのように手を取り合っていくのか。
マルチエンドを採用した『ぼく勉』だからこそ描ける物語に期待しております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。
『咲-Saki-』第213局「連枝」感想
咲-Saki- 213局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)
約3ヶ月に渡る休載期間を終え、2020年第一発目となる今回の『咲-Saki-』は堂々の巻頭カラーです。
嬉しい。『咲-Saki-』を読めるという事実が半端なく嬉し過ぎる。長期休載はよくあることで私は慣れてるはずだったんだ……を合言葉に咲無月を耐え凌ぐ暗黒の日々がついに終了し、久しぶりに『咲-Saki-』成分を補給するぞ!と意気込んで迎えた今号のヤングガンガン。
もはや、冒頭のカラーベージだけで3ヶ月くらい余裕で生きていけそうな破壊力がありました。
宮永姉妹(とキュートな仲間たち2人)を隣り合わせに据えた扉絵は連載始まって以来初出しの構図で、『咲-Saki-』の根幹を成す2人の過去に関して様々な想像を掻き立てていく。
宮永照と宮永咲。
かつて仲良しだった2人の間に一体何があったのか。不幸な行き違い、複雑な家庭の事情。憶測を語ればいくらでも過去についての考察は出来るけれど、結局一番大切なことは「これから」をどうしていくのかであって、過去の出来事はあくまでも原因の解明という一要素に他ならない。
2人がこの先どうしたくてどう向き合っていきたいのか。
麻雀を通してならお姉ちゃんと話せる気がする
と咲さんが語っていた通り、全国の頂点を決める決勝の大舞台を通して姉妹による交流が無事果たされることになるのか。
麻雀をきっかけにたくさんの出会いを果たし、次第にその楽しさを思い出していく『咲-Saki-』という物語。
宮永姉妹が手を取り合った先に待ち受けているであろう「世界ジュニア編」まで構想されているあたりに世界観の広さを感じさせますが、当面は決勝戦の熱き闘いを引き続き楽しんでまいりたいと思います。
<前回の感想>
第213局「連枝」
チャンピオン宮永照の親番で迎えた先鋒後半戦のオーラス。
エース区間の名に恥じないハイレベルな面子が集結しているとは言え、必殺の連続和了で猛威を振るう照の支配がそう易々と止まるわけもない。
照の連荘を阻止すべく勝負に出た玄ちゃんの行動は称賛されるべき一手ではあったものの、単騎で聴牌していた照に運悪く掴まり、辛くも8300点を放銃してしまう。
ポン ロン
2着の照視点で言えばトップ直撃は最高の形で、トップの玄ちゃんからすれば一番避けたかったはずの照への振り込み。
無論、赤土さんも言っていた通りこの挑戦自体が悪かったわけではなく、照の力が想像を超えていただけのことではある。
1副露していたとはいえ配牌から混一色1向聴で速和了りされる理不尽な流れを流石にミスとは言い難く、どのみち誰かが和了らなければ照が自力で和了ってしまうわけであって、防御に徹する方法ではチャンピオンの猛攻を止めることはできない。
必ず誰かが動いて照のスピードを上回る必要があり、今回は玄ちゃんがチャンス手で勝負に出る決断をしたまでのこと。その意味において言えば、玄ちゃんの選択は間違いなく"ナイスファイト"と呼ぶべきものである。
しかし、照の和了りが4連続まで伸び、打点上昇を伴って更に続く形になってしまったことも事実。
いくら照と言えども毎局1~2巡の速さで和了れるわけではないものの、もしかしたら振りこんでしまうのではないか…というイメージ(=恐怖)を他家に植え付けるには十分過ぎる一局だった。
全国一万人の頂点に君臨するその力は決して伊達ではなく、戦意を保ち続けるだけでも難しい。
前に出る気持ちが薄まればなおさら彼女は止められず、続く三本場も照が難なく断么九七対子(3500オール)をツモり切りついにトップへと浮上!
ツモ ドラ
強い…。あまりにも強すぎる……。
この強大な相手を前に、三校は果たして巻き返しを図れるのか。そんな空気が漂いつつ、場は南4局4本場へと突入していくわけであります。
〇現在の点数状況(後半戦南4局3本場終了時点)
1位 白糸台 :115500点
2位 阿知賀女子 : 107300点
3位 清澄 : 93000点
4位 臨海女子 : 84200点
宮永照の連荘を止めろ!
〇南4局 4本場 親:宮永照 ドラ:
さて。前局の3500オールで順位が変動し、完全に宮永照の独壇場と化しているオーラスの闘い。
しかし、準決勝と同じく玄ちゃんのドラ支配が打点上昇に上手いことブレーキを掛けており、さしもの宮永照とてドラなしで満貫以上の手を作るには相応のツモ数を要する。
従って、単純なスピード勝負の土俵に立てば他家にも付け入る隙があるはずで、照の放つプレッシャーを跳ね除けて「前に出ることができるかどうか」、その点こそがこの先の鍵になっていくであろうことは想像に難くない。
ゆえに、そんな流れを背負った南4局4本場の第1巡目、奇しくも優希の元に速攻のチャンス手が舞い込んでくる。
ツモ
ドラのとに期待できない点が苦しくはあるけれど、鳴きのチャンスがあれば速攻も見えてくる良い形。
3着確定の和了り手とはいえチャンピオンの連荘が止まるなら動かない理由はなく、次巡にポンで鳴き仕掛けを行い、優希はこの手を無事に聴牌。
待ちはの3面張(ドラは実質期待値がゼロなので+なしの2面張と同じ)で、2巡目の段階で張れたのなら当然そう悪い牌姿ではない。
後は、この手を速攻で和了りきれるかどうか。そこに全てが掛かってくる。
....と考えていたその矢先、
待ち:
ここでガイトさんがまさかの倍満手を聴牌!
もしガイトさんが17200(4400・8400)点をそのままツモで和了りきった場合、
1位 白糸台 :107100点
2位 阿知賀女子 : 102900点
3位 臨海女子 :101400点
4位 清澄 : 88600点
最終収支は上記の通りで、正直想定していたよりも照のプラスはかなり少ないものになる。
となると、ガイトさんの待ちが照の現物(・)になっていることを踏まえ、やはり優希か玄ちゃんのどちらかが振り込んで〆となる可能性が幾分高そうではあるでしょうか。
照の連荘が続く展開も考えられる中で、ガイトさんの大物手和了で決着を迎える展開も見えてきた決勝先鋒戦の最終局面。
壮絶な死闘の果てに、一体どんなラストを飾ってくるのか。次号は休載で、次回は4/3発売号で掲載予定。阿知賀編の連載再開も超楽しみにしております!
今月のビッグガンガンを読んでいたら、いきなり『咲-Saki-阿知賀編』連載再開の告知が飛び込んできて流石にびっくり…。今回の決勝は優勝予想が難しく全ての区間注目度が高いので、阿知賀女子の視点でも描いていただけるのは非常に楽しみです。立先生とあぐり先生に感謝!https://t.co/oNayYXvO1G pic.twitter.com/bohce3eEhr
— ふわふわ (@huwahuwa014) February 24, 2020
『カッコウの許嫁』第5話 感想:頑張る貴方と見守るキミ!そして物語は動き出す...!
『カッコウの許嫁』5羽目 感想
『カッコウの許嫁』 最新話 感想 ネタバレ注意`se
瀬川さんとの関係に進展が見受けられた前回のお話。
今回はその流れを受けつつも、許嫁であるエリカの存在がアクセントとして際立っていた回でした。
徐々に種は蒔かれ、確かな"予感"が浮かび上がる。目に見えずともそこにあり、いつかきっと恋という名の星座を映し出す。
家族。恋愛。勉強。未来。
動く物語の中で、凪たちの「今」がどのように変わりどこにたどり着くのか。益々目が離せなくなってきた第5話のエピソード、早速振り返ってまいりましょう。
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5羽目:バカなんじゃないの!?
さて。お話は前回の続きからです。
片恋相手からの宣戦布告に闘志を燃やし、黙々と勉強に邁進しようとする凪。しかし同居人のエリカ(教科書と交戦中)が騒がしくて勉強が捗らず、なんやかんやの流れで気が付けばお約束の壁ドンが発生……という状況に。
親の意向によって強引に始まった共同生活でありながら、無干渉の取り決めを超えた交流が次々と生まれていくあたりに「2人の絶妙な相性」が表れているのかもしれない
目的のために倒れるまで一生懸命になれる凪と、そんな彼の無茶を咎めつつもそこに長所を見出だして好感の色を示すエリカ。
エリカ「そこまで一生懸命な人 はじめて見た」
凪 「そんなことはじめて言われたよ」
お互いの「はじめて」がそこにあり、意識せずともプロローグはもう既に始まっている。
正反対の家庭環境で育ってきた2人がお互いを知りながら惹かれ、やがて本当の恋にたどり着いていく。
ボーイミーツガールものの王道にしてラブコメの浪漫がストレートに詰めこまれたエリカとの毎日。
第1話でエリカが冗談めかしに語っていた、
結婚相手が凪くんだったらよかったのにな……!!
の台詞がこれからどういうプロセスを経て「本物」へと変わっていくのか。そのあたりに期待しつつ、2人の今後を見守っていきたいなと思っています。
動き出す物語
一方、今の凪にとって最大の目標は「学年一位の座を奪取して瀬川さんに告白をすること」です。
親の勝手で許嫁と共に暮らす生活が始まったとはいえこの点が揺らぐことはなく、既に気持ちは決まっている。新学期に宣戦布告をした時点で覚悟はできているし、そのために必死で勉強もしてきた。
憧れの存在にして超えるべきライバルでもある瀬川ひろ。自分以上の負けず嫌いであり、彼女が血の滲むような努力を積んできただろうことは想像に難くない。
異なる背景を持ったエリカとはまさしく正反対のヒロインで、そんな彼女とのガチンコバトルを見事制し、ついに学年1位の座にまで手が届いたこの流れ。
もはや、告白をするなら「今」しかないという局面です。
まだまだ最序盤ではあるものの、凪視点でいえば告白一択の状況。個人的にも告白は見てみたいところではある。
しかし、ここに一つの仕掛けが施されている点を考えるとそう簡単に事は運ばないのかもしれません。
先週の4羽目で描かれていた上記のシーンに意味があるのなら、エリカと凪の関係がSNS上で拡散されている可能性は十二分に考えられる。
エリカとの許嫁関係や同居生活が続いた状況で他に恋人が出来るというのも難しいでしょうし、何だかんだで「告白」が上手くいかない展開(気持ちをきちんと伝えることができない展開)は普通にベターな展開としてありうるのだろうなと。
とはいえ、いずれにしても凪が瀬川さんに勝ったことで確実にお話は動き、瀬川さん側の心情に変化が生まれる形で関係が変わっていきそうな雰囲気もありますので、作品的にはここが一つの要所になるのだと思います。
そして、第3のヒロインである妹の幸がこの流れに合流した時、凪を取り巻く四角関係が一体どうなるのか。
炉に火が放たれ、また一段熱い展開になってきた『カッコウの許嫁』ワールド。センターカラーで迎える次週のお話を楽しみに待ちたいと思います!
『カッコウの許嫁』第4話 感想:瀬川ひろ vs 海野凪!恋の始まりは宣戦布告から!
『カッコウの許嫁』4羽目 感想
『カッコウの許嫁』 最新話 感想 ネタバレ注意
エリカとのエピソードがメインだった前回までのお話。
今回はその流れから一転し、二人目のヒロインである瀬川ひろに焦点が当てられていました。学年二位の凪が目標とする相手であり、それゆえに恋の対象となっている瀬川さん。
つい最近まで凪のことを認識さえしていなかった(のかな...?)と思われる彼女が、この先どういう形で恋物語に絡んでくるのか。その試金石とも言える今週のお話を早速見ていきたいと思います。
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4羽目:絶対に負けないから!!!
さて。そんなわけで今週のキーパーソンは瀬川さんです。
新学期早々、
今度の実力テストッ 必ずオマエに勝つからなッ!!!(第1話)
と彼女に向けて宣戦布告を行っていた凪。そのアプローチが功を奏したのか、学年主席である瀬川さんから一通の手紙をもらうこととなりました。
な、なるほど....。
もはや、瀬川さんが想定の300倍くらいかわいくてビビる。ラブレター風味の手紙が自分のロッカーに入っており、それを入れたと思われる人物が恥じらいながらこちらの様子を見つめているこの状況。
多感な男子高校生でなくとも「も、もしや...」と期待してしまうのが必定というものです。「私より頭がいい人」がタイプと言っていた彼女が、休み明けのテストでまさかの1位を取った自分に告白をすべく手紙を差し出した。
伝えたいことがあります。
放課後、屋上で待ってます。
流れとしても理に適っており、手紙の内容も「告白」を示唆する文字列が並んでいた。
不動の学年1位で運動神経も抜群。天然でやさしくて社交性さえも兼ね備えた究極才女である瀬川さん。そんな彼女からの呼び出しに応じない男が果たして存在するだろうか、いや存在しない!
よもや、4話目にして両想いが成立してしまうとは...。これも一興か。最近はスピード感こそがキモ!ってエロい人も言っていましたし。というわけで、瀬川さんによる渾身の告白がこちらになります。
あなたにはッ
絶対に負けないから!!!
負けず嫌いの2人
はい。
そんな感じで珍しく流れに乗った感想を書いてみましたが、まぁ当然この場で愛の告白なんて来るはずもなく...。瀬川さんが真に伝えたかった想いは、
「次の実力テストで1位をとるのは私!!」
「その次の中間試験も期末試験も全部勝つのは私!!」
「体育祭も水泳大会も文化祭もマラソン大会もッ」
「日直や掃除のスピードもごはん食べおわる早さだって全部勝つのは私!!」
という宣戦布告でした。
第1話で凪が彼女に対して高らかに宣言してみせたように、今度は彼女が凪に向かって「負けない」宣言をする。
どんな些細なことでも絶対に負けないとするポリシーを見るに、これまでの彼女は一度として勝負に負けたことがなかったのかもしれない。
というより、法事で休んだことが理由なら厳密に言って「負けたこと」にはならないと思うわけですけれど、それさえも気にするとなるとかなりの本物ですね。
もっとも、そんな負けず嫌いな彼女を見つめ、
めちゃくちゃカッコいい......!!
と惚れ直している凪もなかなかのものだとは思いますが...笑。
第1ヒロインのエリカが別世界に住んでいるお嬢様と形容され、第2ヒロインの瀬川さんが同じポリシーを持つ似た者同士の女の子だったという面白い構図。
許嫁との同居生活に続いて想い人からライバル宣言まで受けてしまった凪が果たしてこの先どうヒロインたちと関わっていくのか。楽しみにしていきたいところであります。
....というわけで今回の感想を一言でまとめると、
恋物語の盛り上がりに期待!
寝起きのエリカが最高に可愛かった!ってことですよ。
現状あまり推しとかはありませんが、主人公がスタートから明確に「片思い」をしている作品なだけに、思春期の高校生らしい感情豊かな恋物語を見せてくれたら嬉しいなと。
一人一人のヒロインに違った魅力があり、それぞれに異なる関係性がある。いつの日か、ただ一本のルートに向けて「答え」が収束していくことになるとしても。そこにあった恋と青春は間違いなく本物で尊いものだと思うから。
海野凪を中心に回りだしていく多角関係の恋。ここから更に盛り上がっていくことを願いつつ、次回のお話を楽しみにしております!
『五等分の花嫁』122話(最終話) 感想:6人の物語ここに完結!最高の感動にありったけの感謝を!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
ついに『五等分の花嫁』も今週で最終回です。
第1話「五等分の花嫁」で始まり、第122話「五等分の花嫁」で締める。本当にこれで最後なんだなと思うと、一つ一つのシーンや言葉がとてもかけがえのないものに感じられて、自然と目頭も熱くなって。
意外性のある展開も奇抜な演出も、もはや必要ありませんでした。特別なことをせずとも、すべてが特別な思い出になる。結婚式特有のしみじみとした余韻を感じさせつつも、その後は泣けて笑えてグッときて……最後はやっぱり"みんな一緒に"笑い合って。
どこまでも『五等分の花嫁』らしいまま、6人の青春がこうしてひとつの"完成"を迎えてくれたこと。本当に心の底から嬉しく思い、作者の春場ねぎ先生に向けて今一度感謝の想いを表明したい心境でございます。
さぁ、泣いても笑ってもいよいよこれで最後の感想になります。風太郎と五つ子たちの総決算となる珠玉の最終話。誠心誠意振り返っていきましょう。
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第122話(最終話):五等分の花嫁
物語のラストを締め括る最終回のお話は、「披露宴における花嫁(=四葉ちゃん)からの挨拶」と「控室で行われていた五つ子ゲームの回答」を中心軸に据えてエピソードが構成されていました。
花嫁となった四葉ちゃんが語る「家族」への想い。亡き母から受け取った教えと愛が自身の中で生き続けていくことに触れ、過去と軌跡を振り返る形で"両親"への感謝を言葉にしていく。
零奈さんの死から目を背け、彼女が残した子供たちとも向き合えずにいたかつてのマルオ。
「家族」というテーマが根底にあった本作においてそのすれ違いは極めて重要なポイントとして描かれており、上杉風太郎という一人の少年を通じて歩み寄りが為されたことは今でも強く記憶に残っています。
本当の「愛」とは血の繋がりのあるなしではなく、その人の幸せを心から願えるかどうか、あるいはそういう間柄を築けているかどうかであり、養父マルオと五つ子たちの関係はまさしくその事実を象徴してもいるのかもしれません。
お父さんが私のお父さんになってくれてよかった
という「感謝」と「愛」の言葉を今この場で紡ぐ四葉ちゃんの姿に、そんなテーマ性を垣間見ることができたのではないかなと感じた次第でした。
五つ子ゲームファイナル
さて。その一方で語られるのは、風太郎から五つ子たちに向けた「愛」についてです。
姉妹たちから最後の問題として提示されることになった五つ子ゲーム。花嫁を見極めることができるかどうかを確かめる目的で行われたその問いに対し、風太郎はきちんと一人一人に向けて「素直な想い」を語りその愛を示していく。
風太郎の言うとおり、この場で花嫁以外の4人がウェディングドレスを着てしまうことの是非については確かに一考の余地がある。
けれど、一生に一度の代名詞とも呼べるその衣装を着てまで彼女たちがこういう行動に出た理由はきっと、自分たちにとっても一つの「区切り」を付けるためだった。
彼女たちとの出会いを通して彼が何を貰い、そして彼女たちが彼との交流を通してどう成長したのか。それを今ここで改めて語り合うために。
最後の祭りでただ一人の元に訪れて「告白」する形式を取ったことも、この結末を思えば必然だったのかなと今では思っています。
一花さんへの愛
そんな「風太郎の想い」は一花さんから順に語られていくことに。
同じ長男長女の立場として。
妹たちを気に掛けるやさしさと思慮深さを持ち、風太郎にとっても本心や秘密を共有できる存在だった一花さん。気持ちを抑えきれず後悔に涙したこともあったけれど、長女として誰よりも一歩先に進み強くあろうと振る舞う姿は本当に眩しく見えました。
彼女が風太郎と出会って恋をしたこと。その軌跡が無駄になることは決してなく、彼女のこれからをより輝かせる思い出として胸に刻まれていくことを切に願っています。
二乃への愛
誰よりも自分の「気持ち」に真っ直ぐ向き合っていた次女の二乃。
そんな彼女に対して風太郎が語るのは、「お前の強さはその人一倍の弱さの裏返しだ 厳しさもそれだけ大きな愛情があるからなんだろうな」という想いでした。
家族想いな一面と恋愛に対して実直なスタンス。
そこには「強さ」と「弱さ(=繊細さ)」が同居していて、その愛情の深さを当時の風太郎は正しく認識することができなかった。
5年の歳月が経って大人になり、二乃が示してくれていた「愛」がいかに大きなものであったのかを風太郎が理解したこと。五つ子ゲームを通して二乃のことを見分けた彼だからこそそれが言葉だけのものではないとわかり、二乃がその「愛」を受け取って涙を流す。
その全てが「完璧」と形容したくなる構図で、万感胸に迫る想いでありました。
三玖への愛
風太郎への想いを原動力にして成長を遂げてきた三女の三玖。
そんな彼女に対しては、「自分の不安と戦って勝ちえた結果に胸を張れ」とエールを送ることで彼はその"愛"を示します。
苦手だった勉強を克服して卒業を果たしたことも、料理に興味を持って自分の店を切り盛りしていることも。
全ては三玖が自分の意志でやり遂げてきたことで、だからこそ自分を信じろと背中を押す。
未来のことは誰にもわからないし、時には不安に陥ること(風太郎に抱き付くシーンは家族旅行編との対比ですね)もあるけれど。それでも未来のことに臆病にならなくていいのは、「過去」と「今」が重なり合った結果こそが「未来」だからなのだと思います。今に全力を注いだ結果が未来になるのだから、自分がやってきたことをただ信じればいい。
笑顔で一つの「区切り」を付けていく強い三玖の姿に、一読者として勇気を貰えたような気がしています。
四葉ちゃんへの愛
彼女に対する「愛」は今更語るべくもなく、5年も前から"渾身のプロポーズ"という形でその想いはきちんと彼女の元に届けられていました。
ゆえにここは、「あっさり」こそが正解なのでしょうね。
正しい道も間違った道も共に手を取り合って歩き、更に深く強固な「愛」を育んでいく2人だからこそ、これ以上の言葉をこの場で語る必要はない。 巡る季節の中でじっくりと確かめ合っていけばいい。
そんな演出がとても趣深くて、とても『五等分の花嫁』らしいなと感じました。
五月への愛
第1話の登場からもう一人の主人公としての側面を持ち、風太郎とは「似た者同士」として取り上げられることが多かった末っ子の五月。
この場面においてもそんな彼女の立ち位置は健在で、かつてのように口論を繰り広げる2人の姿に懐かしさを感じた方も多かったのではないでしょうか。
まるで、「喧嘩するほど仲が良い」とはこの2人のことを指した言葉なのではないかと思えてくる程に。
花嫁を絶対に見極めなくてはならない場面で「私が四葉だけど...」と冗談を言って見せたり、昔の口調で遠慮のない言葉を交わし合ったり。
家庭教師としての生活がスタートしたあの日に風太郎が初めて出会ったのも五月で、その思い出を振り返りながら
お前に出会ってからだ!
俺の人生が狂い始めたのは!
と風太郎が語る。「悪夢」の始まりにして「夢」のような楽しい青春の日々。そういうもの全てをひっくるめ、風太郎と四葉ちゃんが「五つ子姉妹」に対する想いを各々の視点から吐露する展開。
私は皆と五つ子の姉妹として
生まれることができて幸せでした
お前たち五つ子に出会えたこと
数少ない俺の自慢だ
これまでの物語に対する肯定と敬意を一言で完璧に表現している、実に見事なランディングだったなと思っています。
そして夢の向こう側へ
....という経緯で姉妹たちからの「五つ子ゲーム」に500点満点の回答を出し、名実共に四葉ちゃんの旦那さんとなった風太郎。
そんなタイミングで語られるのは、五年前の家族旅行における「鐘キス」の真相についてでした。
結論から言うなれば、「自分を見分けて欲しい」という想いゆえに四葉ちゃんは風太郎の元まで駆け寄って行ったのだと読めます。
自身の正体を伏せたまま近付いていることからもそれは明らかで、呼びに行こうとしたことで起こった単なる偶然というわけでは当然ない。
足を滑らせて倒れ込むようにキスまで行ってしまったのは事故だったのかもしれないけれど、そこに四葉ちゃんなりの想いが秘められていたからこそ生じた出来事でもあったわけです。
本当に上杉さんは「自分のことを見つけてくれるのだろうか」。
そんな切実な気持ちに対する解答が五年という時を超えた今ようやくこの場で開示される。
かつてお母さんがそう言っていたようにこの世にただ一人しかいない自分は間違いなく「特別な存在」で、それを見分けてくれる「愛」で繋がったパートナーが今は側にいてくれる。
ならば、「過去」を象徴するリボンなんてもう必要ない。
「初めて京都で出会った10年前の(見分けてもらえなかった)あの日」と「最後の五つ子ゲームを経て結ばれた今日という一日」。
その2つの対比を「リボンからの卒業」という演出で締めくくってくれるとは、もう本当に完璧としかいいようがない。完璧です。21世紀の世を生き、『五等分の花嫁』という作品に出会うことができて本当によかった。
この後に、2人の新婚旅行に姉妹たちが付いてくるという流れのお話が語られていましたが、それもまた『五等分の花嫁』らしさだと思っています。生涯のパートナーとして結ばれたヒロインは一人なれど、「愛」で繋がっているのは五人とも同じ。
どこまでも『五等分の花嫁』らしく。
五つ子たちが切磋琢磨して成長し、この先も幸せな未来を描いていく。高校生だった頃がそうだったように、大人になって誰かが結婚しようともその関係が変わることはない。
どれだけの時間が経っても変わらない6人の絆。そんな最高の余韻で有終の美を飾ってくれた本作に改めて感謝の言葉を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
最高の物語に感謝を込めて
さて。最後になりますが少しばかり「あとがき」を。
『五等分の花嫁』が連載されていたおよそ2年半、そして僕らがこの作品と共に歩んできた幾日、幾ヶ月、幾年は、今日この日を以て終わりを迎えます。毎週楽しみに読んできた物語も6人が精一杯歩んできた軌跡も、言わばこれで正式に”過去のもの”となりました。文字通り、もうこれ以上はありません。
でも、最高の形で過去になってくれたおかげで、そのひとつひとつが本当に心から愛おしく、かけがえのない大切な思い出になりました。だからこそでしょうか、僕の中に未練(≠寂寥感)はなく、今はとてもすっきりしています。はっきりと「この気持ちを大切にしていけばいいんだ」と思えたから。思わせてくれたからです。
無論、ゴールの先にも道はあります。
終わりをきれいに作れるということは、始まりを目の前に置けるということ。これから先も『五等分の花嫁』から貰ったたくさんの気持ちを大事にしながら、僕らは自分たちの日常を歩き続けます。
そしてまたいつの日か。きっと世に出されるであろう春場ねぎ先生の次回作を読むことができたらいいなと願いつつ、最後の感想とさせていただきます。長い間、本当にお疲れ様でした!
【2022/05/21 追記】
映画公開に伴い、2年ぶりに感想を更新しましたので、こちらもよろしければ。
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。