咲-Saki- 210局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)
前回、4人聴牌のめくり合いを制し、親っパネで他校を突き放した阿知賀女子の玄ちゃん。
怒涛のドラ爆4連撃でラスからトップへ駆け上がり、なおも親番続行で優位に立っている彼女の大活躍。準決勝で死闘を演じたライバルたちはもちろんのこと、地元・奈良県吉野町で対局の観戦をしていた応援団のみんなも玄ちゃんの目覚ましい成長ぶりを目の当たりにし驚きと喜びの表情を浮かべていました。
そんな状況の中、
のどちゃんが長野に来る前
奈良にいた頃の友達の一人──
と玄ちゃんの存在に意識を向け、これまでの軌跡を回想していた優希。
叔母の結婚相手が外国の人で一般の日本家庭とは異なる文化の元で育ってきた自分。小さい頃からタコスが大好きでちょっと変わり者だった自分。
そんな自分に優しく接してくれた高遠原と清澄のみんな、そして特に一番仲良くしてくれた和に対する想いが今、様々な感謝となって優希の胸に去来する。
和との繋がりをくれた"麻雀"とそのきっかけとなった阿知賀女子への感謝。
出会いと別れ、再会と絆が織り成すこの決勝という大舞台で、巡り廻る因果を今一度再認識することとなった優希が果たしてどんな奇跡を掴むのか。依然として場は、大トップの玄ちゃんの親番からスタートです。
<前回の感想>
第210局「渾身」
〇南2局 2本場 親:松実玄 ドラ:不明
玄ちゃんの四連続和了で迎えた、南2局2本場。
気合いを入れ直し、前局から強者たちに挑みかかる姿勢を取り戻しつつあった優希の配牌は、
ツモ
通常手で3向聴、七対子で2向聴のこの形。
しかし、優希から溢れる「闘志」の煌めきに牌が応えてくれたのか、ここからの順に連続で有効牌を引き入れ、4巡目にして「ツモり四暗刻」の一向聴までたどり着くことに。
これで残るはのうちのいずれか2牌のみとなり、巡目としても絶好のチャンスに思えるこの状況。そんな流れの中で片岡優希が選んだのは、
まさかの「四暗刻」にこだわらないスピード重視のポン!
弱気を捨て、確実に和了りきる意志があるからこそ迷わず選べた鳴き仕掛け。仲間のため、友のため、そして自分のため──。
決して諦めない強い意志が今、実力差を越えたツモをこの土壇場で引き寄せる。
ツモ!!3200・6200!!
役満の可能性を見切り、をポンしてこそのツモ。
部長の言う通り、優希の見せた今回の闘牌が、結果として「和了れない四暗刻」ではなく「和了れる混老対々三暗刻」を掴んだという構図になっている点も最高に味わい深い描写でした。
待ち:単騎
待ち:の両面
待ち:の両面
席順(優希 ⇒ 玄ちゃん ⇒ ガイトさん ⇒ 照)の関係から、もし優希がガイトさんのを喰い取っていなかったなら、を引き入れて和了っていたのはガイトさんであり、優希はこの局跳満を和了ることができなかった。
一つ一つの選択が「活路」になり、同時に「死路」にも繋がっている。ツモの良さだけに頼らず、自らの選択で一矢を報いてみせた優希の闘牌。果たして「残る2局」でも通用するのか。いよいよ次回、南3局の開幕です!
残るガイトさんと照の親番
さて。最後に現在の点数状況とここまでの戦況について簡単におさらいを。
〇現在の点数状況(後半戦南2局2本番終了時点)
1位 阿知賀女子 :125300点
2位 清澄 :109200点
3位 白糸台 : 88000点
4位 臨海女子 : 77500点
一時はマイナスに転落した清澄でしたが今局の和了りで再びプラスに浮上し、トップ阿知賀女子との点差を16100点まで詰める形になりました。
しかし、このまま「新参二校」に好き勝手やらせて終わるような相手でないことは火を見るよりも明らかで。
ゆえに、成長を遂げた「玄ちゃんと優希」の前に、それでもなお高く聳え立つ壁として、きっと「残る2局」の中でガイトさんと照がその強さを示す展開となっていくのでしょう。
準決勝の第一試合がまさしくそうであったように、誰かがラス親・宮永照の連荘を止めなくてはならない。三校が協力体制を取って何とか食い止めるのか、あるいは、照の予想を超える大きな一撃が再び繰り出されるのか。
譲れない意志が交錯する決勝先鋒戦、ここからどんなドラマが待ち受けているのか最後の最後まで確りと見届けていきたいと思います。次回は12/6発売号で掲載予定。