『咲-Saki-』第210局「渾身」感想
咲-Saki- 210局(以下、咲-Saki-本編最新話感想のため未読の方はネタバレ注意)
前回、4人聴牌のめくり合いを制し、親っパネで他校を突き放した阿知賀女子の玄ちゃん。
怒涛のドラ爆4連撃でラスからトップへ駆け上がり、なおも親番続行で優位に立っている彼女の大活躍。準決勝で死闘を演じたライバルたちはもちろんのこと、地元・奈良県吉野町で対局の観戦をしていた応援団のみんなも玄ちゃんの目覚ましい成長ぶりを目の当たりにし驚きと喜びの表情を浮かべていました。
そんな状況の中、
のどちゃんが長野に来る前
奈良にいた頃の友達の一人──
と玄ちゃんの存在に意識を向け、これまでの軌跡を回想していた優希。
叔母の結婚相手が外国の人で一般の日本家庭とは異なる文化の元で育ってきた自分。小さい頃からタコスが大好きでちょっと変わり者だった自分。
そんな自分に優しく接してくれた高遠原と清澄のみんな、そして特に一番仲良くしてくれた和に対する想いが今、様々な感謝となって優希の胸に去来する。
和との繋がりをくれた"麻雀"とそのきっかけとなった阿知賀女子への感謝。
出会いと別れ、再会と絆が織り成すこの決勝という大舞台で、巡り廻る因果を今一度再認識することとなった優希が果たしてどんな奇跡を掴むのか。依然として場は、大トップの玄ちゃんの親番からスタートです。
<前回の感想>
第210局「渾身」
〇南2局 2本場 親:松実玄 ドラ:不明
玄ちゃんの四連続和了で迎えた、南2局2本場。
気合いを入れ直し、前局から強者たちに挑みかかる姿勢を取り戻しつつあった優希の配牌は、
ツモ
通常手で3向聴、七対子で2向聴のこの形。
しかし、優希から溢れる「闘志」の煌めきに牌が応えてくれたのか、ここからの順に連続で有効牌を引き入れ、4巡目にして「ツモり四暗刻」の一向聴までたどり着くことに。
これで残るはのうちのいずれか2牌のみとなり、巡目としても絶好のチャンスに思えるこの状況。そんな流れの中で片岡優希が選んだのは、
まさかの「四暗刻」にこだわらないスピード重視のポン!
弱気を捨て、確実に和了りきる意志があるからこそ迷わず選べた鳴き仕掛け。仲間のため、友のため、そして自分のため──。
決して諦めない強い意志が今、実力差を越えたツモをこの土壇場で引き寄せる。
ツモ!!3200・6200!!
役満の可能性を見切り、をポンしてこそのツモ。
部長の言う通り、優希の見せた今回の闘牌が、結果として「和了れない四暗刻」ではなく「和了れる混老対々三暗刻」を掴んだという構図になっている点も最高に味わい深い描写でした。
待ち:単騎
待ち:の両面
待ち:の両面
席順(優希 ⇒ 玄ちゃん ⇒ ガイトさん ⇒ 照)の関係から、もし優希がガイトさんのを喰い取っていなかったなら、を引き入れて和了っていたのはガイトさんであり、優希はこの局跳満を和了ることができなかった。
一つ一つの選択が「活路」になり、同時に「死路」にも繋がっている。ツモの良さだけに頼らず、自らの選択で一矢を報いてみせた優希の闘牌。果たして「残る2局」でも通用するのか。いよいよ次回、南3局の開幕です!
残るガイトさんと照の親番
さて。最後に現在の点数状況とここまでの戦況について簡単におさらいを。
〇現在の点数状況(後半戦南2局2本番終了時点)
1位 阿知賀女子 :125300点
2位 清澄 :109200点
3位 白糸台 : 88000点
4位 臨海女子 : 77500点
一時はマイナスに転落した清澄でしたが今局の和了りで再びプラスに浮上し、トップ阿知賀女子との点差を16100点まで詰める形になりました。
しかし、このまま「新参二校」に好き勝手やらせて終わるような相手でないことは火を見るよりも明らかで。
ゆえに、成長を遂げた「玄ちゃんと優希」の前に、それでもなお高く聳え立つ壁として、きっと「残る2局」の中でガイトさんと照がその強さを示す展開となっていくのでしょう。
準決勝の第一試合がまさしくそうであったように、誰かがラス親・宮永照の連荘を止めなくてはならない。三校が協力体制を取って何とか食い止めるのか、あるいは、照の予想を超える大きな一撃が再び繰り出されるのか。
譲れない意志が交錯する決勝先鋒戦、ここからどんなドラマが待ち受けているのか最後の最後まで確りと見届けていきたいと思います。次回は12/6発売号で掲載予定。
『五等分の花嫁』110話 感想:信じられた「夢」と風太郎との関係!五月の抱く「信頼」は「恋心」へと変わるのか...!?
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
長らく続いてきた「最後の祭りが○○の場合」シリーズもいよいよ大詰め、今回のお話はおそらく個別回最後の一人(風太郎の場合があるかどうかは現状不明ですが)であると思われる五月回の後編です。
ここまでの学園祭編においては、各ヒロインたちが自身の抱える問題を風太郎と関わりながら乗り越えていき、その果てに自分の気持ちを表現する手法として、ヒロインたちから風太郎に「キス」がなされる、という展開が描かれてきました。
ゆえに、ラストバッターの五月もまたここにきてようやく打席に立つのかもしれない。そんな、仄かな期待と様々な推測がここ数週に渡って繰り返し飛び交ってきたわけですが、果たしてその結果はどうだったのか。ラブコメらしく、風太郎との関係性も考えながら見ていきたいと思います。
<関連記事>
第110話:最後の祭りが五月の場合②
さて。そんなわけで今回は五月回の後編です。
前回、突然五月の前に姿を現し、「呪い」だのなんだのと否定的な言葉を並べた挙句に「つまり私は...君のお父さんだ」と衝撃のカミングアウトまでかましてきた実父の無堂さん。
その言動の数々からはどことなく「身勝手」で「乱暴」な価値観が見え隠れしており、「礼節」を重んじるタイプの中野マルオさんとは、どこまでも対照的なお父さん像がそこには提示されていました。
そして、今週の五月と無堂さんの会話により、「お腹にいる子供が五つ子だとわかった途端に行方をくらました」最低最悪の父親であったことが判明した模様で。
なるほど....。
これが仮に真実だとすれば、事情の有無に関わらず常識的・倫理的に考えて「鬼畜の所業」と言わざるを得ないかと思いますが、そんな情けない父親である無堂さんが、
罪滅ぼしをさせてほしい
今からでも父親として娘にできることをしたい
と語り、過去の自分の行為に対して「後悔」があると主張している点は、正直とても引っ掛かるものがありますよね。
ならどうして「五月だけ」にこだわっているのかと。父親として無責任なことをしてしまったと嘆くのであれば、当然「五人全員」に対してきちんと謝罪をするべきでしょう。その時点で彼の行動は道理に合っていない。
ゆえに、無堂さんがどれだけ最もらしい言葉を並べ立てようとも、読者からすれば「何か別の思惑」があってこんなパフォーマンスをしているのではないかと思えてなりません。
五月の「進路」について心配をしている。それが仮に真実であろうとなかろうと、まず「父親」として果たさなくてはならない行動がもっと他にあるはずです。「父親として到底見過ごすことができない」「君たちへの"愛"が僕を突き動かした」などと言われても、あまりにも説得力が薄く一方的な言葉としか映らないのは、ひとえにそんな彼の非常識さ・不誠実さが強調されているからなのかなと思う次第でありました。
父親としての「愛」
その証拠に、そんな自らの「不誠実さ」を棚に上げて、「やはり血の繋がりが親子には必要不可欠」と宣い、いきなり養父マルオさんのことをディスり始める始末ですからね....。
お母さんが死んだ時 彼が君に何をしてくれた?
という無堂さんの台詞。
もはや、そっくりそのままブーメランを飛ばされでもしたら「こうかはばつぐんだ」で一発KOレベルの発言でしょう。
ずっと実の子供を放ったらかしにしてきた身分で、自分の代わりに五つ子たちを(不器用な関係性の中ではあっても)見守り不自由ない生活を保証してくれていたマルオのことを「父親として不合格」と評する。どちらが「父親として」、いえ「人として」不適格な存在なのか一目瞭然です。
零奈さんが無堂との結婚に「後悔」を抱きながらも、マルオに惹かれ大切な五つ子たちを託した理由。その意味を考えれば、マルオがいかに「誠実」で「信頼」に足る人物であるのかわかるというものなのですから。
男の人はもっと 見極めて選ばないといけません
と実感を込めて語っていた零奈さんが、中野マルオを「特別な男の人」として選んだこと。
それは、たとえ不器用ではあっても、彼が確りと「愛」を示してくれる人だったからではないか。空虚で口任せな「愛」を騙り、無責任な言動と行動を繰り返す無堂さんとは真逆な人だったからではないか。
無堂さんとマルオの人物像の対比からは、そのような推察が成り立つのかなと個人的には思いました。
中野五月が信じる道
そして、そんな背景の中でもう一つ大きなポイントとなるのが、五月の背中を押す風太郎の姿から「誠実さ」や「愛」がひしひしと伝わってきた事ですよね。
あなたは私のようには
絶対にならないでください
というお母さんの言葉を思い出して自分の道を見失いかけていた五月。
先週の感想でも書いた通り、零奈さんの言う後悔とは「教師になったこと」ではなく「無堂さんと結婚をしたこと」を指していると思われるので、その観点において「私のようにならないで」=「教師を目指さないで」にはならなさそうですが、しかしいずれにせよ今この状況で何よりも一番大切なことは、「五月自身が一体何を望んでいるのか」、この一点でした。
憧れのお母さんのようになりたい。それもまた立派に「五月の気持ち」です。役割としての母親代わりを目指すのではなく、誰よりも憧れ自分もああなりたいと思うからこそ、母の背中を追い掛ける。
それは、風太郎が熱弁している通り「絶対に間違いじゃない」はずです。
そもそも「自分の夢」である以上「他人」から何を言われようが元より関係などないわけですから。進むも諦めるも自分次第。そう思えることが重要で、そんな揺るがない心の持ち方を指して、人は『信念』という言葉を使うのかもしれません。
その道が正しくても、間違っていても。それを決めるのはいつだって自分で、だからこそ自身の想いを信じ抜く。なりたい自分と進みたい道。ずっと抱えてきた色んな葛藤に整理をつけ、改めて五月はその胸の内にある「夢」を大きな声で宣言する。
そんな彼女の想いに触れ、
生徒が願うなら家庭教師の俺にできることは一つだけ
全力でサポートする それだけだ
と語る風太郎がまた物語の主人公としても一人の男としても最高にカッコ良く見えて本当に素晴らしかったなと。
五月の「夢」を呪いと言い切って否定した特別講師の無堂さんに対し、五月の「夢」にきちんと寄り添い全力でサポートすることを誓った家庭教師の風太郎。
そんな異なる教師たちとのやり取りを経て、
初めて出会った時に語られたその言葉が再び五月からもたらされる。
朱に染まった五月の表情も「勿論だ」と返す風太郎の想いも。どちらも1年前にはなく、改めてこのような形で仕切り直しが描かれたこと。まさに集大成と呼ぶに相応しい見事なストーリー展開だったと思います。
風太郎の進路と恋の行方について
一方、今回個人的にとても気になったのが風太郎がさらっと言い放った以下の発言。
マジで大変だったぜ 俺はもうこりごりだ
教師なんて絶対になるもんじゃない
この台詞をそのままに解釈すると、少なくとも現段階において風太郎の目指している進路が「教師」ではないと読めます。
全国模試で一桁順位を取れるレベルの学力があればそれこそ自分の気持ち一つで色々な進路を模索できるでしょうに、高3の10月まで物語が進んできた今でもなお、風太郎の「やりたいこと」に関する言及が作中では全くなされていないという現実。
家庭教師としての風太郎の魅力が再提示されていたとはいえ、他ならぬ風太郎自身が「教師なんて絶対になるもんじゃない」と言っている以上おそらく教師エンドではないのでしょうし、一体風太郎の「やりたいこと」とは何なのか。
風太郎の進路を不明瞭にしたままお話が展開されている理由も気になりますし、恋愛エピソードに交えてこのあたりを春場先生がどのように描いてくれるのか、より一層注目していきたいなと思う次第でした。
もう一つ。
今回「夢」に対する気持ちを再定義することになった五月さんでしたが、その実、姉4人とは異なり「キスの描写」がありませんでした。
まぁ、現状の五月が風太郎にキスをする必然性は薄く、同様に風太郎が五月にキスをする妥当性もなかったわけですが、それでも「五月だけ」がキスをしていないというこの状況は、否が応でも特別感を感じてしまうものではないでしょうか。
これから描かれる予定なのか、あるいはもう既にキスをしているということなのか。有体に言って、そんな二択であっても全く不思議はありません。
しかも今回の「五月の場合②」でエピソードは完全解決に至らず、おそらく「五つ子たち全員」で無堂さんに対峙するのだろうと思われるこの展開。
順当に考えて、5人が主体となって無堂さんを退け、現在の養父であるマルオも含めて今一度「家族」としての繋がりが取りあげられていくのでしょうけれど、その後に控えているのが「キャンプファイヤー」と「風太郎からの告白」のツーセットですからね。
・五月の「信頼」が「恋心」に変わるのか
・風太郎の「進路」はどうなるのか
の2点が描写されぬまま「恋愛の結末」が開示されるとは思えませんが、「誰も選ばない」という結論を語るのみで幕引きということもありえないでしょうから、全体視点で三日目に突入していくであろう次週以降の展開は本当に期待大だなと。
実父問題の完全決着、五月からのキス、そして...風太郎の気持ち。学園祭編でどこまで描かれるのか。期待値500%でここから先の物語を楽しみに待ちたいと思います!
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。
『ぼくたちは勉強ができない』135話 感想:理珠ちんと真冬先生の節分バトル開幕!
ぼく勉 問135 感想「時に彼らは鬼のいる間に[x]を選択する」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『ぼく勉』を読了。
ついに成幸くんたちの高校生活も終盤の2月に突入し、今回は節分回です。季節の行事をきちんと描いていく方針を取るのなら、やはりラブコメ最大級の聖なるイベント『バレンタインデー』も描かれるとみて間違いなさそうでしょうか。
残りの主要なイベントとしては、
◆2月
バレンタインデー、受験本番
◆3月
卒業式、ホワイトデー、うるかの留学(予定)
あたりが考えられそうですが、果たしてここからどのように物語が動いていくのか。
留学イベントを残している「うるか」、積極的な駆け引きでアプローチを図る「理珠ちん」、そして様々な葛藤を秘めている「文乃さん」。エンドロール間近の三人の気持ちに注目をしつつ、今週も物語を振り返っていきたいと思います。
<関連記事>
<※アニメ情報>
「第9話 :最愛の星に[x]の名を(前編)」と「第10話:最愛の星に[x]の名を(後編)」の二部構成で文乃さん長編がアニメ化されるみたいですね。原作屈指の神回がどうアニメで再現されるのかも要チェックです!
ぼく勉 135話:時に彼らは鬼のいる間に[x]を選択する
さて。そんなわけで今週は「節分」をテーマにしたお話です。
お祖母ちゃんの手作り衣装を寝かせておくのもしのびない...という理由で鬼のコスプレを披露してくれた理珠ちん。
いいねいいいね!コスプレいいね!と思いきや、勉強疲れで眠そうにしている成幸くんの様子を見て水を得た魚のように「甘やかしてあげます」と五円玉を取り出し始める少女の姿がそこにはありました。
なるほど.....。
いや、一応申しておきますと、こういう強引さ、僕は嫌いじゃないですよ!いいと思います!正直ロジックは全く感じませんが、まぁコメディですからね。これくらいのお遊びは許容内。「かわいければなんでも許される」という先人たちの名言が思い出されます。
そんな「理珠ちん&成幸くん」のイチャイチャ珍事件が勃発している中で普通にうどんを食べに「緒方うどん」にやってきた真冬先生。当然何も起きないはずもなく.....。
愚問
私が君に甘えるのは当然でしょう?
などとお可愛い供述を繰り返しながら、勝手に催眠術にかかって成幸くんに甘え始めるのであった。
ふむふむ。
今週のお話、さてはかなりヤバいな...。凄まじい狂気!「お酒」に弱いだけでなく、「暗示」にもかかりやすいとは流石です。理珠ちん回かと思わせて、全てを持っていく女教師・桐須真冬。読者的には2人のコスプレが見れて眼福ではあるものの、女として当然ここは引くわけにもいかず....、
すみません成幸さん...
私も甘えてしまっていいですか...?
と「嫉妬心」メラメラに甘え始める理珠ちんが最後にお可愛かったなと。真冬先生の鬼のコスプレも大変似合っていて、とてもセクシーだなと思いました。
桐須真冬と緒方理珠の交流
さて。そんな経緯で開幕した「理珠ちんvs真冬先生」による鬼のコスプレ大会。
位置づけとしては、問130で描かれた「文乃さんvs真冬先生」のカレー作り回を意識した展開と言えるでしょうか。和解を果たした後の日常的な交流を描き、彼女たちの間に存在していた精神的遠慮を「1対1の構図」を用いて取り除いていく。
お互いの本質を認め合い「感謝の気持ち」と「再びの訪問」を言葉にし合った真冬先生と理珠ちん。
元々、真冬先生が「緒方うどん」にやってきたところからして「歩み寄り」が感じられるシーンだったわけですし、今回の2人の様子はもう立派に「生徒」と「先生」の関係と言って差し支えないものだったと思います。
ハチャメチャなコメディ劇場を繰り返しながらも、同じ日は一度として存在せず、常に今日は新しい。過ぎ去った季節と、これから来る新しい季節。
そんな、たった一つの「グランドルート(=春)」に向かって彼女たちがどのような旋風を巻き起こしてくれるのか。恋愛の駆け引きを会得した緒方理珠さんの活躍に期待しております。
.....というわけで今回の感想をまとめると、
ついにくるのか"神回"が...!
次号、成幸に対する文乃の気持ちに変化が現れて...!?
!!!!!?????
次回予告から漂ってくるオーラがヤバ過ぎる...!!ってことですよ。ついにきたということになるのですかね、我々文乃さんスキーたちが年単位で待ちわびていた完全無欠の"神回"が!
「文乃さんが動けばヒロインレースが動く」とまで言われていた『ぼく勉』ラブコメワールド。ついに真打ちの輝きを見る時が来たのかもしれません。"変化"とは「今までと同じではない」という意味を持った言葉なわけですから。
そんなわけで、やったね!文乃さん大勝利!な展開を渇望しつつ、来週の月曜日を心から楽しみにしております!
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。
『冴えない彼女の育てかた Fine』感想考察(第2回):世界で一番大切な、私のものじゃない君へ
『冴えカノFine』 感想考察 ネタバレ注意
劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』の公開から早くも2週間(現在第3週目に突入しております)が経ちました。
何度か視聴を繰り返すうちに新しく感じたこともありますので、前回の「加藤さん」成分多めな全体感想に引き続き、今回は違う観点から倫也と3人のヒロインたちに対する考察を書いていきたいと思います。
以下、映画本編(+原作小説)の内容に触れておりますので、ネタバレに関しては予めご了承ください。
『冴えない彼女の育てかた Fine』感想考察(第2回)
<感想記事(第1回)>
※宜しければ上記エントリ(メイン感想)も合わせてご参照いただければ幸いです。
霞ヶ丘詩羽の「弱さ」と「強さ」
一つ年上の「先輩ヒロイン」である霞ヶ丘詩羽は、「弱さ」と「強さ」を兼ね備えた女の子として描かれてきました。
映画においては「倫也たちの関係」を一つ高い地点から眺める役回り(=「辛い役回り」)を担っていた彼女ですが、その実、ここまでの物語の中で彼女の「恋愛にまつわるエピソード」は既に二回ほど描かれています。
◇一度目の失恋
詩羽先輩のデビュー作である『恋するメトロノーム』、この作品のヒロインである沙由香(さゆか)は、人付き合いが苦手で経験も不足していた詩羽先輩が自分自身をモチーフにすることで生み出したキャラクターでした。
しかし、第2巻から登場するヒロインの真唯(まゆい)の方が読者からの人気が高く、最終的にどちらのヒロインエンドで完結させるべきかに悩んだ詩羽先輩は、主人公が沙由香(=当然これは自分自身のモチーフです)を選ぶ結末を用意して、その初稿を発売に先駆けて倫也に見せようとします。
当然「個人的なラブレター」のつもりで書いた詩羽先輩からすれば、『発売日に買う霞詩子のファン』としてではなく、『個人としての安芸倫也』にその結末に対する意見を貰いたかったわけですが、そんな乙女心など知る由もない一方の倫也は『ファンとして』読むことを拒絶。
結果、『恋するメトロノーム』の最終巻は主人公と真唯が結ばれる結末に書き変えられ、詩羽先輩の気持ちは倫也に伝わることもなく、彼女は「一度目の失恋」を経験することになりました...。(※「倫理」という呼び名は、この時の「倫也の選択」に対する皮肉的意味合いも込められています。)
◇二度目の失恋
その後、倫也たちのサークルが手掛けた同人ゲーム――『cherry blessing』のシナリオライターを務めることになった彼女。
ここでも詩羽先輩は、加藤さんをモチーフとしたメインヒロインの『叶巡璃(かのう めぐり)』ルートとは別に、『恋するメトロノーム』の沙由香と同様に自身をモチーフとした『丙瑠璃(ひのえ るり)』ルート(第二稿)を提示し、どちらをメインのルートに据えるのか、その選択を倫也に迫ります。
しかし、当の倫也はなおも彼女の「真意(=告白)」に気付くことができず、全く違った解釈で彼女の提案にリテイクを出し、全員が幸せに成る完全無欠ご都合主義な「第三のルート」を提示。
そして、この二度の「失恋」を経た後、詩羽先輩は『フィールズ・クロニクルXIII』のシナリオ担当として声が掛かり、「クリエイター」として倫也の元を離れる決断をすることになりました.....。
こうして振り返ってみても分かる通り、詩羽先輩と倫也の間柄が、『作家とそのファン』・『クリエイターとディレクター』という関係値の中で描かれてきたことが読み取れます。
遠まわしに「霞ヶ丘詩羽からの告白」を作品の中に込めようとも、倫也はそれを『霞詩子の作品』としてしか捉えていない。これは倫也が彼女の事を尊敬するクリエイターとして見上げていることの証左でした。
『霞詩子』に特別な感情を抱き、こだわり、固執するからこそ、倫也は『霞ヶ丘詩羽』を恋愛的に選ぶことができない。
それでも、遠まわしな表現しかできずに気持ちを伝えきれなかった先輩がその想いを倫也に伝えていく様子が原作では描かれており、今回の映画においても
彼は間違いなく わたしたちに恋をしていた
と力強く語り、泣きじゃくる英梨々を支えている。それは、彼女がきちんと「失恋」を乗り越えて、確かな「強さ」を手に入れていったことの証と言えるのではないかなと個人的にはそんな印象を抱いた次第でした。
澤村・スペンサー・英梨々の「選択」と「成長」
倫也の大切な『幼なじみ』であり、原作小説1巻の表紙を飾ってもいる英梨々は、『普通のメインヒロイン』である加藤さんの対比的立ち位置にいるヒロインとして描かれてきました。
倫也自身が「あの頃の俺には英梨々だけだった」と述べていたように、倫也にとって彼女は間違いなく『初恋の女の子』。英梨々が倫也のメインヒロインになるルートも確かに存在していたと言われているのは、ひとえにこの『初恋』という要素が大きな理由となっていることでしょう。
しかし、幼き日の蟠りを解消し恙なく幼なじみルートを歩んでいたようにも見えた2人の関係に決定的な障害が生まれてしまいます。
あたし、倫也がそばにいると描けない…
倫也もあたしに描かせることができない…サークルにいたままじゃ、今より前に進めない
倫也が求めてる凄いイラストレーターに、なれないよおぉ...
という残酷な事実を、最強のクリエイター・紅坂朱音との出会いを通じて痛感してしまった英梨々。
クリエイターとしての柏木エリか、幼なじみとしての澤村・スペンサー・英梨々か。どちらの生き方も選択出来たなかで、彼女の気持ちが指し示したルートは「倫也にとっての一番のイラストレーターになる」道でした。
「分岐点」という意味では、この選択こそが彼女の存在を「初恋相手である幼なじみ」(那須高原に英梨々を迎えに行った時の倫也は英梨々のことを一人の女の子として認識していたと思われます)から「前を走るクリエイター」に変えていったと言えそうですが、最終的に英梨々の「成長」を表現する重要なポイントは、「倫也がいても描けるようになったこと」。これに尽きるんですよね。
自分の気持ちに区切りをつけたことで、クリエイターとしての『柏木エリ』と幼なじみとしての『澤村・スペンサー・英梨々』に乖離がなくなった。だからこそ、倫也が側にいても彼女はきちんと描くことができる。恋に敗れても彼女はクリエイターとして『成長』し、永遠に倫也の『特別(=一番のイラストレーター)』で在り続けることができる。
10年前、あたしのこと、好きだった~?
という台詞と共に精一杯の笑顔が向けられたあの一幕は、『過去』を『過去』としてけじめをつけた彼女の「成長」の表れであり、『隣を歩く幼なじみ』としてではなく、『前を走り続けるクリエイター』になる覚悟を決めたことの象徴でもある。
だからこそ、今回の映画最大級の泣き所でありながら、これ以上ない最高の幕引きであると沢山の人が感じたのではないか。個人的にはそのように解釈をしております。
「普通」だからこそ「理想的な」加藤恵の魅力
『普通の女の子』であったがゆえに、安芸倫也のメインヒロインたりえた加藤恵。
正直、彼女に関しては前回の感想記事で色々と書き切っているのであまり補足することもないのですが、彼女の心情を追っていくにあたって重要なポイントとなるのはやはり、
加藤ちゃんとトモには『ドラマ』がないんだよ
という美智留の台詞をきっかけに、彼女の想いが溢れていくところですよね。
『幼なじみ』である英梨々、『崇拝する作家』である詩羽、『従姉妹』という生まれながらの特別選手である美智留。倫也の周りにいるヒロインたちは、全員が全員、彼と特別な『ドラマ』を背景に持った女の子たちでした。
でも、加藤さんにはそれがない。特別な技能に秀でているわけでもなく、ただ坂道で偶然出会って『メインヒロイン』役に抜擢されただけの自分。そこに彼女の葛藤と悔しさがあったわけです。
倫也くんは....私のだよ...
と語りながら涙を流す彼女の姿はまさにその象徴で。
だからこそ、今回の最終章で描かれていた『転』のパートが彼と彼女を『特別』な間柄へと押し上げる『ドラマ』として描かれ、一度すれ違って離れ離れになることで、お互いがお互いの気持ちを自覚していく。
安芸倫也は、同じ歩幅で一緒に歩いて行けるヒロインとして『普通の女の子である加藤恵』に惹かれました。
二次元にある理想ではなく、現実の中にある自分だけの理想を加藤恵というヒロインの存在に見出すことができたから。背伸びせずに自分を曝け出せる女の子が彼女だけだったから。そういう意味で、倫也が加藤さんを『パートナー』(=『ライバル』との対義語)』として選んだことには"必然性"があったと言えるでしょう。
一方の加藤さんはそんな倫也の気持ちに『合格だよ』と告げ、『普通』であったがゆえに倫也の『一番大事な人』になれた自分を受け容れました。
『普通』だから恵を好きになったという倫也の告白が、(一見して根拠薄弱に見えても)彼女にとってはこれ以上ないくらいベストな回答だったから。『普通』であることに葛藤を抱いていた自分に、『普通だから』好きなんだという想いを打ち明けてくれたから。
この観点において、2人の想い・望んでいるものが運命的なレベルで一致していることがわかります。だからこそ、彼と彼女は一緒に歩いて行ける。「ないもの同士」手を取り合いながら、天才クリエイターたちの背中を追いかけてあの坂道をのぼっていける。
始まりの坂道を駆け上がりながら
「あなただけのメインヒロインになれたかな?」
と笑顔で振り返る彼女の姿には、そういった未来に対する『誓い』や『覚悟』が表現されていたのかもしれない。あそこでエンドロールが流れる神演出も鳥肌ものでしたし、最高の結末を最高の形で映画化してくださったことについて、加藤さん派として今一度感謝の言葉を書き残しておきたいと思います。
最高の結末を本当にありがとうございました。
まとめ:「クリエイター」としての倫也の成長
さて。恋愛パートについて色々と書いてきましたが、最後に少しだけ余談的に「クリエイター・ディレクター」としての倫也の成長について個人的な所見を。
今回、英梨々と詩羽先輩の「夢」を守るために紅坂朱音の代役を引き受けることになった倫也ですが、ここで重要なポイントとなるのが、
『情熱では"会社"は動かない。
でも、情熱がないと"人"は動かない』
という視点を町田さんから教わっていたことです。
当たり前なお話、情熱だけで突っ走ることのできる『同人作品』(=アマチュア)とたくさんの人が協賛して利益を生み出さなければならない『商業作品』(=プロ)とでは、その性質が全く異なりますよね。
~ディレクターとしての在り方~
①圧倒的な実績を盾に自分の『情熱』を行使した紅坂朱音
②予算や納期などの状況から『冷静』な判断ができる伊織と町田さん
③『情熱』を最強の武器にひたすら理想を追い求めてきた倫也
これまでの倫也は基本的に③のアマチュア的スタンスで作品作りをしてきました。そんな彼が、譲れない『情熱』を確り胸に据えたまま、②の視点(=これは英梨々の台詞「あんた、波島の影響受けてるわよね」に繋がります)を取り入れてプロの現場を体験する。
これは、たとえ代役であろうとも、「クリエイター」として、そして「プロ」としての第一歩です。ゆえに、恋物語において『転』のパートを担ったその選択は、安芸倫也の成長と未来の『blessing software』の成功に繋がっていく分岐点でもあったのかもしれません。
選択が選択を呼び、どこまでも「夢」と「恋」の両軸を有機的に描き切ってくれた名作ラブコメとしての『冴えカノ』。最後の最後まで映画館のスクリーンで楽しみ尽くしたいと思います。
※本記事にて掲載されている情報媒体は「丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/映画も冴えない製作委員会」より引用しております。
『五等分の花嫁』109話 感想:実父の登場と中野五月が選ぶ道!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』は巻頭カラーです。
扉絵を飾っているのは、仲良くみんなで添い寝をしている五つ子たち。一花さんと五月が手を繋いでいるところに尊さを感じる一枚絵ですが、「いつだって いつまでだって 五人は仲良し ずっと一緒」というフレーズが何とも胸に沁みますね。
別々の進路に向かっていく彼女たちが「ずっと一緒」に居続ける事はこれからどんどん難しくなっていくけれど、それでも心は繋がっているし、辛くなった時には手を繋ぎ合える。そういう意味での「ずっと一緒」をこの五人なら「いつだって いつまでだって」分かち合っていける。今回のカラーイラストからは、そんなメッセージが汲み取れるのかもしれません。
3日目後夜祭終了時点の様子(扉絵まとめ)
一花さん :教室のベランダ
二乃 :3年1組の教室内
三玖 :校舎内の廊下
四葉ちゃん:校舎外の広場
五月 :教室内で着席
五つ子たちにとって「集大成」とも言える学園祭シリーズもついに最後の一人「五月」編まで到達してしまいましたし、ここから先、きっともうそれほど遠くはないであろう物語の結末に向かって風太郎たちがどんな未来を選択をしていくのか。
そして、未だ恋心の発露を見せていないヒロイン「中野五月」にとって、主人公「上杉風太郎」とはどういう存在なのか。今回はそういった点を踏まえながら五月の物語を振り返っていきたいと思います。
<関連記事>
第109話:最後の祭りが五月の場合①
さて。そんなわけでついに五月回です。
第107話の感想でも既に書いた通り、ここまでの「学園祭個別エピソード」では、
①自分の気持ちを偽ってきた一花さんが素直な気持ちを大切にするようになる
②「家庭教師なんていらない」と言っていた二乃が「フー君を家庭教師に選んでくれてありがと!」とマルオに語る
③自身の可能性を諦めていた三玖が自分に自信を持つことで迷いを振り払う
④過去の思い出に縛られてきた四葉ちゃんが過去にさよならを告げる
という着地点がそれぞれに設定され、4人とも「自分の気持ち」に向き合う事で自身の抱えていた問題を乗り越えていく姿が描かれていました。
ゆえに、五月もまた同様に「自身の抱える懸念事項」と向き合っていく事になるのだろうと思われるわけですが、ここで重要な論点として浮上してくるのはやはり「教師になりたいという夢」に対する五月自身の想いなんですよね。
周囲が学園祭を楽しんでいる中で独り勉強に明け暮れていた五月。
その様子は二乃も指摘している通り明らかに「意気込みすぎ...」ではあるのですが、しかしその頑張りは、夢に対する五月の強い想い ──私も誰かの支えになりたい──が源泉となって初めて成立するものです。
お母さんが「教師」だったから「教師」を目指したのではなく、自分の気持ちに従って決めた道。「夢を見つけ 目標を定めてから学ぶことが楽しくなったんです」と語るその「感情」は、決して零奈さんのものではなく、確かに「中野五月」の胸の中で芽生えたものでした。
でも...、それでも「迷い」が生じてしまうのは、そんな自身の想いに対して実際の成績が追いついてこなかったから。
一生懸命頑張っても目標に届かないその現状に焦りがあって...。だからこそ、自分の「選択」が本当に正しいものだったのかどうか自信が持てなくなる。序盤で描かれていた五月の心理状態としてはそういうものだったように思います。
実父・無堂さんの目的
一方、そんな悩める五月の前に突如現れた謎のおじさんこと実父の無堂さん。
第99話の時点でおおよその察しはついていましたしおそらく多くの方が予想していたことだろうとも思いますが、風太郎に道案内を依頼して食堂方面に向かって行ったこのおじさんこそが、以前から登場が仄めかされていた「特別講師の先生」にして「五つ子たちの実父」に当たる人物でした。
零奈さんの担任教師であり、元同僚であり、そして元夫でもあったその人。零奈さんと別れた後何をしていたのか、そもそもどうして別れることになったのか。そこらへんもまだよくわからない部分ですが、何にしてもこうして五月に自ら関わりを持とうとアクションを起こしてきていることからして、きっと無堂さんの中で「何らかの心残り」があったりするのでしょうね。
君は若い頃のお母さんそっくりだ
ああ歪なほどね
という台詞のままに、五月の姿にかつての零奈さんの面影を見出していた無堂さん。
その表情はあまりにも尋常ではありませんし、五月が教師を目指すことに対して強く否定的なスタンスを取っている点も気になります。
零奈さんが自分に憧れて教師の道を選び、その果てに「後悔」を味わったこと。不適格な夢を追い掛けて、破滅の道をたどったこと。そんなかつての過ちを娘の五月が繰り返さないように...。純粋にそう思っての行動なのか。あるいは何か別の思惑があるのか。
正直、諸々の前提条件(勇也や下田さんが五月と無堂さんの接触を避けようとしていたことなど)から総合的に判断すると「後者」としか思えないわけですが、それでも無堂さんには無堂さんなりの「後悔」があったとしてもそれはそれでおかしくはないのかもしれませんね。
五月に固執しているように見えるのも零奈さんに対して思うところがあることの裏付けになっているのでしょうし。ここら辺、次週の後半パートでどのように描写がなされていくのか、俄然注目したいところです。
零奈さんの後悔と中野五月のやりたいこと
さて。そんなこんなで「実父の登場」を伴う形でお話が展開されていた今週の五月回ですが、個人的にちょっと気になった点がいくつか。
まず一つ目は、零奈さんが「教師の道」を選んだことに対して後悔を抱いていた点。
正直なお話、これは個人的に結構予想外でした。下田さん視点からの評価とはいえ、第57話で描かれていた「教師」としての零奈さんは、
まさに鬼教師
だがその中にも先生の『信念』みたいなもんを感じて
いつしか見た目以上に惚れちまってた
と言わしめる人だったわけですから。
『信念』とはブレない心の在り方を指す言葉であり、同時に強さの象徴でもある。そんな零奈さんが実は「教師」になったことを後悔していただなんて事があるのかと。「私の人生...間違いばかりでした」という台詞を本当に額面通りそのままに受け取って良いものなのかと。事実関係はともかく、そんな印象は拭えませんでした。
もう一つ。
今週のお話において、無堂さんは五月が零奈さんの影を追って「教師」になろうとしているのだと思い込んでいるようですが、まぁこの言説はやはり本質的には違いますよね。
上の方でも書いた通り、五月が「教師の道」を志したのは、私も誰かの支えになりたいと思ったからであり、更に言えば「夢を見つけ 目標を定めてから学ぶことが楽しくなった」からです。それは他でもなく「中野五月」自身の想いであって、零奈さんへの憧れではありません。
さすが負けず嫌い やるじゃねーか
本気なんだな
と語る風太郎の認識通り、五月は「本気」で教師を目指そうとしている。目標に届かず壁にぶつかって『自信』を失いかけていても、『自分自身』の気持ちはちゃんとそこにある。
だからこそ、これまで引き摺り続けてきた「お母さんへの愛執」を今度こそちゃんとした形で彼女自身の「夢(=未来)」に昇華していけるのではないか。ようやく中野五月が中野五月として確かな一歩を踏みしめていけるのではないか。
亡き母への想いとようやく邂逅を果たせた実父への想い。
様々な感情が巡る中で五月がどのように『風太郎』と関わり「夢」と向き合っていくのか。次週描かれる後半パートを心から期待しております。
.....というわけで今回の感想をまとめると、
五月にとって上杉風太郎とは?
今回の個別回で五月が風太郎を恋愛的に意識することになるのかどうかに注目したい!ってことですよ。
残された物語の尺的にもそろそろ分水嶺と言える時期だろうと思いますし、母親代わりから卒業を果たすことで、風太郎を父親代わりとしてではなく、恋愛対象として認識することになるのか。
『キス』がどうなるのかも含めて最後の最後まで見逃せない学園祭編。来週の水曜日を座して待ちたいと思います!
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。