ぼく勉 問103 感想「その連接は時に彼女を[x]させるものである」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『ぼく勉』を読了。
なるほど。真冬先生の長編ストーリーが終わり、またしばらくは日常的なお話に戻るのかな...という気もしていましたが、中々にぶっこんできましたね。我々の業界には「お餅とヤキモチはやいてなんぼ」という言葉がありますけれども、よもやここまでとは...。今週の理珠ちんは、あまりにも可愛すぎる......!
もちろん、これまでのお話の中でも彼女が「嫉妬心(=モヤモヤ)」を見せたことはあります。そもそも理珠ちんは「人の心の機微を読むのが苦手」...というだけで、自身の感情表現に関してはとてもわかりやすい子でしたから。不思議ちゃんに見えるようで、すぐ顔に出る子。そこら辺の経緯は、問51でも描かれた通りです。”感情の理解”が苦手ゆえに、意識的に裏表を使い分ける器用さがこれまでの彼女にはなかったわけですね。
しかし、今週の彼女は明らかにそうではなかったでしょう。
自身の中に芽生えた「気持ち(=ヤキモチ)」を正しく認識し、感情とポーカーフェイスを裏表にすることによって、その場をやり過ごしている。そして、そんな自分に対して、「...ズルいですよね 私...」という心的葛藤を覚えている。
実に”人間らしい”ですよね。”機械仕掛けの親指姫”と呼ばれた彼女が見せる等身大の女の子らしさ。正直、恋愛方面のお話に限って言うと、”親友”である関城さんの存在は非常に立ち位置が難しいんじゃないかな...と感じていたのですが、こういう形で彼女の感情(=成長)を引き出す役割を担うことになる...というのはとても面白かったなと。
そういう意味でも、今週のお話はまさしく”ラブコメ”として非常に構成の巧いお話だったなと思います。(以下、最新話の感想になりますので、未読の方はお気をつけください。)
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というわけで、今週は理珠ちん&関城さん回。
15時間もの間効果が持続する「超強力な接着剤」を開発した化学部OGの関城さんでしたが、まさかまさか、”お約束のトラブル”が発生し、成幸くんと手がくっついてしまうことになりました。
まぁ、ここら辺の展開は王道ですよね。ラブコメにおける接着剤(ましてや15時間限定の効果)なんて、2人をくっつける以外に使い道がありませんし...。実にストレートな展開と言えます。
しかし、ここで手がくっついてしまう相手が、理珠ちんではなく、関城さんである...というのがやはり興味深い点でしょう。
順当にいけば、ここで接着するのは「成幸くん×理珠ちん」が鉄板だと考えるところですけれども、そこに変化球を加えることで、緒方理珠の成長ストーリーを作り上げている。関城さんのナイスバディが見れて一石二鳥...!というのも含めて、本当に構成の妙が光りますよね。
しかも、こういう展開が成立しうるのは、これまでに作り上げてきた”緒方理珠”大好き少女としての関城さんのキャラクター性があってこそですから。成幸くんと手を繋ぎながらシャワーを浴びることには無頓着なのに、理珠ちんが手を触れただけでドキドキしまくり...という徹底ぶり。
それでいて、唯我成幸という男の子の長所をきちんと認識し、最愛の人に意中の相手がいることに理解を示してもいる。
これは唯我成幸を”異性”として意識していない彼女だからこその立ち位置でしょう。ここに文乃さんやうるか(=恋愛軸における潜在的ライバル)とは違う、関城さんのスペシャリティがある。そういう意味でも、”親友”としてはこれ以上理想的なポジションもないのでは...と思えるくらい、関城さんは理珠ちんにとって特別な存在になっていくのではないでしょうか。
緒方理珠のヤキモチ!
とはいえ、自分の好きな人が他の女の子と手を繋ぎ、あまつさえ、裸を見そうになったり泊まりで一晩を過ごすことになったり...という状況になれば、ジェラシーを覚えるのが”普通”ですよね。
裸を見せないように目隠しをする。2人きりで寝かせないように自分も泊りがけで付き合う。今までは、そういうモヤっとした感覚の意味を彼女は正しく理解”できない”でいたわけですけれども、今週の彼女は一味違うのです。ついに、眠れる獅子が目を覚ます。そう、今こそ覚醒の時である!
なんなんだ...この可愛さは・・・
素晴らしい...。あまりにも素晴らしすぎるではありませんか....。
成幸くんの手をぎゅっと握る彼女の強い想い。接着剤なんぞに頼らなくともその手は掴んで離れないのです。15時間とは言わず、いつまでもつないでいたい。それが他ならぬ彼女の「意志」。そう、成幸くんに恋をしたことが、確実に彼女を人間らしい方向へと成長させているんですね。
...ズルいですよね 私...
ごめんなさい アレは...
ただの...ヤキモチです
もちろん、そこにはある種の”葛藤”(=成幸くんに対するごめんなさいの気持ち)もあったことでしょう。上記のモノローグに、彼女の真面目さと純粋さが表現されている。いつでも真っ直ぐだった彼女ですから、後ろめたさを感じてもいるかもしれません。
でも、そんな感情を抱いていること自体がもう彼女の”変化”なわけですよね。自分の中に芽生えた感情を”ヤキモチ”と定義しているということは、成幸くんに恋をしている今の自分の現状(=心情)を少なからず理解しているということに他なりませんから。手を繋ぎたいと思ったのは、彼のことが好きだから。繋がれた手の温もりに想いを馳せるその姿に、”恋する乙女”としての彼女の可愛らしさがぎゅっと詰まっていました...。
そんなわけで、ここから彼女がどう成幸くんと接していくのかに期待したいですね。物語の性質上、流石にすぐ大きなアクションが起こることもないとは思いますが、着実に「恋心」の開花や熟成のステップを踏んでいるのも事実なので、来たるべきときはそう遠いお話というわけでもないのかも...。
いずれにせよ、成幸くんも含め「夢」にまつわるストーリーは全員固まりつつありますし、”できない”娘たちの成績も確実な進歩が描かれているわけですから、ここからはより「恋愛」方面の進展が描かれていくのかもしれませんね。そんな所も踏まえ、今週は理珠ちんの成長がとても熱い回だったなと思いました。
...というわけで、今週の感想を総括すると、
来週は文乃さん回!
次号、文乃があのときの真相について気付く・・・!?
文乃の唇がいつもと違う!?その時、成幸は!?
次回の文乃さん回が超・超・超楽しみってことですよ!
ついに来てしまうわけですか.....。文乃さんが文化祭の時の(着ぐるみ)キスの真相を知ってしまう時が...!
次回予告を見る感じだと、いつもと違う文乃さんの唇(冬場は乾燥の時期なのでリップやグロスを変えた...みたいなお話かな)を見てドキドキする成幸くんの様子から、文乃さんが何かを察する...みたいなお話になるのかなという印象を受けますが、「最愛の星編」で”心境の変化”が起こった後に時限爆弾式にこの展開を持ってくるところがまた素晴らしいですね。
はてさて、一体どんなお可愛い文乃さんが拝めるのか......。来週のお話に期待しております!
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。