『ぼくたちは勉強ができない』151話 感想:機械仕掛けの親指姫編開幕!そこにある夢のような幸せだけを見つめて...
ぼく勉 問151 感想「[x]=機械仕掛けの親指姫編」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意
「機械仕掛けの親指姫編」として始まった今回の第2ルート。
「文化祭の花火」が打ち上がった際に理珠ちんが成幸くんの手を取った世界線であり、ジンクス通りに2人が必ず結ばれるという大前提の元で今回のお話は描かれていました。
つまり、事前におさえておく事実関係としては
①:問69以前のお話は過去も含めて全て共通
②:問69(文化祭編ラスト)~問141(試験終了)の内容がおそらく一部変わっている
③:問141でうるかは告白をしなかった
④:③の理由により問142~問150のうるか編は存在しない
⑤:ここからのルートは高校卒業後の大学生時点から始まる
…という感じでしょうか。
前回の感想でも書いた通り、「うるかが告白をしなかったからうるかルートに入らなかった」とする以外に他ルートの描きようがなく、主人公である唯我成幸自身の主体性の無さに正直モヤモヤは残る。
更に言えば、この世界線におけるうるかは「告白ができないまま」旅立っていった…ということになってしまい、「できない」から「できる」への変化にテーマ性を見出だしていた作品としてのアイデンティティは一体どこにいったのか…?と思う気持ちもある。
5年間抱えてきた気持ちをついぞ言葉にしないまま、うるかが単身海外へと渡る決断を下した第2の時間軸。
この点に関しては様々な見解があるでしょうし、好意的に解釈するなら「できなかった」のではなく彼女なりに考えた結果としての結論が「あえて告白をしなかった」というものだったのかもしれません。
しかしいずれにしても、うるかが告白に踏み切らないまま恋を諦めた事実(理由をきちんと描いて欲しかったですがさすがにテーマの歪みが大きすぎて不可能でしょうね………)に変わりはないため、あくまでもこのルートは唯我成幸と緒方理珠のハッピーエンドを描くためのものなんだよと。
そんな前提で読んでいくのが最適解なのかなと思います。
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ぼく勉 問151:「[X]=機械仕掛けの親指姫編」
さて。そんなわけで今回から大学生編の幕明けです。
高校時代からやり直すのではなく、大学時代のお話を成幸くんたちの新たな物語として紡いでいく。複雑な整合性は全て過去の出来事としてぶん投げ、新規エピソードとしての新鮮な感覚を読み味として提供する。
マルチエンドを受け入れた読者にとってはまさにwin-winな良展開で、細かいことは全て次元の狭間に置いてきた!探せ!欲しけりゃくれてやる!が通用する無敵の世界。
この世界線の運命力をもってすれば、成幸くんと理珠ちんのドキドキ添い寝イベントを1発目から読むことさえもできる。
細かい整合性を抜きにシチュエーションで勝負をしていくのが『ぼく勉』という作品の持つ元々の強みだったわけで、他ヒロインとの関係に気兼ねする必要がなくなったマルチエンド展開は、ある意味において作品のメインターゲット層を想定した選択と言っても差し支えがないのかもしれない。
ヒロインの圧倒的可愛さ、夢にまで見た世界の構築。
『私(=緒方理珠)だけを見てください』
という扉絵のメッセージこそがマルチエンド展開の全てであり、筒井先生もきっとそういう風に楽しんでもらえることを望んでいる。
ならば、ただただ緒方理珠の可愛さにのみ着目し、その行く末を見守っていくことがこのルートにおける本懐となるのでしょう。
そういう前提でいけば、今回のお話は個人的に1億点満点の出来だったと思っています。
緒方理珠ルートの展望
とはいえ、現状の2人がまだ付き合っているわけではない…という状況にある点が当然ながらミソですよね。
問111のエピソードを踏まえて「理珠ちん&関城さん」のルームシェア先に霊が出る設定を作り、理珠ちんが霊を怖がるから成幸くんが添い寝をする。
理珠ちんは成幸くんの「手」を握ることで安心して眠りにつき、そんな彼女の寝顔を見つめながら彼の中に「愛おしさ」が芽生えていく。
パリピの彼女持ち大学生ですら余裕で未体験horizonな3人川の字プレイという高次元シチュ(n回目)をこなしながらも、これでまだ2人は正式な交際に至っていない。
可愛い幽霊と鼻血まみれの親友が見守る中、
「唯我成幸にとって緒方理珠とは何か?」
という命題がいかにして描かれていくのか。
あの日、誰よりも早く彼に寄り添い、温かな「手」を差し伸べた緒方理珠の物語。
結末だけではない、過程にこそ宿る「輝き」や「涙」を大事にしながら、この先のお話を描いてくれたら嬉しいなと。
親友・関城紗和子の活躍(前に出過ぎると話がブレてしまうのであくまでも影からの支援という意味ですが…)にも期待しつつ、ここから始まる2人の恋物語を楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。