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『ぼくたちは勉強ができない』145話&146話 感想:届かない理想に想いを馳せて....

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ぼく勉 問145&146 感想「泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ④&⑤」

ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意

 

遅まきながら『ぼく勉』の感想を。

 

前回感想をお休みしていた件について色々とメッセージを頂戴していて恐縮の極みではございますが、理由としては単純に書くこともないほど予想通りにお話が展開されていたことと、その内容が切ないを通り越してもはや虚しくなってくるものだったためです。

 

「史上最も予測困難と言われたヒロインレース」という謳い文句で読者の関心を煽ってきた作品(まぁこれは筒井先生が考案したものではなく編集さんの領分でしょうけれど)が、いざ恋愛パートに突入したら「恋愛軸のヒロインはうるかだけなので他ヒロインとの決着は描きません!各々が勝手に区切りをつけるので察してください!」と言わんばかりに完結を迎えようとしている。

 

正直、理解しがたいとしか言いようがありませんでした。

 

 

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すき(問117&問136より)

 


問117で理珠ちんが自覚した大好きの気持ち、問136で文乃さんが流した葛藤の涙。

 

誰がどう見たって2人とも成幸くんに"恋"をしていたわけで、それらを踏まえたうえで彼女たちをラブコメヒロインと見なすことが間違いだったと論ずるのであれば、流石に恋愛を扱う作品として不誠実過ぎると思わざるを得なかった。

 

 

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展開を決めるのは作者


もちろん『ぼく勉』は筒井先生の作品なわけですから、その結末をどうランディングさせるかは作家さん本人の自由です。

 

読者の意見を鵜呑みにする必要なんて当然ありませんし、作家さんが描きたいように描けばいい。作品に対して責任を持てるのは作り手本人のみで、読者にできることは提示されたものを咀嚼して感想を発信することだけ。

 

だからこそ、個人ブログという形でこうして感想を書き続けてきたわけでもありますが、流石にここ最近の展開は違和感ばかりが募って感想の書きようがなかった。

 

 

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理珠ちんはなぜ告白しようとしなかったのか

 


定められたシナリオを押し通すためのお話が展開されていたとまでは言いませんが、もし筋書きのないリアルの恋だったら一番最初に「告白」していそうなのは理珠ちん(気持ちを自覚して以降成幸くんに対して最も積極的な姿勢を見せていたのは彼女です)だったようにも感じますし、彼女の性格(成長も含めて)を考えても成幸くんに気持ちを伝えようとしない状況に"必然性"があるとは思い難い。

 

ゆえに、過程の末に結論を導こうとしたというより、結論ありきで登場人物たちの行動を規定している印象(あくまでも一個人の感覚であることをご理解ください)があってどこか肌に合わない内容だった。

 

最近の『ぼく勉』に関しては、正直そんな印象しかありませんでした。

 

 

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ぼく勉 問146:「泡沫の人魚姫は約束の[x]に濡つ⑤」

 

とはいえ、そんな不満ばかりをあげつらっていても生産性がないですし、うるかエンド自体に納得がいっていないわけでもありません。

 

 

 

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うるかエンド自体は感動できる

 

成幸くんにとってうるかが太陽のような存在だった(この結論はむしろとても納得がいっています)というだけのことで、僕にとっての太陽が古橋文乃さんであることに変わりはありませんから。

 

3年間暗黒の月曜日を乗り越えてこられたのも文乃さんのおかげ。毎日当たり前のように呼吸ができていることも太陽である文乃さんのおかげ。

 

そういう意味においても『ぼく勉』という作品に出会えたことに対する感謝を忘れるつもりはなく、これまでのエピソードに対する敬意だけはしっかりと払っていきたいと思っています。

 

 

古橋文乃さんの恋物語

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縁日の夜(問39より)

 

"家族の欠落”という切ないピースが2人の根底にある中で、文乃さんはあの縁日の夜に大好きなお母さんを探して星空を見上げていました。

 

泣いている子供に遭遇したこともその前提の元に発生した偶然で、成幸くんも文乃さんもその子供を放っておけなかったからこそ同じ場所にたどり着いたわけです。

 

『できない奴をわかってやれる男になれ』という遺言を守ることで不在の父を心の中で生かし続けてきた成幸くんのように、文乃さんもまた母の遺志を受け継ぐことで大切な存在が消えてしまうことを避けようとしていた。

 

 

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大切な人からの言葉

 

切実な哀しみを抱えつつも2人にとってその想いは本当に大切なもので、磁石が引き合わせたかのように生まれた「特別な体験(問39)」を通して2人の持つ背景の類似性がより一層際立っていく。


進路ラブコメを成立させるための”ガワ”だったものが徐々に体温を宿していき、それが主人公の在り方と共鳴していく過程で文乃さんが成幸くんのヒロインである"必然"が物語レベルで隆起していく展開。

 

 

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重なる手(問39より)

 

僕はこういうお話の流れが本当に心の底から大好きだったし、だからこそ「文乃さんがラブコメ物語のヒロインではなかった」という不誠実な解釈だけはしたくないとも思っていますが、それでも結局文乃さんが和やかで優しい今から飛び立って己の進む道を定める瞬間が描かれずに終わりそうなこともまた事実ではあります。


自分の夢を全力で応援してくれて自分と同じものが欠けている少年に引き寄せられた必然と運命。たとえ届かないとしても、彼女の恋の行方を最後まで見届けたかった。

 

星が好きな女の子を励ます時は一緒に星を見に行くし、もっと仲良くなるために自分も星について学ぼうとする。出会いをきっかけに世界を広げていく物語だった『ぼく勉』だからこそ全員との決着を見てみたかった。

 

 

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繋がれた手と譲れない想い(問89より)

 

たとえ親友たちとぶつかることになっても、あるいは自分を傷つける結果になってしまうとしても、譲れないものに出会ってしまう残酷に立ち向かっていく彼女の生き様を見せて欲しかった。

 

きっとそんな願望が消えることは未来永劫ないけれど。

 

心から大好きになれたヒロインが青春の果てにどんな大人に成長していくのかを見守らないわけにはいかない。そんなモチベーションを持ってここから先のお話を読んでいきたいと思います。

 

 


 ※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志週刊少年ジャンプ」より引用しております。