『ぼくたちは勉強ができない』153話 感想:恋とは何か?好きとは何か?教えてくれたのは君でした!
ぼく勉 問153 感想「[x]=機械仕掛けの親指姫編③」
『ぼくたちは勉強ができない』 最新話 感想 ネタバレ注意
理珠ちんの可愛さがカンストしまくっているここ数回の個別編。
水着選びと海水浴を別々の回で描く貪欲なストーリー構成はもちろんのこと、この世界における緒方理珠の積極性も中々に半端ではありません。
水着姿を晒すことにさえ露骨に抵抗感を示していた初期の頃とは一転し、好きな人に自分を見てもらうための行動を自ら進んで取るようになった。
そして、その変化の源泉には当然「恋」という感情が関与していて、そんな気持ちを教えてくれたのは唯我成幸という男の子との出会いでした。
だからこそ、緒方理珠の恋物語の終着点として「恋心とは何か」「結ばれるとは何か」という命題(=問い)が描かれることは、文脈的に考えてもマストなのだと思います。
前回の感想でも書いた通り、自分の気持ちを自覚した彼女に残った課題が「唯我成幸の気持ちを知ること」である以上、機械仕掛けの親指姫編のゴール地点もそのあたりの内容が鍵になると見て間違いないでしょうから。
自分の気持ちを自覚し、「自分が本当に求めているものが何なのか」を知った緒方理珠。
正直なお話、僕はifルートに入る前の高校生編でこういう展開を一人ずつちゃんと描いて欲しかったと思ってきましたし、花火のジンクス次第で世界線が変わるだとか、うるかルートを走り切るために他ヒロインとの決着を流れ程度にしか描かないだとか、そういう描き方は正直僕個人としてはあまり好みではありません。
友達の恋を応援する。大切な人の恋を応援する。そういう気持ちは間違いなく美しいことだけれど、それでも、個々のヒロイン達に対して平等に機会が与えられず、やれることもやり切れないまま"大人になるしかない"展開に持っていかれることにはひどく違和感があったし、ストーリー上の都合を強く感じてしまったからです。
彼女たちを「キャラクター」として消費しようとは思いたくないし、あくまでも一人の「人間」としてみたい。本気になって楽しんだり、悩んだり、時にはぶつかったり。そういう、ちゃんと「人間」やってるなと感じられるお話がやっぱり僕は好きなんです。
ゆえに、高校生編で描き切れなかったヒロインたちの「人間らしい部分」「本当の気持ち」が描かれていくことをifのルートでは期待しています。
たとえifであろうとも、成幸くんと彼女たちが一体どんな恋の物語を見せてくれるのか。積み上げてきたもの、物語を構成する縦軸、そして…一番大切な気持ちのやり取り。その全てを踏まえて、メインヒロインと主人公唯我成幸のハッピーエンドを最高なものとして描き切って欲しい。
そんな淡い願望を抱きつつ、今週もまた気になった点について簡単に振り返っていきたいと思います。
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さて。そんなわけで今週は海水浴編です。
緩い日常回を展開しつつも重要な会話が随所にちりばめられており、冒頭から色々と書きたいことが数点あったはずなのですが、4ページ目を開いた瞬間に全ての思考が溶けました。
まさか、ここで大学生文乃さんが最強の水着コーデを完成させて降臨なさるとは……。ジャンプを手に取った瞬間に感じた圧倒的なオーラはこのためだったのか………!
可愛い…………
さすがはミス太陽系代表の古橋文乃さんである。高校生時点でアルティメットビューティフルの極みでしたが、女子大生となった御姿も女神そのものです。
いくら理珠ちんメインのルートとはいえ、この世に流通している「可愛い」の約8割(※僕調べ)を担う宇宙一の大天使・古橋文乃さんが登場しないことには何も始まりませんからね。
この世界における文乃さんの認識がどう変わっているのかは推測しかできませんが、うるかの存在を気に留める描写は流石にこのルートだとノイズにしかならないと思いますので、おそらくは理珠ちんの積極的な姿勢を見て応援しようという立ち位置で関わってくるのでしょう。
また、そう考えると文乃さんの個別ルートがどういう風に展開されていくのかも少し気になるところです。
「①:問69の文化祭花火で手を繋ぐ ⇒ ②:①の事象により長編に変化が発生する ⇒ ③:②を前提とし関係性に変化が生じる ⇒ ④:大学生編に至る」
という流れで理珠ちん編は描かれていると予測がつきますが、文乃さんが自身の気持ちを完全に自覚したのは長編よりもそれなりに後の「問136」の時点でした。
だとすると、長編を一部改変してどうこうみたいな展開にはならず、問136のエピソードで「すき」という言葉が伝わっていた世界線、あるいは……もっと違う何かになる可能性もあるのかもしれませんね。
いずれにしても、高校生編では描かれなかった文乃さんの本心がきちんと成幸くんに伝わること、「家族」というピースが根底に敷かれている中で文乃さんが大好きなお母さんから大切な言葉をもらっていること。
そういった諸々の積み重ねがしっかりと活きてくる、完全無欠のグッドエンディングを見せてくれたら嬉しいなと思っています。
好きという感情を教えてくれたのは...?
一方で、主人公の唯我成幸くんといえば、持ち前の鈍感力をいかんなく発揮し、無自覚なまま女の子を感傷的な気持ちにさせてしまうのであった……。
ストーリーのフォーマット的にある程度は仕方がないわけですが、ここにきて人の気持ちを理解できていないのがむしろ唯我成幸の方だと突きつけてくる展開になっているのが何とも面白いですね。
理珠ちんが提示した「ゲーム」の裏側にある真の気持ち。
それは単なる興味本意の感情などではなく、一年という時間の積み重ねの末に見つけた大切な気持ちです。
「ゲーム」という体裁を保って提案を持ちかけたのは彼にその気持ちをわかってもらえないからであって、勝ち負けを決めたいがために「ゲーム」をやっているわけじゃない。
振り向いてもらいたくて。好きになってもらいたい。
この「ゲーム」はそういう想いを前提にして成り立っている。だからこそ、ただの「ゲーム」という体裁のまま「勝ち負け」を決めること自体に"意義"はなく、彼女がこの「ゲーム」を仕掛けた理由、その裏側にある気持ちを彼が自覚することで2人の両想いは完成する。
ずっとゲームに負け続けてきた彼女が物語の最後に「勝利」を飾り、そのうえでゲームに勝つことよりももっと大事なものを2人の手で掴んでいく。
そんな熱いラストに期待したくなりますが、果たしてこの先どうなるのか...。次週も引き続き海水浴編という事で、文乃さんの登場も楽しみにしております。
※本記事にて掲載されている情報物は「『ぼくたちは勉強ができない』/筒井大志/週刊少年ジャンプ」より引用しております。