『五等分の花嫁』43話 感想、二乃の抱える想い!大事なのは"変わってくこと""変わらずにいること"!
五等分の花嫁 43話 「七つのさよなら⑤」 感想
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の二乃がとてもかわいい...。
いや前々からその片鱗を見せてはいたんですけど、「素直さ」「やさしさ」「芯の強さ(弱さ)」の3点を兼ね備えた今週の二乃にはグッとくるものがありました。二乃もやれば出来る子なんだよ...。(謎の上から目線)
ラブコメ業界において一つの時代を築きながらも近年では下火が著しかった「ツンデレ」。しかし!今まさに、二乃が(僕の中で)新しい時代を築こうとしているのです。ここに「いいね」ボタンがあったら100連打くらいしてるわ!
まぁ「ツンデレ」が素晴らしいというより、「芯が強い(...と思われていた)子」が時折見せる「やさしさ」や「弱さ」は最高だよね...というお話ではあるんですが。
今週の二乃の姿に改めて『五等分の花嫁』という作品のテーマや魅力が込められていたような気がします。うーん、今週も最高すぎる...。
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二乃とフータローの関係性
This is Japanese ”ツンデレ”!
前回、傷心中のフータローを自ら(ホテルの)部屋へと招き入れた二乃。この状況でどうなるのかと思いきや、意外とあっさり会話を弾ませる2人である。これがなかなかに興味深いですね。
というのも、フータローのモノローグにもあるとおり「一対一であればスムーズに話せる」というのもあると思いますが、おそらくそれだけではないはず。これまでの描写を見ても「一対一」になることが「素直」になるための鍵だったとは思えません。
じゃあなぜ、険悪だった二乃といつも以上にスムーズな会話が出来ているのか。それは、きっと今のフータローが普段の(二乃に見せている)フータローとは違うから。すなわち、フータローが「落ち込んでいたから」でしょう。
ここに、二乃が本来持つ「優しさ」が表現されているんじゃないかなと。
その証拠に、「あんたが落ち込んでるの初めて見たわ」とやや心配そうに二乃が語っているのも印象深い。二乃のセリフからもわかるように、これまでのフータローは彼自身の「弱み」をあまり見せてこなかったんですよね。
不器用で少しばかり不愛想な主人公。けれど、基本的にこれまでのフータローは姉妹たちの抱える問題を解決するべく動いてきました。その末に「必要とされる存在」にもなってきた。もちろんその過程だって簡単だったわけではありません。
でも、フータロー自身の大きな「悩み」はこれまで描かれてこなかった。落ち込んでいる姿なんて見たことがなかった。それゆえに、零奈に「さよなら」を告げられて傷心中のフータローの姿が二乃には新鮮に見えたのでしょう。
前回の感想でも触れましたが、だからこそ二乃はフータローを部屋に招き入れたのだと思います。中間試験でピンチのフータローを救った時のように、21話でフータローにお粥を作ったときのように。
なんだかんだ言っても、弱っている人を放っておけない。そんな二乃の根の「やさしさ」。この点こそが、今回の2人の一連のやり取りの中で、春場先生が暗に表現したかった二乃の一面なのではないかなと思います。
二乃とフータローの「弱さと強さ」に見る『五等分の花嫁』のテーマ
五年前のことを語るフータロー
また、今回の描写で注目したいのはフータローが二乃へ「五年前」の出来事について語るところ。フータローが「過去」について語るのは五月に続いて2人目です。
これまでに五月にしか打ち明けていない点もそうですし、二乃に「何があったの?」と問われ、一度は「何もねーよ」と返していることからも、フータローがこの「五年前」のことに関して、第三者にあまり語りたがらない節があることは明白ではありました。
なぜか?それはきっと『五等分の花嫁』という作品において「過去」というものが大切な思い出であると同時にそれぞれの「弱み」としても描かれているからですよね。
「過去」は乗り越えるべきもの。そういう意味において「過去への固執=自身の弱さ」という図式が作品テーマとして成立している。
だからこそ、フータローが「過去」についてヒロインへ打ち明けるシーンには自身の「弱み」を見せるという意味合いも含まれているんじゃないかと。単に「過去」の出来事を伝えたというだけでなく、作品テーマ的にもそれ以上の意味があるんだと思う。
それを踏まえると、今回二乃に対してフータローが「過去」を打ち明けるシーンはやはり2人の関係性を語るうえで外せないシーンだと思います。そして、フータローの過去を知った二乃の反応もまた興味深いものがあるかなって。
「あんた五年もその子のこと好きだったんでしょ 切なすぎるわ」とポロポロ泣き始める二乃である。涙腺ガバガバセキュリティやんけ!というツッコミはさておき、ここでも二乃の「やさしさ」がフィーチャーされている点は印象的でしょう。
....と同時に、個人的に今回は二乃の中にある「強さ」と「弱さ」が浮き彫りになった回でもあるのかなと思ってます。フータローが「弱さ」を見せたように、二乃もまた自身の「強さ」と「弱さ」を見せる。ここに2人の関係性が表現されているようでもある。
その事実は、今回二乃が自身の想いを「素直」に吐露していることからもわかります。フータローが自身の「過去(=弱み)」を語ったように、二乃もまた自身の「過去(=弱み)」を語る。
五年前はみんなが同じだった。外見も性格も思考も何もかもが共有されていて、それはまるで孵化を待つ雛鳥たちのように、五人で仲良く寄り添う姿を連想させる。そして、それが居心地良かったのだと。
しかし、みんなが少しずつ変わっていった。一花さんが女優をしていたこと、後ろ向きだった三玖が前向きに勉強をするようになったこと、四葉ちゃんが努力の末にスポーツで頼られる人になったこと、そして成長した五月が自分にビンタをしたこと...。
その姉妹たちの変化が、二乃にとっては寂しかったのでしょう。自分だけが取り残されたような気がして。自分だけが変われていないような気がして...。
だからこそ、無理にでも巣立たなくちゃいけない。無理にでも変わらなければいけない。それが姉妹たちに置いていかれたくないと考える二乃のプライド。家出と巣立ちをかけているのも非常に巧い描写だと思います。
しかも今回、二乃から語られた内容を踏まえてこれまでのお話を振り返ってみてもフータローに敵対していた理由を含めて、色々と氷解するものがあるんですよ。
だって「フータローを受け入れる」ということは「姉妹たちの変化を受け入れる」ことでもありますから。
変わることなくみんなと一緒に『五等分』でありたいと考えてきたこれまでの二乃にとって、姉妹たちを前へと進ませてきたフータローはまさに異分子でしかなかったわけです。
フータローへ謝罪をする二乃がかわいい...
でも、いつまでもこのままではいられない。変わらなければいけない。それを二乃自身もわかってる。そして、二乃にとって「変わること」は「フータローを受け入れること」でもあるんですよね。
それゆえに、破いてしまったフータローの問題集を繋ぎ合わせて使っていた描写はまさに二乃が「変わろうとしている(フータローを受け入れようとしている)」ことの証でしょうし、「ごめん」と謝るシーンが最高に映えるシーンになったのだと思います。
"変わってくこと"!"変わらずにいること"!
そして。なんと言っても今週最大のキモは、「過去」を見つめて生きてきたフータロー自身が「変わっていくことは避けられない」と語っている点です。これが凄く良かった...。
なんというか、二乃とフータローがお互いに「過去(=弱み)」を打ち明けながらも、結果的にお互いを励まし合い「未来」に向かって、立ち上がる構図になっているのが素晴らしいなって。弱さだけでなく2人の強さもきちんと描かれているのが凄く良い...。
とはいえ、それ自体は別に珍しいことでもないのかもしれません。「弱さ」と「強さ」なんて誰もが当たり前のように抱えているものですから。
「弱み」を持たない人間なんていなし、「弱い」だけの人間もいない。誰もが「弱さ」と「強さ」の二面性を抱えながら日々を生きている。
ただ『五等分の花嫁』において特徴的なのは、二乃もフータローも、いえ、きっと他の姉妹たちにとっても、「過去の出来事=自身の弱み」、そして、「乗り越えた先にある未来=強さ」という具合に作品テーマに紐づけて描かれている点かなと。
その証明として、今回二乃が感じていた「変わっていくこと」への恐れは、以前に四葉ちゃんが感じていたことでもあるんですよね。
4人はそれぞれ変化している。でも自分だけが「成長していない」。四葉ちゃんもまた同じ想いを抱いていたわけです。
だから、程度の差はあれ、みんな似た想いを抱えていたんじゃないかな。初期の三玖もそうでしたから。自分が姉妹の中で一番落ちこぼれだと言っていたし、『五等分』であることに囚われている面もあった。一花さんや五月だって似た想いは抱えていたはず。
それでも、三玖も一花さんも五月だって、フータローに背中を押されて変わっていった。だからこそ、今回は二乃が「過去」を乗り越え、変わっていく番である。
ただ......
フータローが「それでいいのか?」と言っている通り、単に過去を忘れて変わればいいというものでもないのでしょう。
だって、無理やりにでも「姉妹たちから巣立つこと(=家出をすること)」が正しいとは思えませんから。姉妹を愛するが故の結論でありながら、結果的に「姉妹と離れる」選択を取っている時点で明らかに二乃の願いに反している。
だからこそ、「変わっていくこと」と同じくらい「変わらずにいることも」大切なんじゃないかと。39話のアオリ文にもあった「変わらぬ想い。姉妹への愛。」がここにかかってくるわけですよ。
きっと今回の期末試験編を通して、二乃はこれまでの自分と「さよなら」をすることになるのだと思います。でも、巣立つこと(=過去を受け入れること)は姉妹たちとの関係を断ち切って自由になることとイコールじゃない。
ゆえに、”変わらずにいること”もまた二乃のテーマになるのかもしれません。姉妹が大好きならそのままそれを貫き通せばいい。変わっていくことを受け入れるというのは、「過去を忘れること」ではなく「過去を乗り越えること」だと思いますから。
「弱さ」を見せたフータロー、強さの象徴であるキンタロー
突然の再会...!
で、最後に気になったのがやっぱり二乃とキンタローの再会というビッグイベントをこのタイミングで持ってきている点でしょう。これは凄く意味深じゃないかなぁ...。
というのも、今回フータローは二乃に「弱み」を見せ、それゆえに二乃と少し打ち解けることが出来たわけですけど、反転して二乃にとってのキンタローは「強さ」の象徴なんですよね。キンタローのことを「ワイルドで素敵」と言っていましたし。
この対比構造の中でキンタロー問題にどう収拾をつけるのかは興味深いなと。個人的には、やっぱり正体を偽っていたことをきちんと二乃へ打ち明けるのがベストな解決策だと思ってますけどね。正体を明かさなかった零奈との対比にもつながりますし。
今回二乃がフータローの弱い部分を認識したのも「強さ」の象徴であるキンタローが偽りの存在だった...ということを打ち明ける前フリだと考えれば流れとしても綺麗でしょう。まぁ、実際どうなるかはわかりませんけれど...。
また、今回の描写でわりと衝撃的だったのが...
二乃が”ミサンガ”を身につけていたシーンです。
仮に二乃が「写真の子」であるならば、前回フータローへ渡した御守りの中に入れるアイテムは十中八九”ミサンガ”になっていたでしょうから、そこを踏まえても「写真の子=二乃」の可能性はほぼゼロになったと言えるかな。
もちろん、ストーリー展開的にも作品テーマ的にも二乃であるとは考え難かったのですけど、零奈の話をフータローから聞いて泣いている場面とか、ここまで明確に心理描写の面で「違うな...」と思える要素が出てきたのは少し意外ではありました。
まぁ、ここまでのお話を鑑みるに「写真の子」と「将来の花嫁」はイコールどころか対になる存在(過去と未来のテーマを内包したヒロイン)だと思いますし、「写真の子」自体の正体は案外早く明かされることになるのかもしれませんね。
つ・ま・り!何が言いたいのかと言えば...
今週の二乃は最高にかわいかった!
今週の二乃が最高にかわいかったってことですよ!
赤面しつつも手の隙間からフータローの裸を覗き込む二乃さんは実にえっちで最高だと思います!
姉妹たちへの変わらない想いを抱きながら、そのうえで二乃がどんな風に成長し変わっていくのかは注目していきたいところ。「過去」を忘れるのではなく、乗り越えるというのは、フータローが二乃の姿から学んでいくテーマでもあると思いますし。
キンタローとの再会で二乃がどう「過去」と折り合いをつけるのか。「零奈とフータロー」「二乃とキンタロー」。2つの再会が物語にどういう影響をもたらすのか。来週も超期待大ですね!
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。