『五等分の花嫁』79話 感想、中野五月の”想い”と中野四葉の”願い”!悔いなき修学旅行がついに開幕!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
なるほど...。率直な感想を述べると、僕にとってここ最近の五月は非常に心情の追いかけ難い子でした。その理由はきっと、”行動原理”が掴めなかったから。写真の子が誰とか零奈がどうとか以前に、現在の五月が「何を望んで」アクションを起こしているのかわからなかったんですよね。初期の頃の彼女がとてもわかりやすい性格だった(ように感じていた)だけに、多少面喰っていた所もあったのかもしれません。
当たり前の話ですが、基本的に物事には”原因”と”結果”がついて回るものです。「こうしたい」「ああしたい」。そういう内的動機が行動として外側へと表れてくる。四葉ちゃんもとりわけ内面描写が少なくて難しい子ですが、彼女には「誰かのためになる」という一貫した行動軸がありますからね。だから、そこをホームにしてある程度”心情”を推し量る事も出来る......わけなんですけど、正直第77話以降の五月の言動や行動からは、読めば読むほど、更に”謎”が深まっていくような感覚しかありませんでした。
思った通りにいかない...
しかし”楔”は打ちました
しかし、今週の五月が取った一連の行動を読むと、彼女が「何をしたい」と思っているのか、ようやくほんの少しだけその部分の方向性が見えてきたような気もします。
五月が零奈として現れた理由と修学旅行編の持つテーマ。そして、「過去の思い出」と「悔いなき旅」。今回はそういった点を中心にお話を振り返っていきましょう。
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というわけで今週は、修学旅行の準備のためにデパートを訪れていたフータローが、同じく買い物に来ていた四葉ちゃん&五月に遭遇する場面から物語が展開されておりました。
なんといいますか、この状況でこの組み合わせは、少なからず”演出の妙”を感じてしまいますよね....。
もちろん、班決めの段階で姉3人が気まずい雰囲気になってしまった事を考えれば、四葉ちゃんと五月の2人だけで出掛けていること自体には何の不自然さもありませんけど、さりとて、零奈と再会を果たす回で、またしても四葉ちゃんが近くにいる...という構図になっているのは些か以上に意味深なようにも思える。
冒頭のシーンを見ると2人の協力説はかなり薄まったとは思いますが、偶然にしては明らかに作為的な要素を感じるのも事実なので、演出として意図的に描いているのは間違いないのでしょう。
なんだか怪しいですね!何もないなら言えるはずですよ!
なぜ話せないのか私にはわかります!それは”未練”があるからです!
しかし、どうやら四葉ちゃんには「過去の写真」に関する認識が全くないようで....。
正直に言うとこの展開、とてもとても意外でした。「写真の子」の正体が誰であれ、京都に到着する前の時点で、四葉ちゃんからこういう台詞が飛び出すとは全く思っていませんでしたから....。この反応が100%『演技』ではないと断ずる事は出来ませんけれど、彼女のパーソナリティを鑑みれば『嘘』をついていると思い難いのも事実。
ゆえに、ひとまず彼女の中には「フータローと一緒に写真を撮った記憶(=認識)はない」と言えそうです。誠に信じ難いですが、描かれている内容をストレートに受け取るならそうとしか思えません。
とはいえ、四葉ちゃんが語った「後悔のない修学旅行」というワードは、今回の長編に通底するわりと重要なキーワードになる気はしますね。
彼女自身は”これから”始まる修学旅行を指してこの願いを明言していますけれど、フータローと写真の子にとって京都は、同時に”過去”の思い出が詰まった場所なのですから。であれば、四葉ちゃんが声を大にして語ったように、「後悔」や「未練」の気持ちを多少なりともそこに残してきているのかもしれない。
運命の出会いと打ち明けられない秘密。そういった「過去」の事情や気持ちにきちんと決着をつけることで、今回の修学旅行は文字通り、「後悔のない最高の旅」になるのではないでしょうか。
五月(=零奈)の行動原理
また、今回最大の疑問であり衝撃ポイントでもあったのは、やはりこちらのシーンですよね。
突如、フータローの前に姿を現した零奈。ハッキリ言って、自分が当事者だったら相当に”理解不能”だなと感じると思います。一方的に「もう会えないから」と「さよなら」を告げてきた相手が、「君に会いたくて って言ったらどうする?」なんて言いながら再び自分の前に現れる。もはや、言動の不一致なんてレベルではありません。明らかに真逆そのもの。そりゃ、「なぜ?」となるのも当然でしょう。
...私のことどうでも良くなったの?
加えて、今週の零奈の台詞から、「京都における過去の思い出を大切なものだとフータローに認識していて欲しい」という想いが見て取れた事も不思議な点の一つでした。
なんせ、第42話で再会を果たした際の彼女は、「君を縛る私は消えなきゃね」と自らを過去の存在と定義し、その象徴たる写真を取り上げてまでいたわけですからね...。あまりにも説明がつかな過ぎる。流石にこの変化には、何か『理由』があって然るべきはずです。
あなたなら気づいてくれると信じてます
では、一体その『理由』とはなんなのか。
そう考えていくと、まず五月が零奈としてフータローの前に現れた動機、その『目的』を明確にしなくてはいけません。五月は果たして何を望んでいるのか。それは、フータローに自分の正体を見破ってもらうこと...ですよね。他でもなく、五月自身が明確に「あなたなら気づいてくれると信じてます」と言っているのですから、これは疑いようもない。
しかも、自分の口からではなく、フータローに見抜いてもらうことにこだわっているように見えるのも興味深い点でしょう。第77話では、自分から秘密を打ち明けようとしていた様子でしたけど、フータローの反応が予想外に冷たかった為に方針を変えたのでしょうか。ここらへん、五月がどんな心情を抱いているのか、非常に気になるところ。
~零奈の言動が変化した『理由』~
A:「写真の子=零奈=五月」
①、風太郎に対する恋心の開花? 風太郎に自分の正体を気付いて欲しい
②、風太郎に思い出の子を意識させることで他姉妹達がすぐに風太郎と恋愛関係に発展しないように楔を打とうとした (五月的には学生の内の交際は不純らしいので)
B:「写真の子≠ 零奈=五月」
③、”第42話以降”のどこかで「写真の子」の正体に気付き、自身の正体 (=零奈)を明かすことに付随してフータローに本物の正体 (=写真の子) を諭そうとしている
...そんなところで、現段階で五月のスタンスを推し量るなら大きく分けて上記のような印象です。
まだ情報量があまりにも少なく、どんな『理由』にしてもこれまでのスタンスとの乖離がやや強めなため、正直しっくりきてない面もありますが、「写真の子=五月」ならそのままフータローに対するアプローチ (可能性としては薄めだと思ってます...) もしくは他姉妹達に対する牽制で、「写真の子≠五月」なら彼に過去の思い出を想起させ写真の子をバックアップする動き(理由は不明...)をしている所なのかなと。
まぁ、矛盾の解消という意味では「42話零奈 ≠ 79話零奈」説も考えてみましたけど、やっぱり変装道具の所有問題や「もう一つの顔」などの言及に説明がつかなくなってしまうので、諸々含めて来週以降の展開を見守っていきたい所存です。
フータローは零奈の正体に気付いている?
一方、今週はフータローの立ち回りも中々に意味深だったのかなと。
無論、普段からわりとクールな方ではありますけど、今週は輪をかけて落ち着いていた印象です。零奈が現れても、驚く表情一つ見せない。むしろ、何かを見透かしているかのようでした。フータローと四葉ちゃんの反応を見ても、彼女が第42話で零奈の名を名乗った女の子ではないことを悟ったようにも見えましたよね。
なぜ母親の名前を名乗った
とすると、フータローは当然、今週自分の前に現れた「零奈」が五つ子の内の誰なのかわかるはずでしょう。
そもそも、同時刻同場所にショッピングに来ているのは、四葉ちゃんと五月の2人しかいないわけですから...。四葉ちゃんでないなら五月しかありえない。しかも、らいはとメールで一緒に買い物の約束をしていたのも五月。試着室での採寸、母への憧れ、隠し事の告発未遂などなど、状況から見ても完全に役満です。
本人は「わからん!早く教えろ」なんて言っていますけど、流石に色々気付いているんじゃないでしょうか....。五月が自ら秘密を告白するまで待っているような感じもありますし、「なぜ母親の名前を名乗った」あたりの発言も「五月=零奈」を意識しての問いかけなんじゃないかなと思いますね。この件についても、来週以降答えが明かされていくのを楽しみにしております!
.....というわけで、今週の感想を総括すると、
四葉ちゃんの活躍に期待!
お子様パンツが似合う中野四葉ちゃんの将来に期待大ってことですよ!
今週フータローは、「誰が誰とか... 誰のフリした誰とか...もうたくさんだ」と言っていましたけど、フータローに対して"私的な事情"で「なりすまし (16話の二乃を含む)」を行って騙したことがないのは、判明している範囲だともう現状四葉ちゃんだけなんですよね。
もちろん、変装が苦手な彼女ですから当然と言えば当然なのですが、五つ子ならではの描写に春場先生は強いこだわりをお持ちのようなので、四葉ちゃんだけがこの手のなりすましで風太郎を惑わせたことがないというのはちょっと忘れないでいたいところ。
写真の子関連で繰り出されるのか、それともキスの相手なのか、はたまたそのままフータローへ誠実を貫くのか。彼女がどんな夢を見つけ、子供から大人になっていくのかも含めて、今後の四葉ちゃんの活躍に全力で期待しております!
<追記記事>
しっくり来なかった部分の追記記事を書きました。(2019/3/30)
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。