『五等分の花嫁』感想、零奈の”行動”と五月の”心情”についてもう一度考察してみよう!
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
修学旅行もいよいよ開幕...!というところで、豪快に驚愕の展開を見せていく最近の『五等分の花嫁』。
今週の最新話(第79話)に関しては、既に水曜日に感想を更新しておりますので、大まかなポイントはそちらをご参照頂ければと思うのですが、個人的に書き切れなかった部分もいくつかありますので、補足となる記事をここでもう一本書いておこうと思います。
第42話で登場した際と真逆の気持ちを語っている零奈。彼女の言動が変化した理由はなんなのか。そして、五月はどんな”想い”を抱えているのか。今回はそこを中心に触れていきます。
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中野五月は”変わっていく”ヒロイン
さて。少し、これまでの五月について振り返ってみましょう。
物語の冒頭、フータローと出会った頃の五月はとても”不器用な子”として描かれていました。意地を張ってしまって中々”素直”になれない。誰よりも真面目で誰よりも勉強に対する意識が強い子であるにも関わらず、フータローとぶつかり合ってしまっていたのもこの性格ゆえ。
本来であれば、『目的』(勉強を教えたい⇔学力を向上させたい)が共通しているこの2人は、最も話が合う組み合わせであるはずなのに....。そんな”素直”じゃない2人の構図は中間試験でも色濃く表れていましたよね。
しかし、物語が進むにつれて彼女の”心情”には少しずつ変化が表れていきます。
きっと林間学校において自分を見つけてくれたことも大きく作用したのでしょう。同じ時間を共にしていく中で上杉風太郎という男の子の人となりを知った彼女は、彼に”素直”な想いを述べるわけです。「変われる手助けをしてほしい あなたは...私たちに必要です」...と。
「結びの伝説」が作品における大きなターニングポイントになっているであろうことは、言うまでもなく多くの方も感じていらっしゃる通りだと思いますが、フータローに対する五月のスタンスが変わっていったのもやはりこのあたりからなんですよね。
第1話における「出会い」を皮切りに、「結びの伝説」「スクランブルエッグ」と、順に未来の結婚式描写を物語の中に挿し込んでいく演出は、いわゆる「結婚式の披露宴で流れるスライドショー」から着想を得ているんじゃないか...と個人的には妄想しているのですけど、林間学校を境にして”信頼の置き方”が変わっている...というのは一つポイントなのかなと。五月はこの頃からフータローが自分達にとって必要な存在であると心から実感していました。
真剣に向き合ってるんだね
きっと君は もう必要とされる人になれてるよ
だからこそ、第42話で五月は”零奈”としてフータローに会いに来たのでしょう。
「あいつらに俺は不要だ」と自信を喪失していたフータローに「君はもう”必要”とされる人になれてるよ」と伝えるために。これも五月の素直な”心情”と合致する。フータロー自身も「五月にも同じことを言われた」と語っています。
そして、あの段階でこの役割を担うことが出来たのは、(現状不明点の多い茂みの謎を除けば)、フータローから5年前のことを聞いていた五月...もしくは「写真の子」本人だけなのです。
第41話でフータローが五月へ過去に対する想いを打ち明けた直後の出来事であることを考えても、タイミング的に茂みの子(?)か五月以外だと不自然なわけですし、「五月=写真の子」であろうとなかろうと、彼女がフータローの前に”零奈”として現れる動機は十分にありました。
もちろん、家出中の五月が変装道具をどう調達したのかについての疑問は残りますが、心情面からアプローチをするなら五月は確かに”零奈”として一番しっくりくるんですよね。そういう意味でも、第42話の零奈が五月であったことはもうほぼ間違いないと言えるのではないでしょうか。
五月(=零奈)の想いと写真の子
その子との出会いがあなたを変えたんですね
私も変われるのでしょうか... もしできるなら...
変われる手助けをしてほしい あなたは私たちに必要です
一方で、個人的にずーっと引っかかっているセリフがありました。
それは、五月が「その子との出会いがあなたを変えたんですね」とフータローに語るシーン。どう考えても、「写真の子」本人のセリフではないでしょう。少なくともこの時点での五月に過去の記憶があったとは考え難い。彼女は、上杉風太郎を変えた人物がいることをここで認識しています。
ゆえに、「私も変われるのでしょうか...」と彼女は語ったわけですよね。上杉君となら、不器用で試験の成績も芳しくない今の自分から変わることができるのかもしれない。そういう”期待”と”信頼”が彼女の中にはあった。「男の人はもっと見極めて選ばないといけません」というお母さんの言葉に囚われてきた五月にとって、この気持ちの芽生えは実に前向きな変化であったことでしょう。
自分を認められるようになったら
それを開けて
それなのに、他でもないフータロー自身が「俺はあの頃から何も変われてない」と言葉にしている。
そりゃ、当然思うところがあるわけです。だから、彼女は「さよなら」を告げた。過去に囚われているフータローから「写真の子」を一度切り離すために。
そう考えれば、「”自分を認められるようになったら” それを開けて」と御守りを渡していることにも一応の説明が付く。この御守りの中に”過去の真実”に繋がる何か(見ればフータローから思い出の子の正体に気付けるものなどが候補?)を入れていた。もうこの姿で会うことはないと決めたから。でも、トラブルで流されてしまうという予定外の出来事が起こってしまった。そう捉えると、今の現状にもある程度納得がいくように思います。
第79話で零奈(=五月)が再び姿を現した理由
では、どうして五月は第77話のタイミングで自分が零奈であることを打ち明けようとし、ついには第79話でフータローの前に姿を現したのか。
そこに踏み込んでいくにあたり少し気になるのは、第68話と第75話のセリフのギャップです。第68話では「あったとしても言えないから”隠し事”なんですよ」と言っていた彼女が、第75話では「貴方にはいずれ話しますから...」と語っている。
前者は二乃に対して、後者はフータローに対して、という違いこそありますが、この2つのセリフからは、彼女の中で何かしら気持ちに変化の起こった出来事があったんじゃないか....という印象も抱かせます。何よりも「どうしてこのタイミングでアクションを起こしたのか」という部分は必ず付きまとってくるポイントではあるわけで...。
この仕事は俺にしかできない自負がある!!
とすると、家族旅行以降で五月に大きなインパクトを与えた出来事としては、もう「このセリフをフータローの口から聞けたこと」以上のものは考えられませんよね。
なんたって、フータローの確固たる”自信”が見て取れるシーンなわけですから。五月の嬉しそうな表情が何よりもそれを物語っている。第76話では自信だけではなく成果という形でも彼は”覚悟”を証明した。だから、今の上杉君は自信を失くして俯いていた頃の彼じゃない。もう大丈夫。きちんと自分の正体を打ち明けなきゃ...。それが五月の考え。
しかし、直接自分から正体を打ち明けることが出来ない事情(「写真の子」本人の存在を気にしている?)が彼女にはあったのかもしれません。
ゆえに、フータローに見破って貰いたくて零奈としてもう一度現れた。なのに、正体なんてどうでもいい...と言わんばかりの態度をフータローから示される。
そういう経緯だとすれば、彼女が「気にならないの?私のことどうでもよくなったの?」という反応を見せたことにも納得がいきます。
「京都での思い出」が大切なら”零奈”の正体も気になるはず。文字通り彼女は、「あなたなら気づいてくれる」と信じているのでしょう。第79話で見せた彼女の不可解な行動には、そんなストーリーがあったのではないか。そう考えてみても面白いのかもしれませんね。
....というわけで今回の感想をまとめると、
五月の行動に注目!
修学旅行編における五月の行動に注目していきたいってことですよ!
もちろん、今回書いた推測記事は、あくまでも「五月=零奈」という真実に関して、五月がどんな想いを抱え、どう風太郎に伝えていくのか、という所を焦点にしていますので、「写真の子=五月」でなくても筋が通ります。
五月は落ち込んでいるフータローを励ますために、写真の子の姿を借りて”零奈”として登場した(第42話)だけであり、今まさにその事情を打ち明けようとしている(気付いて欲しいと思っている)...という状況なのだとしたら、他の子が「写真の子」であっても、彼女の行動には何ら矛盾がありませんからね。
自身の正体を明かすことに付随して本物の「写真の子」がいることを諭そうとしているのかもしれない。そういう意味では、他の子がキーマンになってくる可能性は非常に高いように思います。
まぁ、ひとまず"零奈”問題に関しては、最終的には五月からフータローに真実を伝えることになるような気もしていますし、他の子たちの動向(特に四葉ちゃん)にも目が離せませんので修学旅行編はやはり中々に見応えがありそうですね。来週の展開も楽しみです!
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。