『五等分の花嫁』83話 感想、届かない想いは雨に濡れて.....中野一花の”嘘”と過去の思い出に注目です!
五等分の花嫁 83話「シスターズウォー六回戦」 感想
五等分の花嫁 最新話 感想 ネタバレ注意
今週の『五等分の花嫁』を読了。
ついにこの瞬間が訪れてしまいました。「嘘じゃないよ...」と言葉にする一花さんに対し、「今はお前を信じられない」とその場を立ち去っていくフータロー。わかっていたことですし、同時に仕方のないことでもありますが、やっぱり実際に描かれてしまうと辛いものですよね。
一花さんがどれだけフータローの事を強く想い続けてきたのか。その「恋心」をきちんと自分の姿で伝えることができていれば、きっとこんな悲しい事態にはならなかったはずなのに.....。そう思えば思うほど、どうしても感傷的な気持ちになってくる。雨に打たれながら涙を流す彼女の姿には、溢れんばかりの悲壮感だけが漂っていました。
しかし、物語的に言えば、きっとこれで良かったのでしょうね。
フータローの為にも、そして他でもなく、一花さんの為にも。「嘘」を貫き通したまま走り続けたところで、ハッピーエンドなんて待ってはいないのですから。「嘘」をつけば必ずどこかで綻びが生まれる。止まれなくなっていた一花さんにとって、今週のフータローの言葉は重く突き刺さったはずです。
それに、これはあくまでも僕個人の意見ですが、身を焦がす程の本気の恋には、「恋を知る恋」と「失恋を知る恋」と「愛を知る恋」の3つがあって、現時点で彼女が経験しているのは、まさしく「恋を知る恋」と「失恋を知る恋」の2つなんですよね。
人を好きになる苦しさや切なさ、喜びも痛みも何もかも全てを噛み締めて「こんなにも誰かを好きになったことはない」とそう思えることが「本物の恋」なら、きっと「本物の愛」とは、そういった感情を知ったうえで相手の目線に立てること。そういう意味でも、今の彼女の想いは「恋」ではあっても、「愛」ではないのでしょう。
ゆえに、この一件を通して、一花さんの恋が「愛を知る恋」に育ってくれたらいいなと願わずにはいられません。届かない想いを抱きしめて、一体彼女は何を想ったのか。今週はそんなことを踏まえながら、お話を振り返っていきたいと思います。
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第83話:シスターズウォー 六回戦
というわけで、今週は三玖に変装した一花さんがフータローを連れ出したシーンから。
上述したように一花さんの変装はすぐさまフータローに看破されてしまいました。まぁ、当然ですよね。フータローは元々、三玖の好意に薄々気づいていて、そのうえで昨日の一件を目撃しているわけですから。
三玖が逃げ出した後、二乃が一花さんに掴みかかるシーンも彼は目撃している。というより、そもそも一花さん以外の子達には、「一花さんを応援する」なんていう嘘をつく理由が最初からないわけです。ゆえに、四葉ちゃんの台詞を聞かずとも、おおよその見当がついてしかるべき状況だったと言えてしまうわけですね。
ただ、それでも一花さん視点では、まだ”曇り模様”であって弁解の余地があるという認識だったのでしょう。だから、一花さんの変装が解かれ完全に「嘘」が崩壊したタイミングで雨が降り出してくる。雨は逆境のメタファーであり、一花さんの心情と立場を表すものですからね。状況が悪くなるのに比例して、雨脚が強くなっているのが何よりもその証拠。
しかし、そんな絶望的な状況の中でもなお、彼女は起死回生の一手を打とうとしていました。
「私たち 五年前に会ってるんだよ...」
そうフータローに語り掛ける一花さん。
が、当然のように疑われてしまうわけですよね。もし、今回のような流れからではなく、平時の状況でこの言葉が発せられていたなら、こうも懐疑的に見られてしまう事もなかったのでしょうけれど、さりとて、ここまで「嘘」を積み重ねてきた彼女の言葉を信じ切るのは、この状況においてはもうあまりにも難しくなってしまったわけですよ.....。
もちろん、「嘘」にも色々あって、必ずしも悪いものばかりというわけではありません。極端なお話、一度も「嘘」をついたことのない人なんて世の中にいないでしょうし、「優しい嘘」もあれば、「人のためになる嘘」もあります。そこには、誰かのことを想ってつく「嘘」もあるでしょう。
でも、その「嘘」が必要なモノなのかどうか、誰かの為になるモノなのかどうかを決めていいのは、どんな時だって、「嘘」をつかれる側ですからね。決して、嘘をついた側ではない。だからこそ、相手の立場が見えていない「嘘」は信頼関係を崩してしまうのです。フータローが今の一花さんを信じられなくなってしまうのも無理からぬこと。
すまん 今はお前を信じられない
風邪ひく前に帰るぞ
ゆえに、こういう顛末に帰着するのはもう致し方ないわけですよ......。
一花さんにとっては、何とかしてフータローに自分を見て欲しくて、それゆえにアプローチを重ねてきたわけですけれども、少なくとも「フータロー視点」では、その全てが「嘘」で成り立っているものと見えてしまったわけですから....。
とはいえ、一花さんの語った「私たち五年前に会ってるんだよ...」の言葉が本当に「嘘」だったのかどうかは現段階では判断が難しいところなのではないでしょうか。
写真の子と風太郎のメモリー
一方、そんな背景も込みで考えると、やはり今週最も気になったポイントは、「フータローと写真の子にまつわる思い出話」が新たに開示されていた点でした。
これまでは”京都駅”と”清水寺”の2つの場面しか描かれてこなかったので、フータローと「写真の子」の交流について色々と不明瞭な点も多くありましたが、今回判明した「夜になるまで2人で一緒に遊んでいた」という情報は相当に大きなものですよね。
なにせ、これで「写真の子」がフータローのことを物語の冒頭から覚えていた説がまた少し有力になってきたわけですから。6年前の事とはいえ、修学旅行先で巡り会って一日中2人きりで遊び通した男の子の存在を簡単に忘れ去ったりはしないでしょう。
それに、風貌に変化こそあれど、「写真の子」はフータローの名前を知っていますからね。数年越しの再会であっても気付ける要素は十分にあったと言える.....。どころか、フータローにとって6年前の出会いがとても大切な「思い出」になっていたように、写真の子にとっても上杉風太郎という男の子との出会いが忘れられない思い出になっていても不思議はない。マクロ的に物語を捉えるなら、そう解釈したくなるのが必定というものです。
とはいえ、「写真の子」の正体を検討していくにあたり、どうしても無視できないのが、やっぱり「お守りの所在」なんですよね。
おそらく、先週と今週のお話を踏まえても、「お守りを買った子」と「一緒に写真を撮った子」が同一人物であろうことは容易に想像ができます。
どちらも「清水寺」で連続的に起こった出来事である以上、この場面で入れ替わりがあったとは考え辛い。ゆえに、「写真の子」が五倍頑張ると意気込んでお守りを5つ購入した事実は状況から見ても確定的。
しかし、その5つの内の1つを五月が所持していたことが34話にて明かされていました。
とすると、五月が「写真の子」で、かつ未だに自分自身で5つ(=内1つは流されたので4つ)お守りを所持している.....というまさかの状況でもない限り、「写真の子」は五倍頑張ることを辞め、姉妹達に1つずつ配ったことになる。
そして、フータローもまたそう考えたからこそ、川に流されてしまったはずのお守りを所持している子は”零奈ではない”と判断し、その結果、一花さんが「嘘」をついていると結論を出したのでしょうけれど、でも、仮に「写真の子」が五月ではない場合、「現時点でお守りを持っている=写真の子ではない」という推察は当然、全く意味を成していないのですよね。
であれば、一花さんの言葉が「嘘」ではなかった可能性も十二分に出てくる。
「写真の子」がそのまま五月ならお守りの有無は正体に辿り着く重要な証拠になりうるけれど、「写真の子」が五月でない場合にはお守りの有無なんて全く証拠にはなりえないため、フータローの認識が今後もズレていく可能性は大いにありえます。
そう考えると、お守りを手掛かりに「五月=零奈」をまず見破って、そのうえで「実は他に写真の子がいるんです!」となっていくのがやっぱり一番王道な展開なのかもしれませんね。
もちろん、五月がそのまま「零奈=写真の子」の可能性もありますけど、今週の描写を見ると、やっぱり偶然にしては意味深なシチュエーション(後述します)が目立っていたようにも思いますし...。「写真の子・零奈」問題については、正直残り3話では収束不可能なんじゃないかと思う程、まだ謎が多過ぎると個人的には感じているんですが、一体ここからどう修学旅行編が纏まっていくのか、春場先生の御手腕に期待したいところです。
一花さんの思惑
さて。そんなこんなで、結局フータローへ自身の想いを届けることが叶わなかった我らが一花さんですが、部屋に戻ってシャワーから出てみれば、そこにはただただ気まずい雰囲気を漂わせる妹達の姿がありました。
まぁ、これもまたおおよそ9割方は「自分が蒔いてしまった火種」ですからね。それぞれに思惑はあっても、大混乱の引き金を引いてしまったのは他でもない一花さんです。
ゆえに、二乃から「三玖に言うことあるんじゃないの?」と言われてしまうのも無理はない。考えを改めるかどうかはともかく、三玖に対して自身のスタンスを伝えておく義務がやはり今の一花さんにはあるのですから。
しかし、そんな一花さんに先んじて、ごめんねと謝意を述べてしまうのが今の三玖なんですよね。
これがまた、より一層状況を複雑化させてしまっている。仮にここで一花さんが三玖に謝り、姉妹間のわだかまりに一度リセットが為されても、三玖の後ろ向きなスタンスは残ったままなのです。そういう意味でも、一花さんとの一件がトリガーになってしまったとはいえ、やっぱり根っこの部分は三玖自身の問題に他ならないのでしょう。
そして、だからこそ一花さんは、フータローと同じ組のEコースに三玖を向かわせたんじゃないかなと個人的には思ってます。
自分が最初にEコースを指差したのは、確実に三玖をEコースへと導くため。自分の恋を諦めてしまったとか、そういう後ろ向きな理由によるものではなく、三玖に機会を与え、きちんと「公平」な勝負をする。班決めの時の二乃がまさにそうしてみせたように。そのために、三玖を土俵に上げようとしたんじゃないかなと。
そのうえで三玖が何も出来ずに挫けるならそれまででしかないし、仮に立ち上がってきても最終的には必ず私のことを一番に見てくれるはず...という想いがある。不敵な笑みはそういう気持ちの発露なのではないかと解釈することができるのではないでしょうか。
まぁ、実際のところ、腹痛を理由に2人のいるEコースへ乱入して何かを画策している...という可能性もあるにはあるんだと思いますが...。
でも、腹痛は明らかに過去のフータローを意識した描写なので、悪だくみをしているというよりは、一度静観して事の成り行きを見ようとしていると考えた方が個人的にはしっくりくるのですよね....。Eコースに向かうつもりがあるとしても三玖の妨害をしようとしているとは限りませんし。ここの部分は、みなさまがどうお考えになられているのか非常に気になるところです。
三玖は立ち上がれるのか
で、次回の見所はもうどこまでいってもやっぱり三玖が立ち上がれるかどうかでしょう。
一花さんの真意はともかく、結果だけを見れば、二乃と一花さんの双方から立ち上がれる機会を貰ったのですから、正直、ここで逃げ回って欲しくはない....というのが本音ですね。
バッターボックスに立つ機会を得た以上、きちんとバットを振って欲しいなと。見逃し三振より、納得のいく空振り三振を!そんな想いを持てる人だけがホームランという花を咲かせることが出来るのですから....。三玖が殻を破れるのか、次回の展開に期待しております!
.....というわけで、今週の感想をまとめると、
四葉ちゃん&五月の心中にも注目!
赤面している四葉ちゃんが最高に可愛かったなってことですよ!
お風呂上がりのタオル一枚四葉ちゃんを見て無反応とか、本当にフータローは男の子なのでしょうか。流石にヒロイン疑惑が浮上してくるレベル。四葉ちゃんなんて真っ赤になるくらい意識しちゃってるのに......。
フータロー、本当にそういうところだぞ!(実際にはドキドキしている説を陰ながら僕は提唱してみる.....)
まぁ、真面目なお話をすると、フータローと2人きりになりたいか、という二乃からの問いに対して、今週の五月は「否定はできません...」と答えているわけですけど、これ、見事なまでに四葉ちゃんがシャワールームに隠れているタイミングなんですよね。
偶然なのか、意図的なのか。先週、「何か私に隠し事してる?」なんて意味深なやり取りをしていた2人ですから、狙ってやってるんじゃないかと妄想してみても面白いのではないでしょうか。
いずれにせよ、次でいよいよ七回戦なので、そろそろ五月さんの思惑についても進展が描かれてくれたら嬉しいなと。2週間空いてしまいますが、次回も楽しみです!
※本記事にて掲載されている情報物は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しております。